• HOME
  • 記事
  • 卓球
  • フィジカル強化で創部初のインハイ3位 元青森山田中学監督が率いる出雲北陵高校卓球部に潜入

フィジカル強化で創部初のインハイ3位 元青森山田中学監督が率いる出雲北陵高校卓球部に潜入

コロナがきっかけでフィジカル強化に注力

出雲北陵
写真:練習前にフィジカルトレーニングに取り組む出雲北陵卓球部/撮影:ラリーズ編集部

――青森山田の良さも引き継ぎつつ、そこに何か加えた出雲北陵ならではの特徴は何かありますか?
古瀬泰之監督:あまり特別なことはしてないんですけれども、近年はコロナ禍で活動も少々制限された時があって、そのときは1日の練習時間がアップから片付けまで含めて1時間ほどでした。

このままでは強くならないと感じ、子供達とも色々話をして、今まであまりメスを入れてこなかったフィジカルにフォーカスしていこうと、トレーニングをかなりやり込んだ時期がありました。

トレーニング
練習の最初には長い時間トレーニングが行われており、ボールを使ったトレーニングも

古瀬泰之監督:それが半年、1年経って、動ける幅が大きくなったり、動くスピード、スイングスピードが速くなったり、下半身と上半身が連動したスイングになったりとかなり大きな成果が出ました。

今は通常の練習時間に戻ってますけれども、コロナをきっかけにフィジカルにフォーカスして、練習の中身をシフトしてやっています。

――今回のインターハイで創部初の団体3位という結果が出たのも、フィジカルトレーニングの手応えを感じた部分でしょうか?
古瀬泰之監督:トレーニングは、選手が一番しんどいとは思います。多い時は月に大体200kmぐらい走り込んだり、サーキット、体幹、自重トレーニングを徹底してやったりしましたが、選手が頑張ってついてきてくれました。

その成果が夏の大会で出たと思いますし、フィジカルだけではなく、メンタル的にも粘り強くなってきたんじゃないかなとは感じました。

トレーニング

「試合で先生をまた熱い感情にしてあげたい」

ここで前主将の杉浦大和(3年)と現主将の佐藤卓斗(2年)に、古瀬監督の指導や印象について聞いた。

杉浦大和/佐藤卓斗(出雲北陵)
写真:2022年インターハイでの杉浦大和/佐藤卓斗(出雲北陵)ペア 愛工大名電戦のダブルス勝利の瞬間/撮影:ラリーズ編集部

――古瀬監督の指導はどう感じていますか?

まずは杉浦選手お願いします。

杉浦大和:基本的に練習メニューは、先生が決めるのではなく、自分で決めてその中で考えた課題をやるので、そこは良いところかなと思っています。

古瀬先生は、卓球に対する考え方などを教えてくださるので、自分がしっかり考えて卓球をするというのが身に着くと思います。

自分で答えが見つけられるように、ヒントを出してくれるようなそういう教え方です。

写真:杉浦大和(出雲北陵高)/撮影:ラリーズ編集部
写真:杉浦大和(出雲北陵高)/撮影:ラリーズ編集部

――どこが成長したと感じていますか?
杉浦大和:先生には、卓球の前に人間性の部分を言われることが多くありました。

支えてもらってる方への感謝の気持ちとか、周りの方々へしっかり挨拶をしようとか、そういう部分は言われることが多かったので、そこは6年間で成長できた部分かなと思います。

――佐藤選手はどうですか?
佐藤卓斗:指導とは少し違うんですが、印象に残っているのが、全国選抜で8決定のときに先生がだいぶ熱くなって応援してくれていたのが、僕の中ではちょっと忘れられなくて。

普段は冷静で、熱くなる先生ではないんですけど、そういう静かな先生だからこそ熱くなっている一面を見ると、もう1回そういう表情や感情にしてあげたいなとは思っています。

佐藤卓斗
写真:現主将の佐藤卓斗(出雲北陵高2年)/撮影:ラリーズ編集部

卒業後も人間としても卓球選手としても躍動できるように

再び古瀬監督に話を聞く。

相場・古瀬
写真:中学卓球部を指導する相場翔太監督と話を交わす古瀬監督 相場監督は古瀬監督の出雲北陵での教え子/撮影:ラリーズ編集部

――創部してから大変だったこともたくさんあると思いますが、どうでしたか?
古瀬泰之監督:創部して最初の7、8年は全く勝てませんでした。

色々試行錯誤して、色んなことにチャレンジしても結果に結びつかず、そこが一番自分としては苦しかったですし、指導者に向いてないんじゃないかなとずっと思っていました。

多球練習
写真:多球練習を見守る古瀬監督(出雲北陵高)/撮影:ラリーズ編集部

――何が転機となったんですか?
古瀬泰之監督:島根は地理的に高速道路も十分整備されておらず、新幹線も通ってません。

なので、なかなか県外の学校に遠征に行くのが難しい土地柄ではあったんですけども、自分でバスを運転して積極的に県外の学校に出向いて練習試合させてもらうようにしました。

すると、創部して9年目に初めて選抜やインターハイでランクに入れて、外に出て色んなものを吸収していくことが指導者も大事なんだなというのは、今でも感じています。

小野泰和
写真:期待の1年生・小野泰和(出雲北陵高)/撮影:ラリーズ編集部

――最後に今後どういうチームに出雲北陵をしていきたいかをお願いします。
古瀬泰之監督:今年は全国選抜、インターハイ、国体とベスト4に入ることができて、ようやく堂々と「日本一目指そう」と言えるチームになってきたと思うので、日本一を目指して今後も選手と一緒に精進していきたいなという気持ちです。

あとは卒業後に日の丸を背負って世界で戦えるような選手を育てていきたいという思いもありますし、生徒たちが卒業後も人間としても卓球選手としても躍動できるような、そういう土壌になる学校環境でいたいなとは思ってます。

集合
写真:出雲北陵の練習後の集合/撮影:ラリーズ編集部

取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)

関連記事