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「大変なこともいい経験に」 識西諭里が“欧州女子代表”として臨む一戦へ

すっかり海外ツアーにも慣れた識西諭里 優勝を目指して、いざ出陣(撮影:ALBA)

<ISPS HANDA・ワールド招待 事前情報◇16日◇ガルゴルム・キャッスルGC、キャッスルロックGC(北アイルランド)◇6486ヤード・パー72、6231ヤード・パー73>

今季から欧州女子ツアーを主戦場にする識西諭里が、約1カ月ぶりとなる試合に臨む。先週は全英女子出場権をかけた予選会や、英国滞在期間を利用して3ラウンドを行ってきたが、ツアーでの実戦はひさしぶり。「(状態は)6割くらい。試合勘が完全に戻っているわけではないので『どうなのかな?』というのが3割、課題が1割」というなか、練習日に計45ホールを消化して臨戦態勢を整えた。

当初ウェイティング枠にいて、出場できるかどうか微妙だったところから得たチャンスだ。欧州女子ツアーだけでなく、DPワールド(欧州男子)ツアーと米国女子ツアーが共同で開催する大会は、林間のガルゴルム・キャッスルGCと、リンクスのキャッスルロックGCという趣がまったく異なる2つのコースが使用される。

識西は予選と決勝が行われるガルゴルムを計27ホール、予選のみのキャッスルロックを18ホールプレーし、その違いを確かめた。「メインコース(ガルゴルム)は木に囲まれてラフが深くて、狭いホールが多い印象でグリーンも軟らかめ。むこう(キャッスルロック)は木が一本もなく、グリーンもフェアウェイも硬い。攻め方がまったく変わってくる印象です」。例えばパー5で2オンを狙う際、キャッスルロックは手前から転がして乗せていくイメージだが、ガルゴルムはしっかりとピンを狙う、という塩梅だ。この「切り替え」が重要になる。

日本などではあまり見かけない男女同一開催だが、欧州を主戦場にする識西にとっては、珍しいと感じるものではない。今回はあくまでも男子と女子の別の大会だが、男子と同じ組で回り、順位も混合で出される6月の「ボルボ・カー・スカンジナビアミックス」(スウェーデン)にも出場している。「今回は(男女が)違う組ですし、米女子ツアーの選手もQシリーズとかで会ったことがある選手ばかりなので、浮足立つことなくできてます」と、その雰囲気にのまれることもない。

それどころかむしろ“メリット”の大きさを感じている。「練習ラウンドで、欧州男子ツアーを私の人生(識西は26歳)よりも長くプレーしている選手や、米国女子ツアーで14年間戦っているという選手と回って、いろんなお話を聞いたり、ゴルフを見ることができた。すごく勉強になりました」。海外ツアーで生き抜くための経験、そして技を肌で感じられたことは、“ルーキー”にとって大きな刺激になったようだ。

戦う環境を求め、昨年末にスペインで行われたQTを経て渡った欧州の地。「試合があることが、すごくありがたいという気持ちでいっぱいですし、楽しめています。大変なこともたくさんありますけど、それも含めていい経験をさせてもらっている」という姿は、たくましい。

今季はここまで12試合に出場。トップ10入りが2度など、現在ポイントランキング53位と上位60位までが目安になるシード争いを続けている。「ショートゲームをもっと磨くべきだと身を持って感じてきました。あとは芝への対応。飛ばす選手が多いので飛距離が結果にすぐにつながるとは思っていません」。試合に出続けたからこそ分かる発見も、やはり多い。

今季の目標に掲げるのは、もちろん「優勝」。そこに向け、厳しい環境に身を置きながら試行錯誤を続ける毎日だ。「(今週は)カットが(予選と3日目の)2回あるので、まずは4日間しっかりと回り切りたい。1ショット1ショットを意義のあるものにしたいですね」。“欧州女子ツアー代表”としての誇りを胸に戦っていく。(文・間宮輝憲)

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