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「抜けが良い」とプロは言うけど我々に利点は?新『X FORGED』は人工芝でも違いが分かる!?

深堀圭一郎と親交の深い、長谷川哲也に聞く!

「このアイアン、抜けが良いね」。昔からギアにシビアな男子プロたちが、洋の東西を問わず、この表現を繰り返す。だが、「いまいちピンとこない」人も多いのではないだろうか。というのも、我々アマは量販店でも練習場でも、生芝から新作を試すことはほぼ無い。人工マットは元々滑るし「抜けの違いなんて分かる訳ない!」のが本音である。
 
「抜けってそんなに重要?」。この疑問に回答をくれたのが、深堀圭一郎の元キャディで、海外でスイングメソッドを学び、プロからアマチュアまで幅広く指導する長谷川哲也だ。キャロウェイ支給の土屋彰プロと親交の深い長谷川に、“抜けの良さ”にこだわった新作『X FORGED』シリーズの新旧比較をしてもらった。

冒頭から、長年キャロウェイ契約の深堀の逸話を例に、「抜けの良さ」について話し出す長谷川。「正直、どんな打ち方でも滑りやすい人工マットで、どこまで差が出るか……。自信はないですけど、深堀プロがずっと【抜けの良さ】にこだわり抜いて来た人なので、ボクもそこに感覚はあります」と、土屋プロと新旧比較をスタートした。
 
『APEX MB』に替えたての土屋プロが驚く!

まずは、ヘッドスピードの速い土屋プロが旧『X FORGED』から打ち始める。「実はアイアンを『APEX MB』に替えたばかりで、それ以前はずっと2013年モデルの『X FORGED』を使ってきたので、新作は気になってました。でも、旧作は一度使ったけど、ダメだったんです」と打ち始めると、その経験通りのフィールに。
 
「人工マットですけど、ちょっと突っかかるというか、フェースが被り気味で左に巻いてしまうのが旧『X FORGED』です。サイズも旧作は大き過ぎますが、新しい『X FORGED』は、締まったサイズで全く突っかからない。インパクト以降の抜けがスルッと抵抗なくスピードが乗った状態で抜けます。フェースも被らず、その分スピン量も4、500回転乗ってきますね」(土屋プロ)

たった1球で、しかも、人工マット。それで違いが分かるの!?と取材陣も驚いたが、土屋プロのギアにもアドバイスしてきた長谷川はたまらず「ボクにも打たせて!」。新旧を打ち比べると「本当だ、マットなのに抜けが全然違う!」
 
長谷川はさらに「なんでだろう、新作は全くスイング中に遅れがなくフェースの真ん中に当たるのに、旧作はちょっと遅れてトウに当たっちゃう……」。これに土屋プロも「そう、そうなんですよ!」と頷く。新作だとトウダウンが少なく、意のままにクリーンに打てる点が二人とも共通していた。
 
抜けが悪いとコースで悪癖がつく

正直、取材側からすると「めちゃくちゃ抜ける!人工マットでも全然違う!」と驚く二人を見ても「プロだから感じられるだけでしょ!」と思ってしまう。長谷川に10段階評価で、新旧の「抜けの良さ」を評価してもらうと、旧作が「7pt」だとすると「新作は最低でも10pt以上。いや、もっと違うな。5pt以上違うから12pt!」と、10段階を超えた極端な評価を下す……。
 
土屋プロに、ここまで差を感じたことはあるか?聞くと「ない」。そして、コースの生芝でどんな差が出そうか? どんな状況でメリットが出そうか?を聞く。すると、人工マットでは滑ってナイスショットが生まれても、コースでは突っかかってミスになることに「アマチュアの人はあまりに無頓着すぎる」と熱く語りだす。

「人工マットでここまで違うなら、コースはもっと抜けますよ。特に、ボクは左足上がりのライで刺しに行く(打ち込み過ぎ)ことや、フェアウェイでも逆目に刈られた時に、抜けが悪くてショートしたりするのがよくあります。これはボクの生徒さん達も同じで、ソールが突っかかると基本、左にミスしやすくなります
 
だから、嫌がって自分で逃がそうとか、変な悪癖がつきがち。突っかかって抜けないと基本ショートするので、ロフトを立てて潰すクセもついて、奥の嫌な所に外すようなミスも増えます。ちゃんと抜けるモノを使うと、そういう変なクセがつかず、突っかかりでミスしがちな状況から助かる確率が増します」(土屋プロ)
 
強い女子も『X FORGED』に。大きな『STAR』はどう?

