• HOME
  • 記事
  • 卓球
  • 目まぐるしく変わる戦術 張本智和vsオフチャロフ、世界トップレベルの攻防を徹底分析<卓球・WTT男子ファイナルズドーハ2023>

目まぐるしく変わる戦術 張本智和vsオフチャロフ、世界トップレベルの攻防を徹底分析<卓球・WTT男子ファイナルズドーハ2023>

第2ゲーム 11-8

サービス

ミドルへのロングサービス中心 

レシーブ

フォア~ミドルへ

写真:張本智和(智和企画)/提供:WTT
写真:張本智和(智和企画)/提供:WTT

ショートサービスからの展開だと決め手に欠けると判断した張本は、ミドルへのロングサービスを中心とした配球へと大胆に切り替える(5/9本)。

強烈な両ハンド攻撃を持つオフチャロフだが、ミドルへのロングサービスに対してはバックハンドで持ち上げることしかできず、張本が優位な形でラリーを開始する。

第2ゲームのサービス時得点率は約56%(5/9本)とやや上昇した。

張本が第2ゲームを奪取できた大きな要因はバックではなくフォア~ミドルへとレシーブコースを変更したことだと考えられる。

オフチャロフは得意のバックドライブで攻めることができず、張本が優位な形でラリー勝負へと持ち込むことに成功した。ラリーの精度でやや上回った張本のレシーブ時得点率は60%(6/10本)となり、11-8で第2ゲームを取り返した。

第3ゲーム 5-11

サービス

全面にショートサービス+ミドルへのロングサービス 

レシーブ

フォア~ミドルへ

写真:ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)/提供:WTT
写真:ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)/提供:WTT

ミドルへのロングサービスを狙い打たれることを警戒した張本は、第3ゲームでは全面へのショートサービスを中心にロングサービスを織り交ぜる戦術へと変更する。

オフチャロフはショートサービスに対して台からギリギリ出る長さのツッツキレシーブを選択。張本はこのツッツキレシーブを強く攻めることができず、持ち上げたボールを狙われてしまう。

サービス時得点率は25%(2/6本)と一気に低下。第3ゲームを5-11で奪われ、後がなくなってしまう。

第4ゲーム 11-4

サービス

フォア前にショートサービス+ミドルへのロングサービス 

レシーブ

フォア~ミドルへ

写真:張本智和(智和企画)/提供:WTT
写真:張本智和(智和企画)/提供:WTT

あとがなくなった張本はオフチャロフのレシーブコースを限定させるためにフォア前へとサービスを集める。

フォア前のボールに対してもバックハンドで対応するオフチャロフ。フォアからミドルへとレシーブしてしまうとストレートを狙われてしまうため、バックへとレシーブを集めざるを得なくなる。

写真:ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)/提供:WTT
写真:ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)/提供:WTT

バックへのレシーブは約67%(4/6本)となり、このレシーブを狙い撃ちした張本がラリーを優位に進める。サービス時得点率は約57%(4/7本)と上昇した。

既にレシーブ時も優位な展開を進めていたことから、11-4で張本が第4ゲームを取り返し、フルゲームへと持ち込んだ。

第5ゲーム 11-7

サービス

フォア前へのショートサービス中心+ミドルへのロングサービス  

レシーブ

ミドル中心

写真:張本智和(智和企画)/提供:WTT
写真:張本智和(智和企画)/提供:WTT

最終ゲーム、張本は再び第1ゲームと同様にフォア前へのショートサービスを軸にゲームを組み立てていく。

第1ゲームと異なり、フォア前へのショートサービスを意識したオフチャロフは他コースへのサービスに対するレシーブが甘くなり、張本が三球目攻撃を打ちこむ展開を作ることに成功。サービス時得点率は60%(6/10本)となる。

さらに、レシーブコースをミドル中心へと変更。オフチャロフが持ち上げたボールを更にミドルに打ち込む戦術で一気にリードする。レシーブ時得点率は約62%(5/8本)となり、11-7で勝利した。

まとめ

サービス・レシーブの戦術変換に注目して解説したが、いかがだっただろうか。

ともに世界トップレベルのラリー力を持つ両者の明暗を分けたのは、サービス・レシーブ時に自身の得意な展開に持ち込むための戦術転換だと考えられる。

次回対戦で両者がどのような戦術を見せるのか注目したい。

文:うらうら

関連記事