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古江彩佳が難コースでも安定感を発揮できる理由は? 「3オーバー」までVチャンスあり【有村智恵の目】

有村智恵もうなった古江彩佳の安定感。「自分の特性を生かしている」(撮影:GettyImages)

<全米女子オープン 2日目◇7日◇ペブルビーチGL(米カリフォルニア州)◇6509ヤード・パー72>

予選ラウンドを終えた“女子ゴルファー世界一決定戦”は、難解なコースセッティング、さらに天候も大きく影響し、戦前の予想通り非常にタフな戦いとなった。大会を中継したBS松竹東急で解説を務めた日本ツアー通算14勝の有村智恵は、ここまでの戦いをどう見たのか? ラウンド終了後に話を聞いた。

予選ラウンドを終え、トータルアンダーパーはわずかに6人。戦前の予想通り、“USオープン”らしい展開になっている。多くの選手を苦しめるポイントについて有村は、「視覚的なプレッシャー」をひとつに挙げる。太平洋に面したリンクスはホールによっては、海に突き出たり、ホール内に崖があるという造りも珍しくない。「ハザードが目に見えるというプレッシャーはすごいもの。それさえ視覚に入ってこなければ、今の選手たちはもっとスコアを出すことができる技術力はあります」というほどだ。

例えば、よく言われる海外との芝質の違いなどは、経験でカバーできる部分も大きい。「セミラフの時にはどれくらい距離が落ちるとか、この芝ならどれくらいつかまるかなどは、山下(美夢有)選手や岩井選手(明愛、千怜)といった選手なら経験値でカバーできます」。ただ、視覚的な部分はコースによって異なるもの。特にペブルビーチは、「本当に状態が良くないと厳しいコース。大きなプレッシャーにいかに耐えられるかが大事になります」というほど、大きなウェイトを占めてくる。

そのなかで有村が「さすが」と、うなったのが古江彩佳のプレー。多くの選手がスコアを落としていくなか「70」と伸ばし、初日の39位タイから、一気にトータルイーブンパーの7位タイとトップ10圏内にまで順位を上げてきた。今季、何度も優勝争いに顔を出す古江の安定感あふれるプレーについて有村は、こう解説する。

「米国ツアーのなかではスイングスピードも速い方ではないし、距離も出る方ではない。ただ、スピードがないということにも利点はあって、距離感やボールの高低などコントロール性が増します。古江選手は、そこを武器にしたうえで、パターでもしっかりとバーディを奪うことができる。自分の特性を生かして、コントロール性能をしっかりと発揮していますね」

また、トータル14オーバーで予選落ちした渋野日向子についても、「個人的には思い入れがあるし、応援している」と前置きし、見解を話す。「プロゴルファーだけではなく、アスリートはいろいろと試していくなかで、『これは自分に合う、これは合わない』というジャッジを続けていく必要があります。渋野選手は、今そういった部分を精査する時間を過ごしていると思う。自分がやりたいと思うことにまずは向き合って、それが合っているかの判断をしていってもらいたいです。ノビノビとゴルフをしてもらえるのが私としては一番いい」。スイング改造や、左手のケガも抱えるなかでの試行錯誤は、一日二日でどうなるものではない。先輩プロとして“焦って欲しくない”という思いが、その言葉から伝わってくる。

いよいよ大会は決勝ラウンドに突入する。さらにセッティングも厳しさを増すことが予想されるなかで、「2オーバー、3オーバーくらいまではまだチャンスがある」と言える状況だ。ここからは2人一組の組み合わせで、全選手が1番からスタートするツーサムワンウェイ形式になる。難解なコースに加え、スタートが遅くなる上位選手たちは、よりタフなコンディションのコースに飛び出していくため、3日目を終えた時点でリーダーボードがどう変動しているかを予想するのは困難だ。

そのなかで有村は、「自分がいいと思えるショットを打ち続けることが大事になります」という部分を選手に求める。「このコースではいいショットがいい結果につながるとは限らない。そこで乱さずに、自分のスイングを貫くことが粘り強い戦いをすることにつながると思います」。それに加え、ピンが振られている時は、無理せずセンターを狙い、きっちりと2パットでストレスなくパーを拾うマネジメントを徹底してもらいたいと話した。日本勢は史上最多の11人が予選を通過。ムービングデーの活躍にも期待を込める。

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