「ここまで違うと、選手は絶対使うでしょ?」。長谷川の指摘通り新『X FORGED』のスイッチが世界中で加速中だ。キャロウェイは米国で「No.1アイアン」と評価され、他社より遥かに多く機種を揃えるが、興味深いのは日本で企画された新作が、米国女子ツアーの強者に選ばれること。
 
それが、世界ランク5位のミンジー・リー(ニュージーランド)や、同4位のイン・ルオニン(中国)、同22位のローズ・チャン(米国)だ。日本でも契約フリーの原英莉花が直近で新『X FORGED』に移行するなど、数多の機種を選べる女子選手たちがわざわざ日本で開発された新作アイアンを選んでいる。

そして、もうひとつの注目が、西村優菜や契約フリーの藤田さいきが選んだ、少し大きめの『X FORGED STAR』アイアンだ。こちらも“抜けの良さ”にこだわって作られているが、「練習不足だし、ヘッドスピードも落ちてきた」という長谷川が試して「大きいのに抜けがいい!」と、数発打って驚く。
 
「人工マットからでも明確に違いが分かりますね。しかも『STAR』の方は『X FORGED』より大きめなので、抜けもイマイチかと思いきや、打つと全く違いました。特に、トップラインの角が取れて、ボクの眼には安心感もあるのに締まって見えて、打っていて遅れが少ない。2021年モデルの『STAR』より大きくなったこともありますが、ミス許容は新作が断然上ですね」(長谷川)
 
パンチショット、上げる球も◎

昔は、深堀のお下がりを多数使用した長谷川。新しい『X FORGED STAR』のソールをマジマジ見て「これ絶対、深堀グラインドですよ…」とつぶやく。「深堀さんも昔からトレーリングとリーディングの下をこんな風に両方削っていて、当時から他のアイアンを使うボクに【そんな抜けが悪いのじゃダメだよ】って。日本が企画したなら、そうとしか考えられない……」。
 
真偽は定かではないが、ややロフトの立ったやさしい『STAR』の試打をやめない長谷川。「コレね、本当に練習不足なボクみたいなゴルファーにピッタリなんです。何回打っても、ロボットみたいに同じ球しか出ない」。加えて、パンチショットや上げたい時など、コースを想定した打ち方も試して、深く頷く。

「小ぶりなモノから大きめに替えると、ラフも含めて抜けが悪くなると想像しますけど、新しい『STAR』は本当に抜けますね。前も後ろも面取りしてあるので、パンチショットのように打ち込んでも突っかからず、全然左にいかない。旧作は突っかかるので、被って少し左に出たりするけど、それがないからラインが出ますよね。
 
逆に、芝付きが悪い時や、球を上げたい時にもいい。トレーリングが当たらないから入射角を緩やかにしても、ワンタッチしても減速せずソールが素早く滑り抜けて球も上がるし、スピン量も旧作より少し増えますね。これならヘッドスピード41~43m/sくらいの中級者にホント武器になる。女子プロに人気なのも納得です」(長谷川)
 
上達を目指し長く使いたい人に

ここまで「抜けがなぜ大事か?」「プロがなぜ真っ先に口にするか?」を深堀りしてきたが、二人のガチな意見を聞いていかがだろう。プロの中でもかなり抜けにこだわる深堀の言葉の大切さを、長谷川も新旧を打ち比べることで、改めて確認した様子。
 
練習場ならナイスショットでも、コースでは、わずかな抵抗次第で手痛いミスになってしまう……。ほんの微差に思えて【もの凄く大事な差】だからこそ、1打にこだわるプロはここを重視する。長く『X FORGED』を使用し、歴代作を試してきた土屋プロも「ここまで抜けの差が分かりやすい新作は無い」と話す。
 
2007年の登場から、09・11・13・19・21年と6モデルが継続されてきた伝統作だが「最高傑作になりそうだし、長く使えそう」と言う新しい『X FORGED』シリーズ。人工マットの上から我々が打っても「絶対に違いが分かる」と二人は太鼓判を押すが、これは打ってみるしかないッ!
 
✦取材協力/アトアゴルフ(https://www.atoagolf.com/
✦〒260-0007 千葉県千葉市中央区祐光2丁目11-12(駐車場完備)
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