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「買い手なしは驚きではない」「ベンチレベルの選手」ポスティング不成立の西川遥輝に現地メディアは冷静な声<2021百選>

日本ハム残留が決まった西川。事前情報もあまり出ていなかったように、彼の需要はメジャーで高くなかったようだ。写真:徳原隆元
 2021年のスポーツ界における名場面を『THE DIGEST』のヒット記事で振り返る当企画。今回は、昨オフMLB挑戦を試みた西川遥輝をピックアップする。年始早々、契約合意に至らず不成立に終わった理由は何か?スピード型の野手に対する現地評価を振り返る。

記事初掲載:2021年1月3日

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 日本ハムは1月3日、ポスティングシステムでメジャー移籍を目指していた西川遥輝が、契約交渉期限の米国東海岸時間1月2日午後5時(日本時間1月3日午前7時)までに契約合意に至らず、不成立となったことを発表した。

 予想されていた事態となった、と言えるかもしれない。このオフ、ポスティングでの渡米を決断した3選手——巨人・菅野智之、日本ハム・有原航平、西川——の中で、西川の評価は低かった。一つは、過去の日本人メジャーリーガーの中で野手の成功例が少ないこと、もう一つは西川のようなスピード型の選手の需要はメジャーで高くないことが挙げられる。

 果たして、スポーツメディア『CBSスポーツ』も、西川のポスティングが不成立になったと報じた記事の中で、「ニシカワが買い手を見つけられなかったのは驚きではない」と冷静な意見を述べた。

 同サイトでは、西川のことを「NPBのレベルにおいて、卓越した走力と素晴らしいコンタクト能力を発揮してきた」と称賛しつつも、「守備力は平凡、完全にパワーに欠けた打撃では、メジャー球団においては、ベンチレベルの選手としてしか見られない可能性が高かった」と辛辣な声も寄せている。
  西川は打率3割を2回クリアし、圧倒的な選球眼も持ち味で高い出塁率を記録してきた。そして盗塁王を3回獲得するなど、理想的な1番打者とも言えるような選手だ。しかし一方で、広い札幌ドームを本拠地としているとはいえ、本塁打数の過去最多は10本、通算長打率は.394と日本においてもパワー面は優れているとは言えない。また、4年連続でゴールデン・グラブ賞に選ばれている守備も、UZRはマイナス評価、特に故障した影響で送球面の貢献度が非常に低いのが弱点だった。

 不成立に終わったのも、西川のプラス面よりも、マイナス面を見られたことが背景だったと言えるだろう。また、『CBSスポーツ』はコロナ禍による各球団の大幅な減収でFA市場に寒波が訪れているのも、西川の契約の向かい風になったと同情の意見を寄せている。西川よりも評価の高い選手の“就職先”が決まっておらず、その中で優先的に西川を獲得する球団が少なかったのは事実だろう。

 もっとも、「コロナ禍ではない普通の年でも、ニシカワは苦しい戦いに直面していただろうが」と記事を締めくくっており、西川のようなタイプの選手の需要がメジャー球団の中では低いのは間違いないようだ。

 先日、西川はどんな契約内容でもメジャーに行く旨の発言をしていたが、取り巻く環境は予想以上に厳しかった。今後、再びメジャーを目指すのかどうか。いずれにせよ、2021シーズンは日本で活躍することが最低条件だろう。

構成●THE DIGEST編集部

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