IT化の波は審判の世界へ。REFSIXはレフェリーの救世主になれるか!?

転機となったのはApple watchの登場

REFSIXのCEO、Hassan Raiwani自身も現役レフェリーだ。彼が大学時代、レフェリーの資格を取得したあと、その提出するべき書類の多さに疑問を感じたことからこのアプリは生まれた。その構想は彼の卒業論文に端を発する。当時はスマートフォンをピッチ上に持ち込む以外の方法がなく、このアイデアは成立しないと思われた。しかし2015年にApple Watchが登場すると、REFSIX実現への動きが加速する。同年に英国ブライトンで創業を開始し、その後のApple Watch 2のGPS搭載などの技術的な成長に合わせて、REFSIXも進化を遂げてきた。

Raiwani氏以外にも、REFSIXの創業メンバーはそのほとんどが現役/元レフェリーである。さらに、最初のプロトタイプ完成後1年間で5か国50人のレフェリーにサンプリングを行い、フィードバックを受けた。その中で国ごとに求められる機能の違いも浮き彫りになった。得点時、得点時間のみを記録すればいい国と、得点者との両方を記録しなければならない国がある。不吉とされる13を背番号に設定しない文化圏や、変動背番号制のリーグへの対応も必要だとわかった。それらの機能は現在インストール時にそれぞれ設定することができる。まさにレフェリーによって生み出され、レフェリーによって育てられているアプリだ。

たとえば、今後データの統計機能がパワーアップすれば、自分のジャッジの傾向を振り返ることも可能になる。また、どの地点からどのジャッジを行ったのかがわかれば、ポジショニングの反省も行える。こうしたデータの蓄積が世界のレフェリーレベルを高めていくことは疑う余地がない。すでに、REFSIXを通じて集められたデータを元に、レフェリーアセッサー(レフェリー指導者)向けのアプリの開発も進んでいる。レフェリー個人の得意不得意を分析し、一人ひとりに最適なトレーニングや育成方法を確立することができるようになるという。

もちろん普及への障壁もある。新たなテクノロジーへの不安感を拭うには時間がかかる。スマートウォッチありきのサービスであるため、初期投資が必要になることも、兼業審判には大きなハードルだ。本田氏は日本においてその壁を乗り越えるべく、JFAの審判委員会にも働きかけ、機能面やサポート面へのフィードバックを受けながら浸透の足掛かりを探っている。すでに導入している個人向けにも、SNSを通じたフォローアップサービスも行っており、[[email protected]]()、Twitter、facebookの公式アカウントのメッセージ機能から質問を送ると、回答を得られる。ちなみにW杯期間中、Twitterとfacebook上でその日の注目試合のレフェリーチームを主審の豆知識入りで紹介してくれている。サッカー談義のなかでさりげなく披露したい。

新たなテクノロジーは、時に反発を伴う。しかし、これからのスポーツの進化はITの進化とともにあることを、ロシアで行われているW杯はすでに私たちに示している。壁を越える労力に余りある価値が、サッカー界にもたらされることは想像に難くない。

問い合わせ先: [Website: refsix.com/japan]()

Twitter: @REFSIXJapan

[[email protected]](): @nta4069s

関連記事