【記者会見】32本打って無得点。浦安・小宮山監督「弱点は狙えたが…」

7月17日、Fリーグ2023-2024ディビジョン1の第8節、バルドラール浦安vsY.S.C.C.横浜が行われ、浦安が0-2で敗れた。

試合後、小宮山友祐監督が記者会見に出席した。

悔しさはあるが、いい試合はできた

●バルドラール浦安|小宮山友祐監督

──試合を振り返って。

まずは難しい結果になりました。内容自体は全く悪くなかったのですが、敗因は得点が取れないところですね。点が取れなきゃ勝てないスポーツなので、結果が全てです。ペスカドーラ町田戦も今日も0-2で負けていて、とにかくゴールがないことが大きな課題ですが、こればかりはシュートを打ち続けるしかないです。

攻撃自体はいいところもあったし、ポストも叩いているので、なぜ入らないのかというのは難しい。選手たちもハードワークしてくれていましたし、横浜のストロングポイントも消せているんじゃないかと感じながら試合を進めていましたが、結果が全ての世界なので、すごく悔しいです。

──石田健太郎選手は、今日も攻守において素晴らしいパフォーマンスで、シュートもたくさん打っていたと思います。彼の今日のプレーについては?

彼のパフォーマンスはここ最近ずっといいので、今日が特別良かったとかではないですね。ただ代表選手である以上、チームを勝たせる存在にならないといけない。日本代表の木暮(賢一郎)監督も言っていますが、なかなか下位のチームから代表に呼ばれないので、チームの順位を上げていくことは、彼自身のためにもなります。

彼のプレーに関しては常に満足しています。だからこそ、今日のシュートもポストではなくしっかり決めてほしいですし、それができれば代表の中心選手になれるのかなと。今の浦安の中心選手が、代表の中心選手になれるかと言われると、現時点ではなかなか難しいと思うんですよね。なので、リーグ戦の成績を上げることと、彼がさらにパフォーマンスを上げることは、彼にとっても我々にとっても大事なことだと思います。

──吉田圭吾選手も浦安に加入して時間が経ち、見違えるほどいいプレーを見せていました。今後、さらに期待したいことは?

彼ももちろんそうですが、自分の手元にいる選手たちは1対1に長けている選手が何人もいて、東出(脩椰)も吉田もすごく成長していると日々実感しています。だからこそ、長い時間試合に出るようになりました。もっと彼がプレーの質を上げて、チームを勝たせられる存在になってくれたらうれしいです。

ただ一方で、得意なドリブルや1対1に頼りがちだなと。それも大事ですが、ボールがないところの2人組の関係やフリーランニングがもっと良くなれば、さらにいい選手になると思います。ボールを受けてからは素晴らしいものをもっているので、その前段階でどうやってボールを引き出すかなど、もう少し全体的なバランスを見る視野が広がると、ワンランク上の選手になれるので、そこは期待しています。

個の力的には東出も吉田も、柴山(圭吾)も、代表にいけると思っています。まだ若く粗削りな部分もありますし、結果や内容を結びつけて若い選手を育成するのはすごく難しいですけど、それをやっていかないとチームの成長にはならないないので、継続していきたいです。

──昨年の同じ対戦カードの印象が強く、その時の記者会見で小宮山監督は「あまりパワープレーの時はタイムアウトを取らない」という話をしていました。今日はその時間を取っていましたが、どんな指示を?

狙いどころをはっきりしようと。2点差だったので残り5分からパワープレーをして、1点取れればすぐたたみ掛けられると思っていました。正直、横浜の守備のエラーのポイントはわかっていたので、そこにどうボールを運ぶかが非常に重要でした。決定的なチャンスもあったので、さっき言ったとおり決める、決めない、最後の部分で足が出るかどうかでした。あとは相手GKの矢澤(大夢)選手が素晴らしいセーブをしていたので、そこは相手を褒める部分だと思います。

途中までも構造と狙いどころは良かったんじゃないかなと思いつつ、タイムアウトを取った時にはもう一度、そこを徹底して、ウィークポイントを狙っていこうという話をしましたが、点は取れなかった。鳥丸監督も去年、ここで同じ悔しさを味わっていましたよね。ただ今日の試合は観客目線というか、フットサルに携わってきた一人としては、引き締まったおもしろい試合だったと思います。

負けたのですごく悔しさはありますが、横浜の選手たちのパフォーマンスも素晴らしかったです。彼らはやっぱりフェアですよね。タフだし転んでもすぐ立ち上がります。我々の選手たちにも言っていますけど、倒れてみっともなくファウルをアピールするのではなく、すぐプレーをする。そういう面で横浜の選手たちの姿勢には好感がありました。だからこそ気持ちのいい試合ができましたし、フットサルというスポーツの魅力を伝える意味でも、いい試合だったと思います。

──昨シーズンは61得点で、今シーズンが現時点で18得点。選手がたくさん入れ替わっているわけではないなかで点が取れない原因はなんでしょうか?

