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【2021主力選手通信簿|オリックス】投手“五冠“を達成した山本以外にも宮城、宗ら若手が台頭!<SLUGGER>

実に15年ぶりの投手五冠を達成した山本。圧倒的な成績で、最高評価は言うまでもない。写真:田口有史
 全12球団の主力選手の2021年シーズンを5段階の通信簿形式で振り返っていく同企画。各選手のこれまでの実績や期待値も踏まえて査定し、評価していく。今回は、昨年の最下位から下克上を果たし、25年ぶりのリーグ優勝を果たしたオリックスだ。

※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです

【投手】
●山本由伸
[試合] 26 [勝敗] 18-5 [防御率] 1.39
[投球回] 193.2    [K/9] 9.57 [BB/9] 1.86
評価:よくできました(A)
東京五輪でもエースとして活躍した本格派は6月以降の月間MVPを独占し、史上8人目の投手“五冠“(18勝、勝率.783、206奪三振、防御率1.39、4完封)を達成。15連勝でシーズンを終え、全会一致で沢村賞に選ばれた。

●宮城大弥
[試合] 23 [勝敗] 13-4    [防御率] 2.51
[投球回] 147.0    [K/9] 8.02 [BB/9] 2.39
評価:よくできました(A)
10代と思えないマウンドさばきで13勝、勝率.765、防御率2.51は山本に次ぐリーグ2位と、チーム躍進の原動力になった。6月2日の阪神戦で黒星を喫し、ゲン担ぎに伸ばしていた髪をばっさり。「神様、仏様、宮城様」も流行した。
 ●田嶋大樹
[試合] 24 [勝敗] 8-8 [防御率] 3.58
[投球回] 143.1    [K/9] 8.48 [BB/9] 3.01
評価:まずまずです(B)
故障に悩まされた過去も昔とばかりに、2年連続で規定投球回をクリア。前年から奪三振率が2個近くも上昇し、ゴロ率も向上。ロッテ相手に3勝、防御率2.37と好投した点もポイントが高い。

●山﨑福也
[試合] 22 [勝敗] 8-10 [防御率] 3.56
[投球回] 116.1    [K/9] 5.80 [BB/9] 1.86
評価:まずまずです(B)
休養を挟みながらキャリアハイの8勝。リーグ最多の10敗も、自己最多のイニング数を積み重ねた勲章か。制球が冴え、プロ入り以降は2に達したことがなかったK/BBは3.13まで改善した。

●増井浩俊
[試合] 15 [勝敗] 3-6    [防御率] 4.94
[投球回] 71.0    [K/9] 5.70 [BB/9] 3.68
評価:がんばりましょう(D)
チーム事情で先発に再転向したものの、奪三振率5.70はリーグ平均を下回り、防御率は自己ワースト。中継ぎ登板した日本シリーズ第4戦で黒星を喫し、史上9人目の2球団で日本シリーズ敗戦投手になった。

●山岡泰輔
[試合] 12 [勝敗] 3-4    [防御率] 3.89
[投球回] 69.1    [K/9] 9.61 [BB/9] 2.60
評価:がんばりましょう(D)
自己最多の12奪三振を挙げた6月8日の巨人戦後に右ヒジのクリーニング手術を受けて長期離脱も、日本シリーズで復帰して白星も。12先発、69.1投球回は奇しくも前年とまったく同じだった。
 ●ヒギンス
[試合] 49 [勝敗] 1-2 [防御率] 2.53 [ホールド] 28    
[投球回] 46.1    [K/9] 6.99 [BB/9] 3.69
評価:可もなく不可もなし(C)
昨季に続きチーム最多の29ホールドポイントを記録し、防御率もほぼ同じ。だが、奪三振率が3個近くも落ちるなど相手に慣れられた感もあり、CSと日本シリーズでは痛恨の被弾を浴びて退団へ。

●富山凌雅
[試合] 51 [勝敗] 2-1 [防御率] 2.72 [ホールド] 20
[投球回] 46.1    [K/9] 6.60 [BB/9] 3.30
評価:まずまずです(B)
自己最多にしてチーム最多の51登板。6月からは4か月続けて月間防御率1点台以下で、最も頼られる左腕リリーバーに成長した。被打率.261と苦戦した対左打者への対策が来季の課題。

