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「20位でも優勝の価値」 初めてプロテストに挑む“高校生”は21人…日本女子アマ女王らは“独特な雰囲気”をどう感じている?

プロテスト初挑戦の飯島早織は、日本女子アマを制した自信を胸に大一番に臨む(撮影:福田文平)

<JLPGA 最終プロテスト 事前情報◇30日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)◇6419ヤード・パー72>

最終プロテストに出場する101人のうち、注目の馬場咲希もいる2005年度生まれの世代21人にとっては、今年が初めてのプロテスト挑戦になる。すでにツアープロとして活躍する選手たちでさえ“独特の雰囲気”、“もう2度と味わいたくない”などと口をそろえる舞台は、彼女たちの目にどう映っているのだろうか?

今年6月の「日本女子アマ選手権」を制した飯島早織(ルネサンス高3年)は、「今までの試合で緊張して寝られない、とかはなかったんですけど、今回はすごく緊張しています」と直前の心境を話す。コースの雰囲気自体は、まだ開幕前ということもあって大きな違いは感じないが、それでもソワソワする気持ちを否定することはできない。

コースもすでに「7日間から8日間」も回って、入念に確認済み。「木が無くて風が吹き抜ける印象で、高低差もない。グリーンに細かい傾斜が入っているのでラインが少し読みづらいかな。グリーンはやわらかめで、晴れ予報も出ているのでピンデッドに狙っても止まりそう」と、合格のためトータルアンダーパーに潜ることを自らに課している。

いいところまでいっても、これまではなかなか手に入らなかったビッグタイトルも、ついにつかみとる年になった。6月に獲った日本タイトルは「自分のなかで勝てるゴルフの経験ができたので、それを生かしたい」と、今回の大きな指針にもなる。「テストは(合格ラインの)20位タイにも優勝みたいな価値がある。一打一打を大事に」。とにかくボーダーを突破すること、それだけを目指す戦いが始まる。

今年はレギュラーツアーにも5試合出場し、グリーン周りなどプロのセッティングの厳しさも学んできた。そこで得た課題はアプローチの技術。そして細かい技に費やしてきた時間は、「このコースは外す場所次第でライも難しくなるけど、そういうアプローチやラフからの打ち方を1年間磨いてきました。グリーンを外すことは怖いと思っていません」という自信につながっている。「去年はパットの調子が悪くてスコアにつながらなかった。でも今年はすごく調子がいい。どれくらいこのコースでスコアを作れるかが楽しみです」と最後に笑う姿をイメージしていく。

そしてもう1人。「今は緊張よりも楽しみが大きい。早く(最終日の)金曜日になって欲しいな。1次、2次より緊張感がないですね」と話すのが清本美波。愛知県の誉高に通う高校3年生だ。1次、2次と勝ち抜き、この最終までコマを進めてきた。

1次予選をトップ通過し迎えた三重県での2次は、初日に「77」を叩いて75位と出遅れるピンチも訪れた。「ダメなところが全部出ました。お父さんにも『笑おう、笑おう』って言われて。プレッシャーですかね」。そこから巻き返し、見事15位で突破。この大事な舞台で土壇場での強さも証明した。

今年は“プロテストの重圧”とも戦う年になった。春先にはテストでの合格を意識しすぎるがゆえ、スコアばかりを追い求めスイングを崩したことも。「ティショットを打つのが怖くなってしまって。その時期は『18ホールを回り切る』ことが目標でした」。そんな不振から自分を救ったのが「楽しもう」という精神。それが2次予選で窮地から脱するための大事な要素にもなったわけだ。

緊張感が高まりそうな開幕前日も、笑顔がこぼれる。今年は予選を勝ち抜き「日本女子オープン」に出場するなど、大きな舞台も踏んできた。「プロテストにつながるようにと思って(試合も)やってきました。あとはやるだけって感じですね」。“独特な雰囲気”すら楽しむーー。そうやって合格へ一歩一歩近づいていく。(文・間宮輝憲)

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