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【#1】1年やってスコア「135」かよ!そんなクソゲーゴルフ、大好き。

ゴルフ沼,初心者,ラリー遠田

皆さま、はじめまして。ライターのラリー遠田と申します。普段は主にウェブメディアや雑誌でお笑いに関する評論記事を書いたり、芸人さんにインタビューをしたりする仕事をしています。

お笑いに関する仕事が多いので「お笑い評論家」という肩書もありますが、日常で自分からそれを名乗ることはありません。

酒の席で「えっ、お笑い評論家なの? じゃあ俺のことも評論してよ!」などと、赤ら顔の村一番のお調子者みたいな人に絡まれて返答に困ることもちょくちょくあるからです。

そんな私が今から約1年前、2021年3月にゴルフを始めました。41歳、社会人男性としてはやや遅めのスタートです。コロナ禍で家にこもりがちだったので、外に出て運動不足を解消するための趣味としては悪くないかな、と軽い気持ちでやってみることにしたのです。

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正直なところ、この時点で私はゴルフをなめていました。ゴルフスクールに通って、プロから指導を受けて、そこそこ練習していればそのうち打てるようになるだろうし、100も切れるようになる。そして、そのぐらいまでできるようになったらすぐに飽きちゃうだろうな、と。

最初に読んだ何冊かのゴルフ関連書の中に、1年で90切りを達成した人の本があったのも良くなかったのかもしれません。その人は、週1回の簡単な練習だけで、1年で100どころか90を切れるようになったというのです。

「100切りできたら初心者は卒業だと言われているし、練習すればすぐに切れるんだろうな。よし、とりあえず1年で100を切ることを目標にしよう」

そんな甘い考えで私はゴルフ沼へと足を踏み入れることになったのです。そこはまさに「沼」でした。実際の底なし沼のようでもあるし、『カイジ』に出てくる難攻不落のモンスターパチンコ台「沼」にも似ていました。

レッスンを受けても練習をしてもコースに行ってもなかなか上手くならず、ミスショットを連発して「ぐにゃあ」となることの繰り返し。ある日、何となくコツがつかめてうまく打てるようになったと思ったら、次の練習のときにはすっかり忘れて元に戻っている。そんなことが(大げさではなく)何十回もありました。

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あれから1年。100切りを目指してそれなりに真剣に取り組んできた私のベストスコアは、なんと驚異の「135」です。

ゴルフを知らない人にはピンと来ないかもしれませんが、これは相当ヤバい数字なのです。『ドラゴンボール』で言えば戦闘力5。ラディッツに瞬殺された農家のおじさん並みです。少なくとも私は、自分ぐらい練習していて自分よりスコアが悪い人にまだ会ったことがありません。(いたら教えてください)

私の体感で言うと、クラブの握り方もわからないレベルの本当の超初心者を除いた、ゴルフを普通にやっている人の平均スコアは、初心者なら「100〜120台」、中級者なら「90台」ぐらいだと思います。130台はそれにも満たない、本当にありえないぐらいの数字なのです。

ゴルフというのは世にも恐ろしい世界で、ベストスコアが90台、いや、80台ぐらいの人が、平気で「下手の横好きへっぽこゴルファーです」みたいな自己紹介文をSNSで公開したりしているのです。いや、アンタが下手なら135のワシは何やねん。興奮のあまり関西弁でツッコみたくなります。

1年間、自分なりに必死にやってもあまり上手くならなかったことには絶望もしていますが、唯一の収穫は、とんでもなくゴルフが好きになったことです。そう、ここまでネガティブなことばかり書いてきましたが、好きなんです、ゴルフ。

普段からずっとゴルフのことばかり考えているし、お金や時間に制限がないのなら、毎日でもゴルフをやり続けたい。そのぐらい夢中になっています。もともと運動やスポーツをあまり真剣にやっていたことがないので、これほど1つのことにハマるのは初めてのことです。

そんなリアル「下手の横好きへっぽこゴルファー」の私は、この連載の中で、自分が今までにどういう失敗をしてきたか、そのときにどう感じたのか、といったことを赤裸々に書いていきたいと思います。恐らく世の中のゴルフ連載ライターの中で最も下手なのが私でしょう。その意味では、この連載は前代未聞の企画です。「135」の人間は存在自体を許されていないのに、自分から何かを発信するなんてありえないことだからです。

なぜ下手なのにゴルフ連載を持つのか?

私は、現在のゴルフ業界の情報発信のあり方に物足りなさを感じているところがあります。とにかく、私のようなガチの初心者向けの情報が少なすぎるのです。

ゴルフは敷居の高いスポーツだと思われています。道具を揃えるのにも練習にも実戦にもそれなりにお金がかかるし、やたらとマナーにも厳しかったりする。さらに、専門用語が多くて説明がわかりづらいし、練習してもなかなか上手くならない。

「ドライバーのスライスを直す方法」のような、個別具体的な技術論を語る記事や動画はたくさんありますが、もっと根本的な、始めたばかりの初心者がつまずくようなところにそっと寄り添うような情報が、どうにも不足している気がして仕方がないのです。

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正直、私には十分なゴルフの経験も知識も技術もありません。でも、そんな私の等身大の失敗や挫折の経験を語ることで、「下には下がいる」ということを知って勇気づけられる初心者の方も結構いるのではないかと思うのです。

さらに言えば、ゴルフに興味がある人や、これからやろうかなと思っている人には、リアルなビギナーの悪戦苦闘の様子がわかって参考になるし、「こんな下手な人でも楽しくて仕方ないって言ってるなら、ゴルフって面白いのかもしれないな」と思っていただけるかもしれません。

最初なのでいろいろ言いましたが、ゴルフは本当に楽しいです。ぜひ多くの人にやってもらいたいし、ゴルフの楽しさを知ってほしい。そのために恥をさらすことに決めました。

さあ、みんなでゴルフしようぜ!沼に溺れようぜ!沼の泥が口に入ると結構苦いけどな!(第2回に続く)

ライタープロフィール

ラリー遠田 (らりーとおだ)
ライター、お笑い評論家。主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材などを手がける。『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)など著書多数。
2021年3月にゴルフを始めて、ゴルフ沼にどっぷりハマる。当面の目標は100切り、将来の夢はゴルフコンペ「ラリー杯」を主催すること。

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