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“ハラハラドキドキ”の上がり3ホール 馬場咲希は予選通過し「まじ疲れました」

馬場咲希はハラハラドキドキな展開ながら粘り強いプレーを見せ、残り2日間に希望をつないだ(撮影:Yasuhiro JJ Tanabe)

<Qシリーズ(米国女子ツアー最終予選会) 5日目◇4日◇マグノリア・グローブGC(米アラバマ州)◇クロッシングズC=6664ヤード・パー72、フォールズC=6643ヤード・パー71>

馬場咲希、そして見る者にとっても第4ラウンドの上がり3ホールは、“ハラハラドキドキ”の連続だった。65位タイに設定された予選カットラインが気になる位置で終盤をプレー。ただ最後は強いメンタルをうかがわせるようなゴルフを見せた。

来季ツアーメンバー入りのボーダーになる45位タイからスタートした一日は、前半からショット、パットともに思い通りにいかない苦しい立ち上がり。「入っていれば流れが変わっただろうなというパットがきょうは多かった」。ひとつ落として迎えたハーフターン時の順位は66位タイ。予選通過ラインよりも、わずかながら下に位置していた。それでも後半に入ると、11番、さらに14番のバーディで盛り返す。だが、ようやく流れ始めたいいムードに水を差したのが16番パー4だった。

ここでは、まず手を離したティショットが左へ飛び、フェアウェイを大きく外すことに。すぐ後ろに林がある荒れ地から、狙うピンまでは残り123ヤード。ここは「軽めに打てばちょうど」という9番アイアンをチョイスした。しかしグリーンを狙ったショットは“不思議なことに”その奥にこぼれ、ペナルティラインを越えてしまう。まさかのフライヤー。「なんで?って。『落ちろ、落ちろ!』って思ってたんですけど、落ちませんでした」。さらにパットにもミスが出て、痛恨のダブルボギーとなった。

この時点でトータル3アンダー。結果的には、このままでも予選カットラインを上回ったのだが、スコアが分からないラウンド中は「ちょっとやばいな」という“危険水域”に感じても仕方がない。するとここから勝負強さを発揮。「次で絶対にバーディを獲って最終ホールを迎えたい」。そう力を込めて、17番ティに向かった。

その2打目。残り143ヤードから8番アイアンで放ったショットが、グリーン左奥に振られたピンのさらに奥につく。残りは2メートルほど。「それまで(パットが)思ったところに打てていなかった。でも自信を持って打とう。外れてもいいから悔いのないパットをしよう」。こう決意して臨んだバーディパットが、カップに消えた。「入ってくれてよかった」。見事な“バウンスバック”だった。

それでも展開がよくなるどころか、パー5の最終ホールで訪れたのはまたしてもピンチだった。2打目がフェアウェイ右にある縦長のバンカーにつかまると、そこからの3打目はダフってしまい、再び同じバンカーからのショットを強いられることに。4打目で出すことに成功したが、2メートルほどのパーパットが残る状況だ。「ちょっとドキドキしたけど、最後は強くガツンと打てた。明日につながれば」。この言葉通り、迷いなく真ん中から決まる強気のパットで、パーを拾った。

「まじ疲れました」。ようやく緊張感から解かれたラウンド後の馬場の言葉からも、背負っていた重圧の大きさが伝わってくる。何度も訪れたピンチを、10月の2次予選会に続き今回もキャディを務める坂詰和久コーチと話しながら乗り越えた。この日プレーしたフォールズCは、2日目に「74」を叩いて窮地に陥った場所。“鬼門”ともいえるだけに、なおさらその疲労感は大きい。

なんとかトータル4アンダー・58位タイで第5ラウンドに入れた。残り2日間は「69」、「68」といずれもアンダーをマークしたクロッシングズCでプレーしていく。「いいイメージが残っているホールがある。あした、それが生かせたら」。気持ちを切り替えて迎えるのに最適なコースといえる。

ツアーメンバー入りが叶う45位タイラインは、第4ラウンド終了時点でトータル6アンダー(40位タイ)。その差はわずかだ。長丁場の最終予選会も残りはあと2日。もちろんより多くの出場機会が見込める20位タイ以上も視野にプレーしていく。「思い切って攻めていきたい。失うものはない。悔いがないように頑張りたい」。この日見せた勝負所での強さを、ここからもいかんなく発揮してもらいたい。(文・間宮輝憲)

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