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コースは家族3代目の会員 ホイレイク在住の27歳、マシュー・ジョーダンが“超地元”でトップ10

見よ、この晴れやかな表情を。マシュー・ジョーダンが“超地元”でトップ10入りを果たした(撮影:GettyImages)

<全英オープン 最終日◇23日◇ロイヤル・リバプールGC(イングランド)◇7383ヤード・パー71>

コースの愛称“ホイレイク”に住む27歳にとって、今週はまさに人生最高の1週間だった。マシュー・ジョーダン(イングランド)が最終日に「70」でプレーし、トータル4アンダーの10位タイに食いこんだ。

隣町のウエスト・カービーで育ち、いまはホイレイク在住。ロイヤル・リバプールGCは家族で“3代目”となる会員で、主戦場とするDPワールド(欧州)ツアーの試合に出場しないときにはメインの練習場所として使用する。ラウンドした回数は数知れず、コースレコード『62』の保持者でもある。

全英には“聖地”セント・アンドリュースでの昨年大会などこれまで2度出場しているが、今年の経験はまた一味も二味も違う。39年ぶりに同コースで全英が行われてタイガー・ウッズ(米国)が制した2006年大会に訪れ、当時18歳だった14年大会ではロープ内を歩くことを夢見る青年へと成長していた。そして、それから9年が経ち、予選会を突破してその夢を叶えただけでなく、週末にも進んだ。

スポットライトを浴び続けた1週間だった。「プレッシャーがかかるような最高の大会では、かなりいいプレーができるんだ。でも今回は、あらゆるものからのプレッシャーで、まったく新しい経験だった」。地元からの期待は大きく、もちろん緊張もあった。そのなかで最後まで戦い抜き、結果を出すことができた。「自分にとって一番の誇りかもしれない」と胸を張り、白い歯が光る。

72ホール目として迎えた最終18番では見せ場も作った。ティショットを大きく左に曲げて、ギャラリーロープならぬ柵の近くを歩いて移動した。「手すりのせいで、ファンのみんなと一緒に歩かないといけなかった。そしたらみんな笑って冗談を言いながら、応援してくれたんだ」。ピンチでも励まされ、最後は2メートルを沈めてのバーディ締め。これでトップ10に滑り込み、ロイヤル・トゥルーン(スコットランド)で行われる来年大会への切符も獲得した。

「ファンのために、そしてホームコースの全英オープンで最後にバーディを決めるという究極の気分を味わえたことは、まさに素晴らしいことだ」と、降りしきる雨の中で余韻に浸る。ホイレイクを代表する、新たなスターが生まれた瞬間だった。(文・笠井あかり)

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