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プロ初勝利から8カ月 もがき苦しんだ蝉川泰果が最終戦V「優勝ができて本当に良かった」

大会史上最年少制覇。蝉川泰果が有終の美を飾った(撮影:鈴木祥)

<ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日◇3日◇東京よみうりCC(東京都)◇7023ヤード・パー70>

プロ初優勝からおよそ8カ月。ウイニングパットを入れた蝉川泰果の目から涙があふれた。

「うれしいの一言です。また優勝を挙げることができて、すごく自信になりました」。念願のプロ2勝目を果たし、優勝会見では喜びを爆発させた。

今年の賞金王・中島啓太、今大会2勝を挙げている石川遼との最終日最終組。大勢のギャラリーの前で奮闘を続けた。2番パー3は8番アイアンでピン右奥1メートルにつけ、初バーディを獲得。その後は1バーディ・1ボギーで、単独首位に浮上してサンデーバックナインに入った。

14番でこの日3つ目のバーディを奪ったが、16番で2個目のボギーを喫するなど、後半では一進一退の攻防を続けた。それでも、難易度の低い17番パー5では2パットでバーディを奪取。首位に並んでいた中島はこのホールで伸ばせず、1打リードで難関の最終18番パー3を迎えた。

前日はこの18番で苦杯を喫していた。ティショットの当たりが薄く入ってスピンがかからず、ピンの奥10メートルの上の段へ。そこからカップインまで4打を要し、痛恨のダブルボギー。「すごくもったいなかった。最終日は手前から攻めていきます」と話していたが、その経験を生かすときが、優勝を左右する大一番でやってきた。

「めちゃくちゃ緊張した」というティショットは、アゲンストの風が吹く中、4番アイアンを選択。グリ―ンには乗らず、右のラフへボールは落ちた。左足あがりで20ヤードほど残したアプローチは、ロブショットでスピンをかけてピン40センチへ。前日の屈辱を晴らすパーフィニッシュで、プロ2勝目を手繰り寄せた。

昨年に「日本オープン」を含むアマ2勝を挙げた逸材にとって、今年は試練のシーズンだった。4月の「関西オープン」でプロ初優勝を挙げてから、およそ8カ月。同級生の中島が年間3勝を挙げ、賞金王に輝く中、幾度となく優勝争いを繰り広げたが、プロ2勝目が遠かった。「6、7月ぐらいから連戦も初めてだったので、めちゃくちゃしんどかった。トレーニングをやっている意味は分かっているけど、モチベーションが上がってこないというか」と苦しい時間を過ごしてきた。

それでも、11月上旬の「マイナビABCチャンピオンシップ」の頃から気持ちが落ち着いてきた。「絶対プロ2勝目を挙げたいという気持ちで最終戦に挑んだ。その結果、優勝ができて本当に良かった」と感慨に浸った。

これで4000万円を獲得し、賞金ランキング2位(1億5581万9749円)でフィニッシュ。2023-24シーズンのDPワールド(欧州)ツアーの出場権を獲得した。来年は、欧州に限らず、アジアンツアー、米PGAツアーにも積極的に参戦していくという。「憧れの選手は、松山英樹選手やタイガー・ウッズ選手。マスターズ優勝や四大メジャーを制覇するというのは自分の“夢”でもあるので、頑張っていきたい」。

同級生の中島も米下部コーン・フェリーツアーの最終予選会(12月14~17日、米・フロリダ州TPCソーグラス)に挑戦する。これからも同級生で切磋琢磨をしながら、世界の頂点を目指す。(文・神吉孝昌)

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