• HOME
  • 記事
  • 卓球
  • 【藤井寛子に聞く】若宮監督率いるトップ名古屋 アグレッシブな卓球で巻き返しを

【藤井寛子に聞く】若宮監督率いるトップ名古屋 アグレッシブな卓球で巻き返しを

シーズン後半に突入したTリーグ。現在3位のトップおとめピンポンズ名古屋は、個人順位ではシングルスで安藤みなみが暫定2位(11勝)、ダブルスで鈴木李茄・南波侑里香がともに暫定1位(8勝)だ。シーズン残りの5戦で巻き返しを狙う。そんなトップおとめピンポンズ名古屋について、元日本代表キャプテンの藤井寛子さんに、今シーズンのチーム状況や選手の情報を聞く。(取材・文/二株麻依)

藤井寛子,二株麻依,卓球
写真左:藤井寛子、写真右:二株麻依(取材者)

若宮三紗子監督は「心強い存在」

若宮三紗子,卓球,Tリーグ,トップおとめピンポンズ名古屋
写真:2016年世界選手権決勝でアドバイスを送る若宮三紗子氏/提供:アフロ

ーー今季のトップおとめピンポンズ名古屋といえば、藤井さんが全日本のタイトルを獲得された時のダブルスパートナーである若宮三紗子さんが監督をされていますよね。

藤井寛子(以下、藤井):そうなんです。若宮監督は私の元ダブルスのパートナーでして、現役の頃から頭が良く、相手の立場になって物事を考えることができる方だと思います。まだ監督歴は2年目ですが、彼女の挑戦は大きなものだと思います。チームを監督として引っ張るということは選手と少し距離ができやすくなるものなのですが、若宮さんは選手と年齢が近いこともあって相談しやすかったり、意見をストレートに伝えやすかったりと、選手にとってすごく心強い存在だと思います。指導者としての経験は浅いかもしれませんが、今後も挑戦に期待しています。

名古屋は国際色強いアグレッシブなチーム

卓球,Tリーグ,トップおとめピンポンズ名古屋
トップおとめピンポンズ名古屋
(Tリーグ公式サイトより https://tleague.jp/team/top-nagoya/player/)

ーー今シーズンのメンバー編成はどうですか?

藤井:他のチームより、一番国際色が強いチームだと思います。エリザベタ・サマラ選手(ルーマニア)や、ハン・イン選手(中国出身/ドイツ国籍)、チェン・イーチン選手(チャイニーズタイペイ)等、いろんな国から集まってきているという点が、トップおとめピンポンズの魅力のひとつかなと思います。

ーー中でも注目の選手はいますか。

藤井:エリザベタ・サマラ選手と、ハン・イン選手です。どちらの選手もコートをアグレッシブに駆け回ります。
サマラ選手はロビング(相手の強打を台から離れて高い弾道で打ち返す球)やシュートドライブ(バウンドして右方向に曲がるドライブ)等、パワフルなプレーをします。また、チームのムードメーカー的なイメージがあり、すごく明るく、他の日本人選手にも良い影響をもたらしてくれているのではないかと思います。

エリザベタ・サマラ,卓球,Tリーグ,トップおとめピンポンズ名古屋
写真:エリザベタ・サマラ(トップおとめピンポンズ名古屋)/提供:©T.LEAGUE

ーーハン・イン選手はどのような特徴がありますか。

藤井:ハン・イン選手は、守備力の高いカットマンで、五輪メダリスト、世界ランキング10位の選手です。(1月10日現在)。海外で一番強いカットマンの選手だなと思います。カットマンの選手は、粒高のラバー(表面が粒立っているラバー)を使用する選手が多い中で、ハン・イン選手はバック側が表ソフトラバー(粒が低いラバー)なので、打ったボールの回転の変化が大きいです。回転が読みづらいですし、カットマンなので守備範囲も広い。さらに相手の弱気な返球をすかさずスマッシュやドライブで攻めることができるので、相手にプレッシャーを与えることができます。試合経験も豊富で、ラリー中、どこで勝負を仕掛けるかといった判断力にもすごく長けていると思います。

ハン・イン,卓球,Tリーグ,トップおとめピンポンズ名古屋
写真:ハン・イン(トップおとめピンポンズ名古屋)/提供:©T.LEAGUE

期待は好発進の安藤みなみ

安藤みなみ,卓球,Tリーグ,トップおとめピンポンズ名古屋
写真:安藤みなみ(トップおとめピンポンズ名古屋)/撮影:ラリーズ編集部

ーー今伸びてきている選手はいますか。

藤井:安藤みなみ選手ですね。もともと実力のある選手ですが、若宮監督のチームとして活動していく中で、すごく成長している選手のひとりだと思います。バック面に、表ソフトラバー(表面が粒立ったラバー。相手のボールの回転量を抑えて返球できる)を貼っているのですが、少しナックル(無回転)気味になるラバーで、戦術の幅が広いです。
また、サービスも得意で、回転が読みづらく、回転量が多い特徴があります。サービスの回転をかけるとき、安藤選手はラケットの見えない角度で多様な回転を出します。相手にとってはどんな回転がかかっているのか分かりづらく、回転量も多いので、ミスが怖くなり弱気でレシーブしてしまいますが、そこをすかさずスマッシュできるというのが彼女の強みですね。戦術でもバックハンドで相手を翻弄させ、カウンター(相手攻撃技術に対して、同じように強く攻撃し返す打法)で狙っていくというのも素晴らしいなと思います。アジア選手権のシングルスで3位入賞していて、これからまだまだ上を目指している選手の1人かなと思っています。


(次のページ「南波・鈴木のダブルスで1番から勢いつけて」へ続く)

関連記事