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吉田優利が連日のアンダーパーで一人旅 “三大要素”が合致して「気持ちよく打てている」パッティングが原動力

吉田優利は安定したパットで、後続に4打差をつける首位に躍り出た(撮影:上山敬太)

<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 2日目◇5日◇茨城ゴルフ倶楽部 西コース(茨城県)◇6780ヤード・パー72>

出場120人中、初日はアンダーパーが4人しかいなかった。2日目は午後から風が強くなりアンダーパーをマークしたのは、さらに少ない3人となった。初日「71」で回った吉田優利は、この日も5バーディ・2ボギーの「69」と連日のアンダーパー。トータル4アンダーまで伸ばし、1打差の2位から2位に4打差をつける単独首位で週末を迎える。

初日は午前よりもグリーンが硬く、風が吹く難しいコンディションになる午後スタート組でプレーした吉田は、「今年で一番いいゴルフというか、自分が納得できるゴルフができた」と話す。すべてがうまくいったわけではない。ティショットで林に入れることもあった。パーオン数は18分の10と高い数字ではない。しかし、大ケガしないマネジメントとショートゲーム力で耐えた。

2日目は午後から風が強くなったが、吉田がラウンドした午前中の前半はピンフラッグがほとんど揺れない状況。「前半はリズムよく回れてショットもパットもよかった」と、丁寧なプレーを重ねて3バーディで折り返す。だが後半は、「うまくアドレスが取れなくなってきていて、いいショットが打てないことを前提に戦略を立てました」。風に惑わされてショットもややブレ始め、「パッティングが入らなければボギーの回数が増えるかも」と“ボギー覚悟”でプレーを続けた。気持ちの切り替えをしたことで5番、6番で連続ボギーがきても動揺することはない。逆に最終9番パー4では5メートル強のバーディパットを沈めてフィニッシュ。「後半崩れかけたけど、うまく持ちこたえたと思っています」と60台を達成した。

ショットも決して悪い状態ではないが、2日間のスコアを支えるのは、パッティングである。結果的にカップインする、しないに関係なく「自分が気持ちよくストロークできているかどうかが一つのポイント」と納得の表情を浮かべる。

納得できる基準は「ライン取りと(ボールの)回転、(ボール)スピード」の3つの要素を挙げる。曲がるラインでは狙ったラインに対して適正なスピードで順回転ならカップに吸い込まれやすい。ラインに対してスピードが速すぎたり、遅すぎるとカップに嫌われる。

「三大要素が全部合っていて入る回数も増えました。(入らなくても)どれか一つ合わなかっただけで、スコア以上にすごく満足度は高いゴルフでした」。この2日間は、自身の評価基準をクリアする回数が多かったと、グリーン上でストレスを感じずにプレーできている。

昨季は2位の5回を含むトップ5入りは9回を数えたが、優勝には手が届かなかった。未勝利ながら獲得賞金は1億1444万円を超え、賞金ランキング6位に入る“高値安定”が光った。いつ勝ってもおかしくない状態ではあるが、「自分の中で優勝はもちろんしたいですけど、結果だけを追わず、過程を大事にしなければいけない」と1年を過ごした。今オフも特に何かを変えたわけではなく、これまでの積み重ねでより精度を高めることを追求した。

優勝に対して焦りもなく、メジャーというタイトルにも大きなこだわりはない。「全部がうまくいくわけではないし、その中でいかにスコアメイクするかがプロだと思う。そこに関してベストを尽くしつつ、その場の一打に対応していけばいいなと思います」。この日風が強くなってきた後半に気持ちを切り替えられたように、冷静な判断力も強みだ。2シーズンぶりの優勝に向けて残り36ホールの戦いが始まる。(文・小高拓)

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