【#2】ゴルフ沼、通過儀礼の「ダフリ」 痺れる腕と苦痛で歪む顔

ゴルフ沼,初心者,ラリー遠田

どうも、ライターのラリー遠田です。1年前に100切りを目標にゴルフを始めたら、100どころか130も切れなかった雑魚ゴルファーです。今回は、そんな私がゴルフを始めたきっかけについて書きたいと思います。

何を隠そう、私をゴルフ沼に引きずり込んだのは、本連載を担当しているイケメン編集者のスダ(仮名)でした。長引くコロナ禍に息苦しさを感じていたある日、スダが「ゴルフやりませんか?」と声をかけてきたのです。

このときの彼のプレゼンは見事なものでした。ゴルフはお金がかかるイメージがあるかもしれないが、最近はプレー代も安くなっていて、昔ほど敷居は高くない。自然に触れて爽快な気分になれる。アウトドアのスポーツなのでソーシャルディスタンスも保たれていてコロナ禍でも平気。

当時の私は、ちょうど1つの趣味に飽きつつあって、別の趣味を探していたこともあり、渡りに船とばかりにそこに乗ってみることにしたのでした。

イケメンの巧みな弁舌に乗せられて、地獄への片道切符を受け取り、沼に引きずり込まれていく。典型的な人生破滅シナリオですが、彼が誘ってきたのがマルチ商法やカルト宗教ではなく、ゴルフだったのは唯一の幸運でした。

「とりあえず、打ちっぱなしに行ってみましょうよ!僕が行ってるところは有名芸能人もよく来てるんですよ!クラブはレンタルできるから持ってなくても大丈夫です!」

ゴルフ沼,初心者,ラリー遠田
写真:p_saranya

そう言われて、まずはやってみるか、大物芸能人に会えるかもしれないし、と軽い気持ちで一緒に練習場に行くことにしました。

初の打ちっぱなしへ 踏みだした第一歩

それにしてもなぜゴルフの練習場だけは「打ちっぱなし」と言われているのでしょうか。その理屈で言うと、バッティングセンターも「打ちっぱなし」だし、射撃場は「撃ちっぱなし」、コロナワクチン接種会場は「打ちっぱなし」になるはずですが、あまりそういう言い回しは聞きません。

部下に仕事を投げっぱなしの上司は無能だし、おもちゃを散らかしっぱなしの子供はママに怒られます。打ちっぱなしという表現にもそんな野放図な感じがあって何だか怖いです。

ゴルフ沼,初心者,ラリー遠田

スダに連れて行かれたのは都内屈指の広々とした練習場でした。とりあえず、受付で基本のクラブとされる7番アイアンを1本借りて、スダの隣のブースで打ち始めることにしました。

当然、なかなかナイスショットは打てません。いや、打てないどころじゃない、そもそも当たらない。事前に最低限の打ち方の知識をネットで調べていましたが、そんな付け焼き刃でどうにかなるものではありません。

空振り、トップ、チョロ、シャンク、あらゆるミスショットを繰り返しましたが、その中でも文字通りの意味で一番痛いのがダフリでした。クラブがボールに達する前に勢いよく地面にぶつかってダフると、クラブを持つ手にしびれるような衝撃が走ります。

最初だから上手く打てないことは覚悟していました。しかし、ダフリがこんなに痛いとは。ダフったときのドスンという鈍い音は絶望の響きです。1時間ほどの練習を終える頃には、体はすっかりボロボロになっていました。

ゴルフとは肉体的苦痛を伴うのである

ゴルフ沼,初心者,ラリー遠田
写真:allensima

この日の練習で学んだのは「ゴルフは誰かに教えてもらわないとどうにもならない」ということと、「ダフリはめちゃくちゃ痛い」ということでした。

ゴルフは、正しい形で打たないと思った以上にどうにもならないものでした。自分で試行錯誤してやっているだけでは、いつまで経っても打てるようになる気がしない。

それどころか、ダフリでダメージを蓄積するうちに、炎殺黒龍波を放った後の飛影のように腕が使い物にならなくなる可能性があります。打てるようになるのが先か、両腕を失うのが先か。ゴルフは暗黒武術会ではないので、そこまでして挑むものではありません。

「ゴルフをやるなら最初は誰かに教わった方がいい」とはよく言われることですが、本当にその通りだなと思いました。こんな得体のしれないものを、誰にも教わらずに始める人は、きっと男塾にも入れるほどの豪傑です。

そんなわけで私はゴルフスクールを探し始めました。ただ、この時点ではまだまだゴルフをなめていました。最初の練習で打てなかったのは、教わってないんだから仕方がない。ちゃんとした指導を受けて練習をすれば、そのうち上手く打てるようになるだろう。

上手く打てる「そのうち」がなかなか来ない、いや、その後もずっと来ないということは、その時点の私は知るよしもありませんでした。

関連記事