原英莉花が悪夢の失格から再出発「一緒に戦ってくれる人がいる」

唇を噛んで悔しさを押し殺す原英莉花(撮影:佐々木啓)

<樋口久子 三菱電機レディス 事前情報◇26日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6650ヤード ・パー72>

先週行われた米女子ツアーの来季出場権をかけた2次予選会を過少申告により、まさかの失格となった原英莉花が国内ツアーに復帰。まだ心の傷は完全に癒えていないようだが、笑顔も交えつつ、今大会への意気込みを語った。

スコア誤記があったのは2次予選会の3日目。ラウンド後の練習を終えて、スコアボードを見ると、5アンダーだったはずの自身のスコアが6アンダーと表示されていた。「自分ではしっかり確認したつもりだったので、『違うよ』っていうぐらいのつもりで言いに行ったら、スコアカードを見せられて『んっ』て…」。ゴルフ人生で初めての過少申告による失格。「嘘でしょって、夢だと思いたかった。普段から時間をかけて確認するタイプなので、信じられなかったです」と当時の心境を振り返った。

加えて、帰国時にもハプニングがあった。予備日を含めてスケジュールを組んでおり、今週月曜日に帰国予定だったが「予定していた便に乗れなくて、火曜日の夜に日本に着きました」。荷物の預け入れの際にトラブルがあり、大幅に時間がかかったため、予定した便に乗り遅れる形になったとのこと。空港に約12時間滞在し、その後の便の空席を待ったが、最終的には翌日に振り替えとなった。

トラブル続きのなかでも、気持ちは徐々に前を向き始めている。「一緒に戦ったキャディさんも辛いはずなのに『まだ行けるよ』と声を掛けてくれて、一緒に戦ってくれる人がいるんだから、私も切り替えて戦いたいと思いました」。まだ、米女子ツアー参戦の道が閉ざされたわけではない。来週、日本で開催される米女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」で優勝するという道が残されている。ハードルは高いが、再挑戦の機会が残されていることは救いだろう。

来週のTOTOに向けて、今大会でしっかり勢いをつけておきたいところ。帰国がずれ込んだこともあり、練習ラウンドは行っておらず、今週はぶっつけ本番でのプレー。「キャディさんにしっかりコースチェックをしてもらっています」。事前に話し合っていたわけではないが、ともにカギとなるホールに挙げたのは15番パー3。原が確認してほしかったところは、キャディがしっかりチェックしている。

「自分が考えたボールを打つというか、どう考えてそのボールが出るかが大事。そこに着目しながらプレーして、来週につなげたいなと思います」。精神的にはどん底を味わったが、ゴルフの調子は決して悪くない。来週の劇的Vへ、ドラマはすでに始まっている。(文・田中宏治)

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