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ガールズフェスタはなぜ成功したのか?名古屋グランパス×エアアジアの仕掛け人に訊く

その日、豊田スタジアムは真っ赤に、いやピンクに染まった。

2018年10月のホームゲームで行われた「エアアジア presents ガールズフェスタ」では、15,000人の女性サポーターにコーラルピンクの限定ユニフォームを配布。明るいカラーに身を包んだ女性たちの写真は、SNSを通じて他クラブまで波及し、“女子サポ”の注目を集めました。チームとしても大きな成果につながったことは、翌年の同イベントの開催がシーズン序盤に前倒しされたことからも伺えます。

このイベントを仕掛けた株式会社名古屋グランパスエイトのマーケティング部・吉田典世さんと、エアアジア・ジャパン株式会社コマーシャル本部・細谷竹伸さんに、施策の背景を伺いました。

LCC×Jクラブは国内初

——2018年から始まった両者のパートナーシップは、国内LCCとJリーグクラブの初の組み合わせとして話題になりました。エアアジア・ジャパン(以下、エアアジア)としてはどのような期待があったのでしょうか?

細谷:エアアジアは中部国際空港に拠点を置いている(※)唯一の航空会社です。地域の皆様に愛される航空会社になりたいという想いのもと、地域密着の取り組みを目指すなかで2018年のパートナー契約に至りました。

※エアアジア・ジャパンは中部国際空港第2ターミナルにオフィスを構えている。

細谷竹伸さん

吉田:冠試合なども行っていただくなかで、私たちとしてもエアアジアさんの発信力の強さを感じているところです。

細谷:愛知県において、すでに確固たる地位を築いている名古屋グランパスさんとの取り組みは、我々にとって非常に大きなものです。地元チームに強い愛情を持つ方々に、エアアジアも同じように愛される航空会社を目指していきたいと考えています。

新しい路線の就航イベントには人気のグランパスくんに参加してもらったり、エアアジア・ジャパンの機内誌で名古屋グランパスの選手を紹介したりと、チームを応援する以外にも様々な形でコラボレーションを行ってきました。

——この女性向けイベントはどのようなきっかけで生まれたものなのでしょうか

吉田:名古屋グランパスの女性観客数の割合は全体の約25%です。男性の方が多いのは間違いないのですが、ホーム入場者数が増加する中でも安定して3割を記録しています。

その中で近年、女性が持つSNSの発信力はめざましく、彼女たちに特化した施策の必要性を感じていました。2018年からパートナー契約をさせていただいているエアアジアさんにご協力いただけないかと思い、我々からお声がけをしました。

細谷:愛知県に拠点を置いて、これまでの航空サービスとは違う、もっと気軽な旅を提供したいという当社も、若い女性が主たるターゲットの一つと捉えていて、このガールズフェスタの目指しているところと目的が重なるところが大きいと思い、協賛させていただきました。

グランパスの試合は4万人にアピールできる場所

吉田:ご協賛が決まってからは、イベント内での具体的なコンテンツの企画に移っていきましたが、最初にお持ちした内容からだいぶボリュームアップしましたね。

細谷:はい、盛りに盛っていきました(笑)。

吉田:エアアジアの客室乗務員の方たちのトークステージを実現できたことは嬉しかったですね。豊田スタジアムの西イベント広場を、赤い制服を着た客室乗務員の方たちが笑顔で歩いてくる。スタジアムは普段男性が多い場所なので、華やかな印象を強烈に与えられたのではないかと。

細谷:バズーカで無料航空券を打ち込むというのも、最初はできないよと言われたんですが、なんとかゴリ押ししまして。

吉田:そうですね。オペレーション上の理由で実現できなかったものもありましたが、エアアジアさんと名古屋グランパスで目的や、やりたいことの調整を図れたことも成功の一因だったと思います。

細谷:イベント試合は、その場にいる最大4万人へのアピールの場なんですよね。正直、テレビCMや交通広告では、効果を図りにくい側面もあります。でも、イベントは実際にそれだけの人数が目の前にいる。その場をいかに使うかを突き詰めて考えて、実行する必要がありました。実際、普段以上にエアアジアの存在感が示せたのではないかと思っています。

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