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橋添穂のプレーは父の教えがつまったアドレスに注目! “沼ってる”悩みの種はどこにある?【大和笑莉奈の突撃ステップ・アップ便り】

今週は3月にプロ初優勝を挙げた橋添穂に注目!(撮影:福田文平)

<山陽新聞レディースカップ 事前情報◇14日◇東児が丘マリンヒルズゴルフクラブ(岡山県)◇6334ヤード・パー72>

全23試合が行われるステップ・アップ・ツアーは、1週間のオープンウィークを挟み、15日から3日間の日程で岡山を舞台に第14戦が行われる。昨季ステップで5勝を挙げ、今季レギュラーツアーでも3勝と勢いに乗る櫻井心那が前年覇者の大会で、自身も同ツアーに出場する大和笑莉奈がこちらも注目の若手選手に話を聞いた!

■今季初優勝から飛躍を目指す23歳

福岡県で行われた3月の今季第2戦「ラシンク・ニンジニア/RKBレディース」でプロ初優勝を挙げた橋添穂(みのり)。古江彩佳、西村優菜らと同じ2000年度生まれのプラチナ世代のひとりが、プロ3年目のシーズンに歓喜の瞬間を迎えた。

その後は推薦出場も絡めながら、先週のメジャー大会「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」などレギュラーツアー11試合にも出場。まさにステップ・アップを目指すシーズンを送っている。しかし、「優勝してから時間が経っていて
、週ごとに課題は変わってます。優勝した時のゴルフを持ち込めた感じはなかったです」と、トップカテゴリーでは歯を食いしばる戦いが続いていたことも認める。そこで得た糧を次につなげようと、汗を流す毎日だ。

その11試合のうち決勝ラウンドに進んだのは3度。カットラインに1打及ばない、歯がゆい試合も何度か経験した。レギュラー出場7試合で予選通過が1度だった昨年よりは「成長してる」という実感もあるが、“最低限の仕事”ができないことが続く時間は、悔しさのほうが当然ながら大きい。

■今“悩んでいること”って?

橋添が現在、違和感を覚えているのがグリーン上。もともと「好きなクラブ」というパターでチャンスを生かせていないことを問題視する。「優勝した時はパッティングが良かった。今はショットは安定しているけどパットが…。そこで苦しんでるのが足踏みしてる理由だと考えています」。例えばやはり1打足らずで予選落ちした先週のメジャーは、猛暑の影響で芝が枯れた“硬・速グリーン”に仕上がっていたこともあるが、2日目は35パットとその対応に苦しんだ。ちなみに優勝したラシンクでは、きっちり2日間とも27回という数字を並べている。

「ライン読みがうまくいってない。毎週試合に出させてもらって、タッチと曲がりが対応できているかと言われるとそうではない。自分が思ったところに打てているのか? 読みが合っていないと、そこも分からなくなって“沼って”しまってますね」

状態のいいショットでは、メリハリをつけながらチャンスを演出できている。いい位置からのバーディパットをしっかりと決める…、ここがかみ合えば、さらに楽しみな存在になるはず。「例えばアプローチを寄せてもチャンスが決まらないと『入らないかも…』という気持ちになってしまって」。今週の東児が丘は、起伏のあるグリーンが特徴なだけに、この悪循環からの脱却は特に大事な要素となる。

■試合でも実践している父の教え

そんな橋添にとって「心強い」のがシニアプロでコーチも務める父・純司の存在。ここまで娘を指導し、テスト合格、初優勝などに導いてきた。地元・山梨県のジュニアスクールでも教えているため、ツアー会場に常に帯同するわけにはいかないが、「毎試合、答えをくれます」という信頼感は幼少期から変わることはない。

試合会場でもアクティブ派。日頃から仲がいい同期の内田ことこと、食事をしたり、観光をしたりとツアー生活をしっかりと満喫もしている。「あまりホテルでグダグダしてるということはないですね。休まないといけない時もあるとは思うんですけど(笑)」。23歳の“イマドキ女子”は、プライベートタイムも充実させ、それで試合への集中力を高めているようだ。

ここから再びステップが主戦場になるが、目標は「2勝目です。今週すぐにでも優勝したいくらい気合は十分!」。家族も喜んでくれたあの歓喜を再び味わいたい。「気合が空回りするタイプというのは分かっているので、落ち着いて1ホール1ホール丁寧に積み上げられたら」。冷静と情熱をコントロールしながらプレーを続けていく。

「打つ前にワッグルを2回しているんですけど、それはあまり他の選手で見たことがないですね。大きい動きというわけではないですけど、これでリズムをとって打っています。父の教えが『リズム良く』なんです」。みなさんの参考になるかもしれない、こんな“ワンポイント”にも注目しながら、観戦するのはいかが?

解説:大和笑莉奈(やまと・えりな)
1990年2月13日生まれ、山形県出身。中学時代にはアルペンスキーで全国大会出場経験も持つ。宮里藍らを輩出してきた名門の東北高校ゴルフ部に進み腕を磨くと、2009年のプロテストに合格。13年には「エディオンレディースカップ」でステップ・アップ・ツアー優勝。レギュラーツアーでも優勝争いを経験してきた。現在はテレビでの解説なども務め、21年にはゴルフ業界活性化、女子プロゴルファーの新たな可能性追求のため、「LPGA女子プロゴルファーズ連盟」を立ち上げた。

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