一つは、ガリンシャですよ。左利きでボールが収まるピヴォと右利きのアラの相性はすごく良かったので、ガリンシャにボールを当てようとした時に、うちの選手たちはみんな右利きなのでシュートを打ちにいけるんですよね。

今は、右利きの選手しかいないなか、パスを当てるとどうしてもシュートが左足になってしまう。そこで相手を押し込める時間は短くなりましたし、ガリンシャの圧倒的なキープは去年の我々の生命線でもありました。逆に、彼の調子が悪くて勝てなかった試合も多かったので。クオリティとしては本石(猛裕)も悪くはないですけど、どちらかというと彼は周りを生かすよりも自分が点を取るタイプで、柴山と本石は特徴が似ていますよ。

それは彼らに求めていることなのでいいのですが、単発で攻撃が終わってしまう。ガリンシャがいた時は一度、彼に当てて、戻して、1対1をしてからまた当ててという攻撃ができていました。なので、シュート本数自体は去年より打っています。ただ、打たされている部分もあって、シュートの距離が若干遠いのかなと感じています。ガリンシャは落としもうまいので、みんな信じて前に走っていました。今はパスが出るか出ないかわからないので、疑心暗鬼で走って、受ける場所が後ろにズレちゃうとか前に出過ぎちゃう現象が起こっているのかなと思います。

そこの調整は今週もずっとトレーニングしてきて、いろんなオプションや形を伝えて、入る入らないは置いておいて、枠には飛ぶ練習をしてきたんですが、なかなか試合では出すのは難しかったです。やっぱりガリンシャ頼みになっていたことを改めて実感しました。

あれだけのピヴォはなかなかいないですからね。でも柴山も本石もまだ若いので、将来性を見据えて試行錯誤するしかない。いつも言っていますが、私の我慢と、このクラブの我慢と、選手たちの成長の速度に期待して、信じて使い続けるしかないです。

点が入らないことだけがプラン外

──監督の言葉のとおり、シュートは打ってもペナルティエリア外からで、少し失礼かもしれませんが、大雑把だなと。中に侵入してシュートできなかったのは、横浜の守備が良かったからなのか、浦安側の工夫が足りなかったのか。

両方でしょうね。横浜の選手も最後の6メートルのところで体を投げ出してディフェンスをしてくるのは、スカウティングの時からわかっていたので、言ってしまえば、キックフェイントすれば滑るから、そこでシュートをしようと。もうあと2、3メートル前でチャンスをつくろうという話はしていました。ただ試合だと冷静にいられる選手もいれば、焦ってしまう選手もいるので。あとはさっき言ったとおりです。

個人で侵入するスペースはある程度限られると思う。横浜の定位置守備は、カバーリングもつけていて、縦に突破しても後ろが出てくるので、その間につけて、逆サイドにボールを展開すれば良かった。こうやって口で言うのは簡単なんですけど、それを実際にピッチでできたかでいうと、あんまりできていなかったかなと。

横浜の後ろで体を張る選手は伊藤玄選手も高橋響選手も大きくしっかりしているので、相手のサイズ感も影響したように見えました。そこは映像で振り返りたいです。

──セットプレーのバリエーションが豊富で毎回ほぼシュートにつなげられていました。それもガリンシャ選手が抜けた穴をカバーしようという狙いですか?

いや、本当にすごいと思いません? 毎試合考えているんですよ。相手のウイークポイントを見つけて、こことここだよと。今日に限っては5個も教えてるんです。5個以上か。鳥丸監督にはちょっと悪いですけど、弱みは見えていたので、これさえやれば入るでしょと思ったんですけどね。パサーの質なのか、タイミングが悪いのか、なんで入らないのかは疑問でした。単純にボレーが下手というのはありましたけどね……。

相手が気づかない限り、今日はセットプレーから3点はいけると思っていました。矢澤選手が止めていたのもありますが、うちのシュートの精度があまり良くなかったんでしょうね。あとはやっぱりパサーですかね。パスがズレている。セットプレーのバリエーションはFリーグのなかでも相当多いと思います。ただ、名古屋なんて、ずっと同じことをやっていても点が入る。それはダルラン選手も、アンドレシート選手もシュートの精度が桁違いだからですよね。

──イゴール選手のスローが多かったですが、そこも意図して増やしているのでしょうか。

まず、あのスローは一つの武器ではあるので。相手陣内で攻守を進めるという浦安のプレーモデルがあるなかで、相手コートに侵入するために、選択肢としては一番シンプルな方法になっています。なのでスローできるならそうしたほうがいいし、それを直接収められるピヴォがいるなら、投げたほうがいいです。去年まではビルドアップして下から攻めていましたが、よりアグレッシブに相手のコートに進みたいという狙いはあります。五分五分で競っても相手はクリアするしかできないので、キックインからスタートできます。

なので、走るところはどんどん走れと伝えていますし、トレーニングも積んでいるので、今うちの選手は相当走れると思います。今日のプランを明かすと、イゴールがスローを投げて、横浜の選手はそれをクリアする。マイボールでキックインかコーナを取って、バリエーションのあるセットプレーで絶対3点はいけるでしょうと。なんで取れないんだよというのが正直な気持ちですね。監督としてはプラン外でしたという感想です。効果的ではあったはずなんですけど。今シーズン我々はないですけど、逆に全然うまくいかないのに勝ててしまう試合もあるので面白いですよね。現役時代も含め、いろんなことがあるよなと常々感じています。

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