●平野佳寿
[試合] 46 [勝敗] 1-3 [防御率] 2.30    [セーブ] 29
[投球回] 43.0    [K/9] 7.74 [BB/9] 1.88
評価:まずまずです(B)
メジャー帰りのシーズンは4月半ばに頸部痛で1か月以上戦線離脱も、復帰後はチームの課題だった抑えの穴をしっかり埋めた。与四球率1.88はセーブを挙げたリーグの全投手でベストと円熟味を増した。

●山﨑颯一郎
[試合] 9 [勝敗] 2-2 [防御率] 3.69
[投球回] 39.0    [K/9] 6.69 [BB/9] 4.62
評価:まずまずです(B)
トミー・ジョン手術明けで支配下復帰から1年足らずの間に、CSと日本シリーズの先発マウンドへ上がった。平均150キロ近いストレートとフォークは魅力いっぱいで、来季の飛躍に期待。
 ●K−鈴木
[試合] 34 [勝敗] 1-0 [防御率] 3.03    [セーブ] 2 [ホールド]    2
[投球回] 38.2    [K/9] 6.52 [BB/9] 3.26
評価:まずまずです(B)
救援一本に絞り自己最多の34登板。勝ちパターン外の役目が多かったが、プロ初セーブも記録した。ストレートは最速158キロと球威が増しており、これを三振奪取能力向上につなげたい。

●漆原大晟
[試合] 34 [勝敗] 2-2 [防御率] 3.03 [セーブ] 2 [ホールド] 4
[投球回] 35.2    [K/9] 5.80 [BB/9] 3.53
評価:可もなく不可もなく(C)
開幕から抑えを任されたが、4月10日の日本ハム戦でセーブに失敗すると中継ぎへ配置転換。同月下旬に2登板続けて白星が転がり込み、一時は8点台だった防御率も徐々に落ち着いた。

●比嘉幹貴
[試合] 32 [勝敗] 1-0 [防御率] 1.77 [ホールド] 11
[投球回] 20.1    [K/9] 6.64 [BB/9] 1.77
評価:まずまずです(B)
昨季と同様に登板数は多くなくとも、ほとんど点を奪われなかった。貴重な変則派としてブルペンにバリエーションを加え、日本シリーズ第1戦では救援史上最長年齢で勝ち星を挙げた。
 【野手】
●宗佑磨
[試合] 139 [打数] 481    [打率] .272
[本塁打] 9 [打点] 42 [OPS] .728 [盗塁] 8
評価:まずまずです(B)
ブレイク候補に挙げられていた通り、攻守に躍動。5月から「2番・三塁」に定着すると、ダイナミックな守備でゴールデン・グラブ賞受賞、プロ初のサヨナラ打やランニング本塁打など印象的な活躍も多かった。

●杉本裕太郎
[試合] 134 [打数] 478    [打率] .301
[本塁打] 32 [打点] 83    [OPS] .931 [盗塁] 3
評価:よくできました(A)
「最後の年」と意気込んだ今季は、青学大の後輩・吉田正をプロテクトする4番として大躍進。史上最低順位(ドラフト10位)からの本塁打王獲得に加え、CSファイナルステージでMVP、日本シリーズでは優秀選手にも選出された。

●紅林弘太郎
[試合] 136 [打数] 448    [打率] .228 
[本塁打] 10 [打点] 48    [OPS] .603 [盗塁] 2
評価:まずまずです(B)
球団初の10代遊撃手開幕スタメンに抜擢され、その試合でプロ初本塁打。年間でも10本塁打に乗せ、これも10代では球団初のことだった。三振の多さやリーグ最多17失策の守備と粗さもあるが、来季以降が楽しみだ。
 ●福田周平
[試合] 107 [打数] 408    [打率] .275
[本塁打] 1 [打点] 21    [OPS] .675 [盗塁] 9
評価:可もなく不可もなし(C)
野球人生初のセンター転向を志願。開幕してすぐに二軍へ降格も、5月の再昇格後は1番打者に定着。例年通り三振(52)に近い数の四球(43)を選び、テーブルセッターとしての役割を果たした。

