家本政明が、主審を続ける理由。「ときには、嫌われる勇気」

スポーツ業界を志す上で必要な要素

ありきたりかもしれないですけど、情熱があるかないかは大きいと思います。僕は死ぬまでサッカーが好きな気持ちは変わらないですし、たとえ違う業界に移ったとしても完全に離れることはないと思います。サッカーの試合は、選手や観客の感情をすごく揺れ動かしますよね。サッカーが人を笑顔にすることは、僕の喜びでもあります。人生の大半をサッカーに捧げてきたので、この世界にしっかりと恩返しをしたいと思っています。

自分がどういう環境で働いたら感情が揺れ動くか。例えその仕事が月10万円だったとしても、やりたいと思えるのか。もちろん誰だって裕福になりたいとは思いますが、その環境に自分の全ての情熱を1滴も残さず注ぎ込めるかどうかがすごく大事です。

人を巻き込む魅力も必要です。あいさつや思いやり、違いを受け止めるなどの基本的なコミュニケーションは、非常に重要だと思います。そして、僕が大学院にいって一番感じるのは、常に挑戦し何かしらのスキルを身につけるということは、必ずプラスになるということです。20代の頃に今のスキルを持っていたら、もっといろいろな可能性が広がっていただろうと本当に思います。もちろん今でも遅くはないと思いますが、早いに越したことはないですから。

一つ怖いことは、知識はあるけど頭でっかちになって自ら行動しなかったり、周囲を巻き込めないこと。その知識が実際に現場で活かされなければ、身につけた意味がありませんよね。とはいえ、間違いなくスキルがあったほうが効率良く動けるようになります。想いがあっても、どう伝えたら良いかが分からなければ、あるいは伝えても伝わらなければ、理解はしてもらえず、人は巻き込めません。

それから、口だけで行動が伴わない人や言行一致しない人も人を巻き込めませんよね。自分以外の人と共有・共存できるかどうか、とても大事なことだと思います。

更には、時には嫌われてもかまわないという意識や覚悟を持つことも大事です。嫌われたくないという思いが強すぎると迎合が始まり、自分らしさをなくしたり自分を見失ったりすることに繋がります。それってとても苦しいですよね。

確かに我慢も必要ですが、もし今の環境が苦しくて潰れてしまいそうなのであれば嫌われることを恐れず、勇気を出して思っていることを仲間や上司と議論したり、仲間を巻き込んで現状を打破するような行動をどんどん起こせばいい。やるだけやってそれでもだめなら、現状にとらわれず、別の環境に飛び込めば良いと思います。

だって、世界はとてつもなく広いですし、自分を受け入れてくれる人や文化、自分が輝ける場所や世界は絶対にあるんです。今いる世界から離れたり、環境が変わったりすることは怖いかもしれないけど、自分が知らない世界は、実はめちゃくちゃすばらしい魅力ある世界が広がっているものです。そう考えれば、時に嫌われることも時に逃げることも、決して恐れるものでも悪いことでもはないと、僕は思っています。

この嫌われても構わないという意識は、ごちゃごちゃ言う暇があるならまずはやってみる、スピード感を持ってやりながら考える、という自らが行動を起こすことを躊躇しないために必要不可欠なものだと僕は思っています。

いつの時代も、失敗を恐れず、変化を恐れず、すぐ行動を起こす、修正し行動し続ける、これができる人は外部環境がどんなに変化しても、環境が違う世界へ飛び込んだとしても、自らの手と足で道を切り開き、元気に活き活きと生きているように思います。

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