タイゴルフ・シニアプロテスト 武井壮の挑戦

◆かけがいのない経験 シニアからの挑戦

中村:今回のシニアプロテストでも緊張感に満ちたプレイを見せて頂きましたけど、実際にテストを受けてみてどうでしたか?

武井:初めてラウンドしたコースですが、4日間練習できたのである程度はコースを理解できました。テスト初日は76 で回れて合格ライン。自分が1年かけて積み重ねてきたものが出せてここでも通用するという手応えを得ることができました。ところが2日目が前夜の豪雨のせいで全体的にウェットだったんですね。僕は日本で雨の日のゴルフをした経験がほとんどなかったんですよ。それで結構叩いてしまったのですが、如実に自分の弱点がわかりましたね。これはある意味収穫でした。ゴルは苦手な状況を放置したり、苦手なコースがあれば、トッププレイヤーでも予選落ちすることもある。そこを克服していかなければならないと感じました。それから、スーパージュニアの金次郎くんというゴルファーと対戦しながら練習ラウンドを4日間連続でやって、楽しくて集中しすぎて、精神力をほぼ使い切っちゃったんです。

—エンプティになっちゃったんですね

武井:そう。でもね、これは僕にとって素晴らしい経験でした。ジュニアでまだパワーもないけど、とてつもなく緻密なゴルフをする彼と回れたのは本当に楽しかった。1ラウンド勝つことができましたし、しかも1アンダーが出て、今回の僕のベストスコアだったんです。トータルアンダーのスコアは確かアメリカ留学以来の26年ぶりです。そんな練習ラウンドの緊張感を持って5日目の本番を迎えて良い成績で回れたのですが、6日目はコースコンディションの悪い場所からのミスショット連発に心が折れて、僕自身が疲れてしまったんです。でも、練習を含めた5日間をすべて70 台で回れたので、テストの結果ははっきり言って気にしてないです。ゴルフなんて良い日も悪い日もあるわけだし、その時間をマックスな状態で過ごせていれば幸せなわけです。今回はマックス以上で本当に疲れました。願わくば合格したかったですけどね。

中村:参考に聞いてみたいのですが、20代の昔と50歳になった今とで、やはりフィジカル面でのフィーリングの差を感じていますか?

武井:差は感じていませんし、むしろ20代の頃よりも痛い部分がないし、関節もフレッシュ。僕の場合は陸上だったから体へかかる負担が大きかったというのもあります。「体の強さ」ということでいえば20代の時は現在の倍は強かったでしょうね、スピードもパワーもあったし。でも、今はとても体のコンディションが良くて、まだ100mを11秒台で走るし、崩れているところは一つもありません。実際にアイアンなんかは今よりパワフルだった20代の頃よりも飛んでいます。パワーは落ちたけど、ミート率が良くなってスイングを理解し始めているから昔よりも飛ぶんですね。それにゴルフに対する体力は昔よりも上がっていて疲労もそれほど残りません。さっき疲れたと言ったのは精神的に疲れたということで、それだけフィジカルの良い状態でゴルフに集中できたということなんです。スポーツでメンタルが疲れるというのは、技術不足ということなんです。脳に無理がかかっているから無駄に疲れるわけで、それをリカバリーできる技術を養わなければいけないんですよ。だから、昔はボールを上手く捕まえられないと、力任せにスイングしたりして自滅していたのですが、今は一発も芯を食わなくてもなんとか75で回れることもあります。これは技術が向上したおかげで、ゴルフに関する精神的なタフネスが身についてきたんでしょうね。

中村:武井さんにはタイ・シニアプロゴルフ協会のアンバサダーにも就任していただいたわけですが、もちろん挑戦は続くわけですよね。

武井:はい、今日のプロアマも明日からの試合も、僕の中で続いている挑戦の延長でそれは一本線です。だから次のテストが勝負なのではなくて、すべてが勝負。スーパージュニアの金次郎くんには1打差で負けているのですが、いつかリベンジしてやろうと思っています。今日もマークセンと回るんですけど、なんとか食い下がれるよう勝負をします。強いて次の大きな挑戦を上げればアメリカのミニツアーかもしれないし、どこかの国の小さな予選会かもしれないし、とにかく地球上のどこでもいいから「勝負の場」を探してチャレンジしていきます。僕はゴルフをやっている理由もエンタテインメントをやっている理由も同じで、地球人全員に僕のことを知ってもらうためのチャレンジで、打倒トム・クルーズ的な気持ち。とにかく今よりもっと幸せになるためにタイでのシニアプロはもちろん、世界中でチャレンジを続けていきたいと思っています。だから、中村さんに伝えておきたいのは、50歳を過ぎてもコーチだけでなく、プレイヤーとしてもやっていくべきだということ。これは多くの50歳台の方にも言いたいのですが、忙しくてもあえてゴルフでチャレンジをしていくことで、ぜったいに10年後が今よりもっと楽しくなるはずです。

中村:僕も全部忘れてプレイヤーになってみたいというのは確かにあるのですが、オーガナイスも大切だしレッスンも好きなので、悩みながらチャレンジしていきたいと考えています。今日はありがとうございました。

武井:全部忘れず、全てをこなしつつプレイヤーとしての勝負をしていきましょう!ありがとうございました!

【第3回 タイシニアプロテスト開催予定】

日程:2024年2月21日〜23日
会場:The Legacy Golf Club
問い合わせ:ZEN GOLFERS Factory & Academy
(日本語でサポートします)

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