立飛ホールディングスが描く、「スポーツの街・立川」の未来

スポーツチームの応援が、アリーナ建設のきっかけに

私は高校、大学と弓道をやっていました。ただ、技術的な面や、体形にも左右されることもあって、なぜ始めたのかと後悔したことも。7年間、ずっと恥をかいているような感覚でした。

それでも、親からは弓道を通して「変わったね」と言われました。私は人前に出ることが苦手で、常に下を向いていましたから。弓道をやっていなかったら、今は違った人生を歩んでいたと思います。

大学卒業後は、立飛企業株式会社(現・立飛ホールディングス)に入社して、野球部に入りました。人数が足りないという理由で仕方なく入りました。後ろ向きでした。

私が入部したときは立川の社会人リーグで3部でしたが、今では1部の上に当たる特A(トップリーグ)。野球部は会社の広告塔のような存在として、昔から大事にしています。

2009年には代表取締役社長に就任。スポーツは街の活性化につながると思っていたので、部活動以外にも何かスポーツに携わりたいと考えていました。そうして最初に始まったのが、同じ多摩地域を拠点とする東京サンレーヴスさん(現在はB3リーグに所属)の応援です。

サンレーヴスさんとはBリーグ開幕前からお付き合いをしていて、ある日、代表の方から「(立川で)3カ月で3,000人規模のアリーナが作れる」「自分たちのホームアリーナにしたい」という話がありました。もちろんスポーツ協賛は地元のためになると考えていましたが、どうせ作るのであれば、これから開幕するBリーグの仕様に合わせて建設したいなと。

設計には元選手の方も携わって、今までにないアリーナの形ができていきました。大きな売りは、駅から徒歩30秒というアクセスの良さ。しかも、建設するタイミングも絶妙だったんです。

アリーナ立川立飛は2017年10月に完成しましたが、その前に立川の飲食店で大きな出会いがありました。お店でたまたまアルバルク東京さんの関係者の方と知り合って、クラブがアリーナを探しているという話を聞いたんです。そこでアリーナ構想について話したところ、社長を紹介していただいて。直接お話しした結果、アルバルクさんがアリーナ立川立飛をメインアリーナとすることが決まりました。

ハードを整える上で重要なのは“トイレ”

アリーナ立川立飛の最寄駅は、多摩モノレールの立飛駅です。2015年には駅直結のららぽーとがオープンしましたが、商業施設だけだと集客が難しいというのも、アリーナを建設した理由の一つにあります。

これがまさにハマりました。アリーナではBリーグだけでなく、様々なスポーツの試合を行なっていますが、その前後にお客様がららぽーとに足を運ぶんです。また、駅の反対側には「TACHIHI BEACH」というバーベキュー場をつくり、ビーチスポーツも開催できるので、立川にはスポーツの文化が広がっていきました。

私がこういったハード面を整える上で重視しているのは、トイレです。アリーナの1階にはトイレが男女ともに2つずつあって、2階には女性用が2つ。女性は個室だけなので、どうしても数が足りなくなってしまいがちですが、男女で数を合わせています。

また、トイレの清潔感を保つことにもこだわっています。いくら評判の良い場所でも、トイレが清潔でないと、女性の満足度は下がるのではないかと。もし歴史があって古くても、清潔感がないといけないんです。

民間のアリーナだからこそ、思い立ったときに行動しやすい部分はありますね。話によると、民間でアリーナを持っているのは、当社だけなんだとか。残念ながら延期になってしまいましたが、東京五輪に向けてスポーツを盛り上げるため、深夜でもアリーナを貸し出すつもりでいました。

コロナ禍でもやらないと経済は止まる

今の立飛はまだ仮の姿だと思っています。2015年にららぽーとが完成して、2020年にはホールやホテル、商業施設などが一体化した「GREEN SPRINGS」をオープンしました。5年のスパンでインパクトのある開発を考え、その間は街の活性化に徹していきたい。まだまだやりたいことは2割くらいしかやっていないという感覚です。

その中でスポーツという文化はもちろん重要ですが、やはりプロの試合を生で見られるのが一番ですよね。私は野球部に所属していたこともあり、球場に行くと効率的に行なわれる試合前の練習がすごく気になってしまいます。これは配信では得られない情報ですし、やはり地域の方々にそういった、生だからこそ味わえる楽しみを提供したいなと。

今はコロナウイルスの影響で、多くのイベントが中止になっていますが、結局はやらないと経済が止まってしまいます。新型コロナウイルスで亡くなる方は増えていますが、経済が止まれば非行や犯罪が増えて、自殺者も出てくるのではないかと。更に悲惨な状況になってしまうのではないでしょうか。

だからこそ、活動を早く再開することに意味はあります。まずは立飛が率先して盛り上げて、スポーツ界に協力していきたいですね。

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