【記者会見】横浜・鳥丸太作監督「(1stセットには)僕自身も驚かされる」

7月7日、Fリーグ2023-2024ディビジョン1の第7節、 Y.S.C.C.横浜vsフウガドールすみだが行われた。

4勝1分1敗で首位の名古屋を追いかける横浜が、ホーム・横浜武道館で今季初勝利を挙げた。

先制点は2分、高橋響の縦パスから背後をとった安井嶺芽が決める。さらに15分には堤優太が“堤ゾーン”でのドリブル突破から安井のゴールをお膳立てする。第2ピリオドに入ると、すみだに1点を返されるものの、古巣対決となった田村佳翔のシュートが3点目を呼び込むと、その後は堤、北野聖夜、菅原健太、高橋がゴールを決めて合計7得点。七夕の夜に「7ゴール」で彩りを添えた。

試合後、鳥丸太作監督とキャプテンの矢澤大夢が記者会見に出席した。

1stセットも2ndセットも信頼している

●鳥丸太作監督|Y.S.C.C.横浜

──試合を振り返って。

ホームゲームでの初勝利だったので、とてもうれしいというのがまずあります。点差はつきましたが、どっちに転んでもおかしくない試合で、選手の努力で自分たちのゲームにしたなというところで、選手に感謝しています。

──今日も高橋響、安井嶺芽、堤優太、菅原健太の1stセットが試合を決める活躍を見せました。鳥丸監督は1stセットをどうやって構築してきたのでしょうか。

見ていただいたらわかるように、とても信頼を置いているセットです。

足し算というよりは、できれば掛け算になるような組み合わせを、監督なら誰もが探すと思います。1stセットについては、選手同士の特徴、相性がうまく噛み合っている。高橋が後ろでコントロールをして、安井が人と人をつないで、堤が1対1の優位性を発揮する。また、ピヴォの菅原は4-0も3-1もできる選手です。

「システムを可変できる」というのは大きなポイントで、僕のやりたいフットサルを体現してくれているセットと言えます。もちろん、僕が全てをつくったわけではなくて、彼らのアイデアやタレントに、僕自身も驚かされることがあります。

──田村佳翔選手が1stセットが点をとってくれるから、2ndセットは失点を0で抑えることを目指していると話していましたが。

どちらのセットにも攻撃も守備も求めてます。田村は人をリスペクトできるタイプなので、(1stセットを)すごいと話してくれているのかもしれませんが、今日の試合でも田村、北野聖夜、小林拓夢、リッツィなどがいる2ndセットからもゴールが生まれています。1stセットだけでなく、他の選手たちにも信頼を置いています。

──フィジカル的な優位性が印象的で、1対1でことごとく勝っていたように見えました。チームとしてフィジカルを重点的に鍛えてきたのでしょうか。

もともとY.S.C.C.横浜はフィジカルのベースは高いチームだったと思います。もしもフィジカルが強くなったと感じるのであれば、もしかしたら昨シーズンは僕が初めて監督になって、新しいものを入れたことで、プレーのノリを抑えてしまったところがあるかもしれません。今は僕のやりたいことをわかっていて、プレースタイルも体に馴染んできて、伸びやかなプレーが出せるようになってきた。

もちろん個人でのトレーニングの成果もありますし、昨年よりも強度の高い練習をしようと意識しています。あとはメンタル的なところは大きいです。全日本選手権で(怪我人が多かったことで)少ない人数で戦うなかで、チームの一体感が高まりました。そこからくるプレーのノリというのはあるのかなと思います。

──リーグ戦の1/3にあたる7試合を終えて5勝1分1敗という結果と、得点も失点も多いことについては、どのように感じていますか。

僕の好みでもありますが、例えば最後の残り5分間は“ティキ・タカ”のようにボールを保持しました。ボールを持つことはリスクもあるので、そこでの失点はある程度受け入れています。

ただ、一番大事なのは勝利することなので、試合展開や点差によって何をするべきかは変わります。選手の成長を考えると、安全なプレーをするだけでなく、勝っていても負けていても、しっかりとボールを持って優位性をつくっていくことは大事だと思っています。

GKが輝ける場をつくってもらっている

●矢澤大夢|Y.S.C.C.横浜

──試合を振り返って。

すみだとは全日本選手権の準決勝(0-1)で当たって、悔しい思いがあったので、「あの時の借りを返す」という高い意識で試合に入れました。どんな相手にもチャレンジャーの気持ちで戦えたことが、こういう結果になったのかなと思います。

──リーグ戦の1/3にあたる7試合を終えて5勝1分1敗という結果と、得点も失点も多いことについては、どのように感じていますか。

僕らは湘南(3-3)と名古屋(3-6)だけに勝ち点3をとれなかったのですが、個人的には湘南戦でラスト54秒で決めた同点ゴール、あそこで「今年の横浜は違うな」と感じました。

今日も第2ピリオドの立ち上がりで小林選手がオウンゴールをしてしまったのですが、あそこから盛り返せる。今までだったら逆転されていてもおかしくない、試合の流れをひっくり返される危機だったのですが、小林選手が一番に切り替えられていた。全員がなかったことのようにできていたのが、今5勝している最大の要因だと思います。

僕自身も失点の多さは気にしていますが、GKとしてプレーを振り返っていると毎試合80点ぐらいは出せているのかなと。アグレッシブな戦い方をしているので、どうしても失点が多くなるというのはあります。勝っている状況で、いくつかのミスが重なっての失点なので、勝って反省ができますし、確実に積み重ねています。

今日もほぼ僕はシュートを受けていないですし、ディフェンスは確実に強くなっているので、これからも失点数は抑えていけると思っています。

──全日本選手権ではGKからのスローが目立っていたように見えましたが、今日はGKの矢澤選手が積極的に攻撃参加していました。3点目は矢澤選手の縦パスが起点となったゴールもありました。

全日本選手権では「勝つ」ということにフォーカスしていて、自分たちのやりたいフットサルではない形で戦っていたところがありました。それこそ、2ndセットがうまくいっていなければ、リスクはかけないで前に蹴ろう、投げようと。ただ、全日本選手権で個々の能力がすごく上がって、2ndセットでも下でつないで、自信を持ってプレーできるようになりました。それでガラッとプレースタイルが変わって、鳥丸監督がやりたいフットサルに、まだ完璧ではないですけど、そこに近づいてきていると思います。

「GK攻撃」を戦術として取り入れてもらっているので、僕や(GKの)井戸孔晟が練習でも上がる頻度が高いので、足元にも自信をつけました。チーム全体がGKを信頼して動いてくれるので、今日の3点目のようにGKを起点としたパスから崩し切ることができました。鳥丸監督がチームに浸透させてくれて、うまく体現できているからです。僕や井戸はもともと足元の技術には自信がありましたが、それを出してもらえる環境をつくってくれているという感じです。

GKはボールを4秒しか持てないですし、すべてを正確に見ることは難しい。GK攻撃をやるといっても、僕に丸投げされていたら何もできないですし、たぶんミスから失点しているはず。でも、そこをチーム単位でこういう風に動こう、こう来たらこうしようというのができているので、僕たちが輝けるフットサルになっていると思います。

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