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「ここにいられてハッピーだ」ジャーニーマンのルビオが見つけた“理想郷”「自分にとってベストな役割を手にした」<DUNKSHOOT>

ルビオはベンチスタートながら、平均得点で自己ベストの数字を叩き出すなど新天地キャブズで躍動している。(C)Getty Images
 去る今夏の7月29日(日本時間30日、日付は以下同)、スペイン代表の司令塔として東京オリンピックを戦っていたリッキー・ルビオのトレードが報じられた。

 一昨季にフェニックス・サンズでプレーしていたルビオだが、2020年11月16日にクリス・ポールが絡んだトレードでオクラホマシティ・サンダーへ移籍。それからわずか4日後、3チーム間の取引でNBA入りから6シーズン在籍したミネソタ・ティンバーウルブズへ帰還するも、わずか1シーズンでクリーブランド・キャバリアーズへ放出と近年はジャーニーマンとなっていた。

「この4年間、勝てていないチームへ行くことを妻に話したんだ。結局また再建のプロセスを渡り歩くことになるんだとね。そこで彼女は、家で僕の気分を(なんとかしてうまく)落ち着かせてくれた」

 12月6日に『The Athletic』へ掲載された記事の中で、このように振り返ったルビオ。キャブズは18年夏にレブロン・ジェームズがロサンゼルス・レイカーズへ移籍後、3シーズン連続で大きく負け越し、プレーオフ進出に程遠い戦績だったため、本人はショックを受けていたのだろう。

 もっとも、今季開幕から約1か月半が経過した今、ルビオは「調子はいいよ。それにここにいられてハッピーだ」と充実したシーズンを送れていることを明かした。

 それもそのはず。キャブズはここまで13勝12敗(勝率52.0%)でイースタン・カンファレンス9位。プレーイン・トーナメント進出圏内におり、31歳のベテランはジャレット・アレンやエバン・モーブリー、ダリアス・ガーランドといった若手を見事にサポートしている。
  ルビオはここまで25試合にフル出場しており、平均29.2分、13.3点、4.0リバウンド、6.2アシスト、1.2スティールと、平均得点でキャリアハイの数字を残している。

 彼が新天地キャブズで快適にプレーできている理由。それはJB・ビッカースタッフ・ヘッドコーチ(HC)の存在かもしれない。

「私が彼と交わした会話は、このチームがスペイン代表チームのリッキーを求めている、というものだった。リザーブとして、このチームの選手たちをセットアップしてほしかったんだ。彼はこれまで、いくつかのチームを引っ張ってきた。我々はまさに彼のようなタイプの選手を必要としていたんだ」(ビッカースタッフHC)

 キャブズはエーススコアラーのコリン・セクストンが左ヒザの半月板断裂のため今季絶望となる中、3年目のガーランドが得点源として活躍を続けているが、HCは「彼がフロアにいるだけで、ものすごく大きい。それは皆がいつでもボールを持たせてくれると分かっているからなんだ。彼には是非ともショーを続けてほしいね」と抜群の信頼を寄せている。

 そのルビオもキャブズでのプレーに満足しており、こんな言葉を残していた。

「僕はこれまで、トレードされてはイライラしてきた。『また自分の役割をこなして一から始めなきゃいけないのか』とね。エゴもあったから、余計にフラストレーションが溜まっていったよ。だけど(キャブズで)、自分にとってベストな役割を手にしたことで、これまでの経験を生かすことができている」

 昨季までのキャリア10シーズンで、ルビオがプレーオフの舞台に立ったのはユタ・ジャズ在籍時の18、19年のみだが、“理想郷”キャブズで自身3度目の出場を実現すべく、今後も奮闘を続けていくだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)
 

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