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パラリンピックの社会的意義を検証。大会を通して生まれる、障がいに対する意識変化とは?

9月7日より開幕したリオパラリンピックが18日に閉幕。日本は、初参加の東京大会以降初となる金メダル無しに終わったものの、銀メダル10、銅メダル14とメダル総数では前回のロンドン大会を上回った。実は現在、パラ・スポーツは企業からも注目が集まり、世界的に関心が高まりつつある。今回はその障がい者スポーツ(以降“パラ・スポーツ”)への関心度の変動を注目してみたい。

ロンドンで高まったパラ・スポーツへの注目

夏季パラリンピックの発展

ロンドンでは交通機関のバリアフリー化が進んでおり、五輪開催中はインターネットでの情報サービスやボランティアの人数が多く、競技面においても運営としても組織的に成功したと言える。実際に62%の人がロンドン五輪に関心を持ち、一般的なテレビ観戦者の興味は、スポーツそのものから“パラリンピックのイギリス代表選手がいかにスポーツを通じて障がいを乗り越えられるか”という部分にシフトしていった。それ以降に開催されるパラ・スポーツのイベントに興味があると答えた人の割合は2倍に増え、27%から43%になった。

人々の障がいに対する意識の変化

パラリンピック・ムーブメントとロンドン五輪の成功は、IPC(the International Paralympic Committee)のロゴブランドであるAgitosの認知度が向上したことからもわかる。ロンドン五輪開幕前までは、イギリス国内でAgitosのロゴ認知度は50万人であったが、大会閉幕後、2000万人まで増加した。IPCはパラリンピックとパラ・スポーツを、スポーツとしてだけでなく社会的意義があるものとして重要視しており、メジャーなイベントを通じて、スポンサーとなっている企業が社会貢献していることを示し、人々の障がいの捉え方を良い方向へ変えていく報告を率先して行っている。ロンドン五輪を契機に、イギリス国民の障がいへの向き合い方は大きく改善し、ロンドン・パラリンピックの直後、イギリス国民の3人に2人はパラリンピックが自分の障がいに対する意識や態度を再考するきっかけとなったと答えた。

2020年の東京五輪へ向けて

リオ五輪以降のパラリンピック開催都市

ロンドン五輪の成功により、視聴率とメディア報道の分野で、パラリンピックは新時代に突入した。これを契機に、IPCは、ソチ五輪とリオ五輪の放映権獲得に意欲的な放送局との交渉を始めた。その結果、イギリスのChannel4が製作した2012年以降のパラリンピックとパラ・スポーツのイベントに関する報道番組は非常に高い評価を獲得している。

ロンドン、ソチ、リオときて、2年後に行われる平昌冬季五輪を経た後に東京五輪がやってくる。注目度が上がっているパラ・スポーツが日本でどう輝くのか、期待を込めたい。

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