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“違いが分かる”尾関彩美悠が今季初の首位発進 朝イチスタートで今季自己ベスト「67」

首位タイで初日を滑り出した尾関彩美悠(撮影:佐々木啓)

<KKT杯バンテリンレディス 初日◇12日◇熊本空港カントリークラブ(熊本県)◇6518ヤード・パー72>

プロ3年目の尾関彩美悠が6バーディ・1ボギーの今季自己ベストとなる「67」で回り、今季初の首位で滑り出した。

1番パー4でピン奥5メートルを沈めてバーディ発進。11番パー5は残り90ヤードの3打目を1メートル、14番パー4は残り125ヤードを9番アイアンで50センチとピンに絡めた。18番パー5も2メートルを沈めバーディで締めくくった20歳は、「大満足です。ショットがすごく良かった。カラーに乗ったのも含めたら、ほぼパーオンできた。第1組のスタートで気持ち良く回れました」とほほ笑んだ。

今季は開幕から4試合で3度の予選落ち。生命線のショットが定まらなかった。流れが変わったのは2週前の「ヤマハレディース葛城」。練習日に昨年まで使っていたアイアンに戻してからだった。

まったく同じモデルのアイアンで、シャフトもグリップも同じ。唯一、旧アイアンと違うのは「彩美悠」の刻印だけだったが、それが違和感の原因だった。「メーカーさんがせっかく名前を入れてくれたけど、刻印で削れた分だけヘッドが軽くなったのかな」と冗談っぽく笑ったが、同じ工程、同じ素材で作っても、まったく同じモノができないのが物づくりの難しさ。試しに目隠しをして新旧のクラブをランダムに振ってみたが、見事に“全問正解”だったという。

「明らかに振り感が違いました。去年のアイアンを持って来てくれていた父に感謝です」

ヤマハレディース葛城では予選を通過して59位。続く「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」は3日間ともオーバーパーを打つことなく19位に入り、反撃の態勢を整えた。

「ヤマハのときにヘッドが開きすぎていたことに気がついた。ボールが左に行くのを嫌がっているうちに、どんどん開いていった。自分では『かぶりすぎかな』と思うくらいにしたら、すごく良くなりました」

自分の感性を信じて戻した昨年のアイアンのおかげで感覚もよみがえり、昨年10月の「マスターズGCレディース」第3ラウンド以来となる首位に立った。プロ1年目の22年にツアー初優勝。だが、昨年はメルセデス・ランキング41位と苦しんだ。「マスターズGCの最終日は自分のペースでできなかった。今週チャンスがあれば、あのときのことを生かしてやりたい」。

目指すは2勝目。昭和の時代に「違いが分かる男」というインスタントコーヒーのCMでのキャッチコピーが流行語になったが、「違いが分かる女」が切れ味が戻ったショットで、てっぺんを取りにいく。(文・臼杵孝志)

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