企業と共に、地域課題解決を。清水エスパルスが描くスポンサー戦略

コロナ禍でも30社のパートナーを獲得。強みは、SNSの発信力

ースポンサー営業において、コロナ禍の影響はどのようなものだったのでしょうか?

森田:どの企業様も、経営状況は苦しいと思います。その中でも、新規で30社とパートナーシップを組むことができています。

一番は、エスパルスのファンやサポーターのエンゲージメントの高さを認めていただいていることだと思います。地元企業ではフォロワー数が多い方ですし発信力も強みかなと。

ー具体的にどのような発信をされているのですか?

森田:一定金額以上のメニューではありますが、パートナーシップ締結後にクラブからリリースを出しています。ファンやサポーターの方々から「エスパルスを応援してくださってありがとうございます!」などと反響も大きくて。特にToBの企業様はお客様との接点が少ない場合も多く、喜んでいただけていますね。

リリースの企業様からのコメントもたびたび話題になっていて、熱がある企業様ほどファンやサポーターの方々が反応してくれます。単なる契約上での繋がりではなく、心から“繋がっている”象徴になっています。

ー**山下メロン園様とのパートナー締結のリリースが、熱くて印象的でした。**

森:私が担当させていただいた企業様です。もともと社長の山下様がエスパルスを昔から応援してくださっていて、何か一緒にできないかとお声がけいただいたんです。コラボ商品「エスパルス応援メロン」を出したり、ファンの方々や企業様と一体となって実施できました。

コラボ商品は、日常的にエスパルスに触れるきっかけになります。企業様も、エンゲージメントが高いファンやサポーターの方々にアプローチできます。それぞれの企業様に合う形で、「クラブの熱量を届けるには」という点を考えています。

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📢山下メロン園
クラブパートナー契約締結(新規)🤝

エスパルスは、山下メロン園(@yamashitamelon )とクラブパートナー契約を新たに締結し、2020シーズンよりご支援いただくこととなりましたので、お知らせいたします‼️

詳細は➡️#spulse pic.twitter.com/CoW51OyYOf

— 清水エスパルス公式 (@spulse_official) November 11, 2020

他にも、とある食品メーカー様との契約締結後は、サポーターの方々から「買いました!」という投稿がたくさんあがったんです。我々も驚くほどの反響があり、企業様からもスポンサー効果のひとつとして評価していただけました。

ー他に、印象に残っているスポンサー施策はありますか?

森田:しずてつジャストライン様(地元のバス会社)と実施した取り組みも、非常に好評でした。静岡市内の小学生に、下敷きを配ったんです。選手と監督の顔写真を背番号順に入れ、裏面にはバスの利用案内を載せました。

幼児向けのよだれかけも製作しています。エスパルスのマスコット「パルちゃん」「ピカルちゃん」を入れて、親しみやすいデザインを意識しました。クラブとしては幼い頃からエスパルスの刷り込みができ、しずてつジャストライン様についても地元の子供たちに知っていただくきっかけとなりました。ホームタウン活動として、非常に良い取り組みになったなと。


下敷き贈呈時の様子

森田:地元小学生の親子無料招待試合も実施しました。コロナ禍で外にあまり出られない状況が続く中、何かできないかと静岡県民共済生活協同組合様からお話をいただいたことが発端でした。

クラブ主導で県の教育委員会を巻き込み、同じ静岡県内のJクラブ(ジュビロ磐田、アスルクラロ沼津、藤枝MYFC)にも声をかけました。それぞれのスタジアムで実施して、約4,000組の親子さんが来てくれました。4クラブがともに取り組んだ事例のモデルケースです。今後も、一緒に静岡を盛り上げていく企画をしていきたいですね。

ー最後に、これからのスポンサーシップの在り方について、意気込みを一言ずつお願いします。

森:新しいことにどんどん挑戦していきたいです。今の社会で固定概念にとらわれていたら、先には進んでいけないかなと。情報をうまく拾い、新たなコラボや企画を実現したいです。

クラブとしては、幅広く吸収してアイデアを形にしていく力が求められていくと思います。一方でスポンサーシップに対し、根底にある考え方は見失わないようにしたいです。変わらず、地域と向き合うことを大切にしていきたいと思っています。

森田:静岡市は、人口減少が続いています。放っておくと地元のファンやサポーターの数も右肩下がりになっていくと思います。エスパルスの強みを地域に還元して、地元から愛着のあるクラブを目指したいですね。

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