●吉田正尚
[試合] 110 [打数] 389    [打率] .339 
[本塁打] 21 [打点] 72    [OPS] .992 [盗塁] 0
評価:よくできました(A)
2年連続の首位打者獲得に加え、出塁率.429、長打率.563、OPS.992もリーグベスト。四球と三振の割合を示すBB/Kは2.23と、今季も異常と言える打席アプローチを披露した。10月に右尺骨骨折もCSで復帰し、さすがの打撃でチームを引っ張った。

●T−岡田
[試合] 115 [打数] 357    [打率] .241
[本塁打] 17 [打点] 63 [OPS] .756 [盗塁] 2
評価:可もなく不可もなし(C)
タイトルホルダー2人に次ぐチーム3位の63打点。代打では打率.462に2本塁打と勝負強さを発揮した。9月30日のロッテ戦、9回2死から相手のマジック点灯阻止の逆転3ランは今季のチーム屈指の名場面だ。
 ●モヤ
[試合] 106 [打数] 354    [打率] .229
[本塁打] 13 [打点] 47    [OPS] .634 [盗塁] 1
評価:がんばりましょう(D)
自己最多の13本塁打と47打点を記録したが、前年からOPSは157ポイントもダウンするなど全体的な打席成績はいまひとつ。日本シリーズ第1戦では同点弾を放ったが、今季限りでの退団が決定した。

●安達了一
[試合] 100 [打数] 321    [打率] .259
[本塁打] 0 [打点] 18 [OPS] .653 [盗塁] 5
評価:可もなく不可もなく(C)
慣れない二塁を主戦場にして3年ぶりに100試合を超え、通算1000試合にも到達。プロ1年目以来の本塁打なしなど打力は低下したものの、若手が増えた内野陣でリーダーシップを発揮した。

●伏見寅威
[試合] 91 [打数] 238    [打率] .218
[本塁打] 4 [打点] 25 [OPS] .592 [盗塁] 0
評価:可もなく不可もなく(C)
自己最多の91試合に出場。打撃は全体的に低調ではあったものの、リーグ2位の盗塁阻止率41.5%の肩をはじめ、宮城と山﨑福の先発時はほぼスタメンマスクをかぶって好投を引き出すリードも光った。
 ●ジョーンズ
[試合] 72 [打数] 154    [打率] .234
[本塁打] 4 [打点] 23    [OPS] .677 [盗塁] 0
評価:がんばりましょう(D)
代打で打率.429/出塁率.568と貢献し、日本シリーズ第5戦では決勝ソロアーチ。2年契約が満了し、このまま退団が濃厚ではあるが、チームリーダーとして無形の価値を残した。

●太田椋
[試合] 53 [打数] 151    [打率] .172
[本塁打] 3 [打点] 9    [OPS] .439 [盗塁] 1
評価:がんばりましょう(D)
スタメン抜擢の開幕戦から我慢の起用に応えられず、5月半ばに二軍降格。それでも9月30日のロッテとの首位攻防戦で8回に同点弾、日本シリーズ第5戦では勝ち越し三塁打を放つなど随所に潜在能力を発揮した。

●若月健矢
[試合] 68 [打数] 117    [打率] .214
[本塁打] 5 [打点] 16    [OPS] .666 [盗塁] 1
評価:可もなく不可もなく(C)
伏見との併用で、後半戦は山本の専属捕手を務めて最優秀バッテリー受賞。10月9日のソフトバンク戦では自身初のランニング本塁打を記録し、OPS.666と5ホーマーは自己ベスト。

【監督】
●中嶋聡
70勝55敗18分 勝率.560(1位) 得失点差+71(2位)
評価:よくできました(A)
「育成」と「勝利」の両立は茨の道だったが、選手個々の最大値をうまく引き出しながら球団25年ぶりのリーグ優勝を果たした。2ランスクイズやバスターなどそつのない仕掛けも。

文●藤原彬

【著者プロフィール】
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。
 

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