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【どこよりも早い2022ドラフト候補ランキング:11~20位】西武ドラ1・隅田に投げ勝った加藤ら好投手が集結<SLUGGER>

本格派右腕の加藤(左)は最近、安定感が増してきた。森下(右)は高校時代から注目を集めていた好素材だ。写真:西尾典文
2021年のドラフト会議からまだ2か月も経っていないが、アマチュア球界はすでに22年のドラフトへ向け動き出している。昨年秋以降で急成長を遂げた選手も少なくない。昨年は現地で400試合以上アマチュア野球を取材したスポーツライターの西尾典文氏が、現時点での22年ドラフト候補ランキングを選定した。今回は11~20位を紹介しよう。

▼11位:加藤泰靖[投手・上武大]
(かとう・たいせい/右投右打/志学館高)

将来像:高橋光成(西武)

関甲新リーグを代表する本格派右腕。大学入学後に大幅なスピードアップを果たし、2年秋の横浜市長杯では最速153キロをマークした。下級生の頃は安定感には乏しかったが、昨年はしっかり試合も作れる投球を披露。

大学選手権の初戦では隅田知一郎(西日本広大→西武1位)と投げ合って見事に完封勝利を収めている。モーションを起こしてからリリースまでの時間が年々長くなり、ゆったりと投げられるようになったのが大きい。下級生の頃から経験が豊富なのも魅力だ。

タイプ診断:剛腕、着実に成長

▼12位:益田武尚[投手・東京ガス]
(ますだ・たけひさ/右投右打/嘉穂高→北九州市立大)
将来像:清水直行(元DeNA)

高校時代から評判の最速153キロ右腕。大学卒業時には指名がなく東京ガスに進むこととなったが、1年目から都市対抗の初戦で先発を任せられると、150キロ台のストレートを連発してスカウト陣を驚かせた。

上背はないものの、たくましい下半身を生かしたフォームで腕の振りも年々力強くなっている。スピードの割にバットに当てられるのは気になるが、カットボール、フォークと複数の決め球を操って試合を作る。都市対抗の準々決勝で脇腹を痛めて緊急降板となったのは心配だが、万全の状態であれば上位候補になる可能性は高い。

タイプ診断:都市対抗優勝、先発タイプ▼13位:曽谷龍平[投手・白鴎大]
(そたに・りゅうへい/左投左打/明桜高)

将来像:大野雄大(中日)

昨年大ブレイクした本格派サウスポー。力みのないフォームで楽に腕を振って150キロを超えるストレートをマークし、そのギャップで打者は差し込まれることが多い。球種は多くないが、スライダーにバリエーションがあるのも持ち味だ。

春、秋ともイニングを大きく上回る奪三振をマークし、秋の横浜市長杯では前年優勝の桐蔭横浜大を相手に力で抑え込む投球でチームを勝利に導いた。大学生左腕では矢沢宏太(日本体育大)に次ぐ存在となりそうだ。

タイプ診断:ドクターK、赤丸急上昇

▼14位:羽田野温生[投手・東洋大]
(はたの・はるき/右投右打/汎愛高)
将来像:甲斐野央(ソフトバンク)

最速156キロを誇る大型本格派右腕。高校時代は公立校ながら大阪府内では評判の投手で、1年秋には根尾昂(中日)からストレートで三振を奪っている。昨年秋はクローザーを任されて全試合に登板し、イニングを上回る奪三振数を記録した。

投げるたびに150キロ以上をマークしており、スピードは大学球界でも一、二を争う存在。決め球のフォークもあるだけに、コントロールが安定してくれば1位指名も狙える存在だ。

タイプ診断:リリーフタイプ、剛腕▼15位:森下翔太[外野手・中央大]
(もりした・しょうた/右投右打/東海大相模高)
将来像:中田翔(巨人)

高校時代から高い注目を集めている右のスラッガー。中央大では入学直後からレギュラーをつかみ、1年春には早くも大学日本代表に選ばれている。

ヘッドスピードと打球の速さは大学球界でも屈指のレベルにあり、昨年春のリーグ戦では1試合2本塁打もマークした。一方で確実性には課題が残り、通算打率は2割台前半にとどまっているだけに、最終学年でどこまで数字を残せるかに注目だ。

タイプ診断:フルスイング、大砲候補

▼16位:吉村貢司郎[投手・東芝]
(よしむら・こうしろう/右投右打/日大豊山高→国学院大)
将来像:荒れていない中田賢一(元阪神)

昨年のドラフトで指名がなかったことが不思議なレベルの社会人屈指の本格派右腕。大学では故障に苦しんだ時期もあったが、社会人での2年間で見違えるほどストレートが力強くなった。

コーナーに投げ分けるコントロールは見事で、先発でもリリーフでも力を発揮する。補強選手として出場した都市対抗では2回戦で圧巻の投球を見せ、先発で7回を投げながらストレートの平均は150キロ以上をマークした。

タイプ診断:即戦力、解禁済
▼17位:奈良間大己[遊撃手・立正大]
(ならま・だいき/右投右打/常葉大菊川高)
将来像:今宮健太(ソフトバンク)

東都大学リーグを代表する強打のショート。高校時代は3年夏の静岡大会で8割を超える打率を残し、甲子園でも一発を放った。立正大でも早くからレギュラーをつかみ、攻守ともに年々スケールアップを果たしている。

流れるようなフットワークと正確なスローイングはともに高レベルで、身体は大きくないがスタンドまで運ぶパンチ力も備える。プロでもショートで勝負できる素材だ。

タイプ診断:甲子園の星、U18侍ジャパン

▼18位:野口泰司[捕手・名城大]
(のぐち・たいし/右投右打/栄徳高)
将来像:会沢翼(広島)

強打が魅力の大型捕手。高校時代から愛知県内では評判の選手だったが、大学でも着実にレベルアップを果たし、昨年は大学日本代表候補合宿にも選ばれた。大きな構えでボールをしっかり呼び込んで打てるバッティングは確実性と長打力を兼ね備える。キャッチング、スローイングの安定感も申し分ない。昨年出場した大学選手権でも3試合で11打数8安打と7割を超える打率を残した。

タイプ診断:地方リーグ、強打の捕手▼19位:関根智輝[投手・ENEOS]
(せきね・ともき/右投右打/都立城東高→慶応大)
将来像:上沢直之(日本ハム)

都立城東高校時代から東京都内では評判で、慶応大では入学直後から先発を任されて1年の春・秋で5勝をマーク。その後はヒジの故障で勝利を積み重ねることはできなかったが、社会人で鮮やかに復活を果たした。欠点のないバランスの良いフォームでコントロールは社会人でもトップクラス。都市対抗でも初戦の先発を任せられて、7回途中まで無四死球無失点の見事なピッチングを見せた。

タイプ診断:都立の星、故障からの復活
▼20位:才木海翔[投手・大阪経済大]
(さいき・かいと/右投右打/北海道栄高)
将来像:岩下大輝(ロッテ)

高校時代から北海道では評判だった本格派右腕。大学では停滞した時期もあったものの、昨年は春から先発に定着すると、秋は防御率0点台と圧倒的な成績を残して最優秀防御率のタイトルも獲得した。

高校時代はかなり細身だったが、大学で確実に身体が大きくなり、それに比例するようにスピードもアップしている。大舞台での経験は乏しいものの、総合力は全国でも上位であることは間違いないだろう。

タイプ診断:急成長、隠れた逸材

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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