「デュラントなしでも優勝できると証明したい」ウォリアーズの王座奪還にグリーンが闘志を燃やす<DUNKSHOOT>

ここまでリーグ首位に君臨するウォリアーズ。デュラント(右)抜きでの優勝に、グリーン(左)は闘志を燃やしている。(C)Getty Images
2014-15シーズンのゴールデンステイト・ウォリアーズは、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンという強固な核に加え、アンドレ・イグダーラやハリソン・バーンズ(現サクラメント・キングス)、アンドリュー・ボーガット(元ミルウォーキー・バックスほか)らを擁し、新任スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)の下で、NBAチャンピオンに輝いた。

翌2015-16シーズンも勢いは変わらず、開幕からの連勝記録でリーグ新となる24連勝(前シーズンとの合算では歴代2位の28連勝)、さらには2015年1月から2016年3月にかけて歴代最長のホーム54連勝を達成した。カリーは2年連続でMVPに輝き、1シーズンにおける3ポイント成功数で史上最多の402本をヒット。チーム成績も73勝9敗(勝率89.0%)、NBA新記録を打ち立てリーグを席巻した。

もっとも、プレーオフでは優勝候補の大本命ながら、ウエスタン・カンファレンス・ファイナルでオクラホマシティ・サンダー相手に1勝3敗と追い込まれてしまう。このシリーズこそカリー、トンプソンの爆発でそこから3連勝を飾り、NBAファイナルまで駆け上がった。だが、その頂上決戦でクリーブランド・キャバリアーズ相手に3勝4敗で敗北。3勝1敗と先に王手をかけたのだが、レブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)、カイリー・アービング(現ブルックリン・ネッツ)の大爆発を許してしまい、まさかの3連敗で連覇を逃した。
当時の状況について、現地時間12月17日に米放送局『ESPN』へ掲載された記事のなかで、グリーンがこう振り返っている。

「俺たちがあのままケビンなしに支配し続けることができたとは思えないね。NBAのどのチームも俺たちを上手くガードし始めていたから、凄く難しかっただろう。俺たちに対してやり合ってきていた。そこで俺たちはケビンを加えたのさ」

グリーンが語ったケビンとは、もちろんケビン・デュラント(現ネッツ)のことだ。サンダーのエースとして2013-14シーズンにMVPも獲得していたデュラントは、2016年夏にフリーエージェントとなってウォリアーズへ加入した。
これにより、チームはカリー、デュラント、トンプソンというリーグでも間違いなく10本の指に入るシュート力の持ち主たちを揃え、2017、18年にキャバリアーズを撃破して2連覇を達成。2019年はデュラントのケガもあってファイナルでトロント・ラプターズの前に2勝4敗で敗れたものの、5年連続でウエスタン・カンファレンスを制した。

「本当に、素晴らしいシーズンだったと思う。実際、5年連続でファイナルに出場したことは1960年代以降では初だったからね。最後に負けてしまった時はがっかりした。でも僕らがこの1年を通してやってきたことには本当に誇りに思っている」

ファイナル敗退直後の2019年6月、来日したカリーがそう話していたように、ウォリアーズは8連覇を達成したボストン・セルティックス以来初となる偉業を成し遂げた。3連覇は逃したとはいえ、歴史的に見ても特筆すべき5年間だった。

ただ、その後は2019年にデュラントがネッツへ移籍し、イグダーラもメンフィス・グリズリーズ(その後マイアミ・ヒート)へトレード。2019-20シーズンはトンプソンがケガで全休したうえ、カリーも左手骨折と新型コロナウイルスのパンデミックによって5試合のみの出場にとどまり、グリーンも複数のケガに苦しんだ結果、リーグワーストの15勝50敗(勝率23.1%)と低迷した。
「皆が消耗していた。我々はふたつのマラソンを走り切った感じだった。このチームには休息が必要だったんだ」

そう語ったカーHCの言葉が、ウォリアーズの選手たち全員の心の声だったのかもしれない。

昨季はプレーイン・ゲームで2連敗を喫し、またもやプレーオフ不出場に。しかし指揮官は「昨シーズンのラスト20試合で、このチームはきっと良くなると思わせてくれた。15勝5敗で終えたんだ。自分たちのスタイルをプレーしたことでね。あれが今シーズンに向けた最高の出発点になったんだ」と、好調を維持する今季の土台について話していた。

リーグベストの27勝7敗(勝率79.4%)で2021年を終えたウォリアーズ。トンプソンも近々復帰するだけに、今季は3シーズンぶりのプレーオフ復帰どころか、2018年以来となるチャンピオンシップ獲得も狙える位置にいる。
ただ、このチームがプレーオフを勝ち上がる上で、数年前までの王朝と大きく異なるのは、デュラントがいないという点。もっとも、グリーンは「ケビン・デュラントを失ったことは本当に大きな損失だった」と語るも、今季のチームに自信を覗かせている。

「彼がいなくても優勝できるってことを俺たちは証明したいんだ。このチームには依然として最も支配的な選手の1人(カリー)がいるし、経験を積んだヤツらもいる。それにこの組織はどうすれば(王座獲得へ)辿り着けるかわかっているしね。もちろん、今のチームにはそれを経験していない連中もいるが、彼らはそれを熱望しているんだ。俺たちの現在地はそんなところさ」
現有戦力で優勝経験があるのはカリー、グリーン、トンプソン、イグダーラとケボン・ルーニーのみ。だがアンドリュー・ウィギンズやジョーダン・プール、オットー・ポーターJr.、ネマニャ・ビエリツァ、ゲイリー・ペイトン二世、ファン・トスカーノ・アンダーソン、デイミオン・リーといった選手たちは優勝を心底望んでおり、チームの雰囲気も良好なのだろう。

2022年を迎え、レギュラーシーズンもまもなく折り返り地点となるなか、ウォリアーズがトンプソン復帰によって勢いをさらに加速させる可能性は十分ありそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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