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【連載】サッカーW杯、10倍面白く見るために「日本、死の組へ。ドイツはなぜ強いのかを解説」

(大会直前のため再掲載)

FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会で日本は、ドイツ、スペインらと同じE組に入ることが決まった。

強豪ひしめく“死の組”に入った森保ジャパンがグループステージ突破を狙うにあたってカギを握るのが初戦で激突するドイツ代表だ。

まず、率直に言う。ドイツから勝ち点をもぎ取るのは至難の業だ。その理由を紐解きつつ、森保ジャパンでカギを握る選手も紹介していきたい。(ライター・井本佳孝)

18大会連続出場のW杯常連国

18大会連続出場、W杯の常連国であるドイツは4回の優勝を誇る強豪国である。

“皇帝”フランツ・ベッケンバウアーを擁した1974年西ドイツ大会や、バロンドール受賞者であるローター・マテウスが中心を担った1990年イタリア大会、優勝を勝ち取った2014年ブラジル大会ではチームの屋台骨として攻守を支えたバスティアン・シュバインシュタイガーなど、歴史上に名を残す数多の名選手を輩出してきた。

ドイツ語で「チーム」を意味する「ディー・マンシャフト」の相性で親しまれている。

そんなドイツだが、今回のチームは転換期と言える時期を過ごしている。栄光に輝いた2014年のブラジルW杯から一転、前回の2018ロシア大会では、まさかのグループステージ敗退の屈辱を味わった。

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ヨアヒム・レーヴ前監督がEURO2020後に15年にわたる長期政権にピリオドを打ち、その後任に指名されたハンス=ディーター・フリック監督のもとで再起を図っている。

バイエルン化したドイツ

ドイツ最大の特徴が“バイエルン化”されたチームの構成でクラブレベルでの戦術が落とし込まれた連携力の高さにある。フリックは、アシスタントコーチを経て2019年にバイエルン・ミュンヘンの指揮官に就任した。

すると、現代サッカーのトレンドである前線からの高いプレッシングによる守から攻への素早い切り替えと圧倒的な得点力を武器に、2019-2020シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)で無敗優勝の偉業を達成。“ハンジ・フリック”の名は世界中のサッカーファンに刻まれた。

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そんな指揮官のもとでプレーしてきたマヌエル・ノイアーをはじめとしたバイエルンの選手たちがドイツの主軸を担う。なかでもヨシュア・キミッヒ、レオン・ゴレツカが舵取り役を担うボランチ、サイドを制圧し、得点に絡むこともできるセルジュ・ニャブリ、レロイ・サネで主に構成される中盤のユニットはいずれもバイエルンに所属している。フリックとともに時間を過ごす中で成長してきたメンバーであり、それぞれの特徴を熟知し、互いを活かす術を備えてる点は日本に対して大きなアドバンテージである。

なかでも日本の前に立ちはだかる“最大のクセ者”がトーマス・ミュラーである。若干20歳で出場した2010年南アフリカ大会でいきなり得点王を獲得してスターダムに。以来、バイエルン、ドイツの中心選手としてブンデスリーガ、CL、W杯とあらゆるタイトルを奪取してきた。

32歳となったミュラーは今もなお健在で、衰えないスタミナと、チームの守から攻へのスイッチとなる強烈なプレッシング、チャンスメイカーとしてのパス供給力の高さ、ポジショニングの良さを生かしてのゴール奪取など、オールマイティなプレイヤーだ。初戦という独特の緊張感で迎えるなかで大舞台を知り尽している老獪なベテランの存在は心強い。

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