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エースが大舞台でV争い、鉄人は2年連続2位 ビュティエやリリア・ヴが大ブレーク【海外女子ツアー10大ニュース】

(左上から時計回りに)畑岡奈紗、リリア・ヴ、西郷真央、吉田優利、古江彩佳(撮影:福田文平、Yasuhiro JJ Tanabe)(撮影:ALBA)

今季も数多くの話題が生まれたゴルフ界。その中から、編集部が各ツアーの10大ニュースをピックアップしてシーズンを振り返る。今回は『海外女子ツアー』。

■優勝まであと一歩も… 日本のエースが存在感発揮

勝利にはわずかに届かなかった畑岡奈紗だが、今季も存在感を発揮。特にビッグトーナメントで優勝争いを繰り広げた。過去2年間の優勝者のみが出場できる開幕戦で5位に入ると、名門・ペブルビーチGLで行われた「全米女子オープン」では4位、次戦「アムンディ・エビアン選手権」では3位と奮闘した。日本開催の「TOTOジャパンクラシック」では首位タイで最終日を迎えるも8位、最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」では2位。5度の最終日最終組があったが、惜しくも歓喜を見届ける側となった。世界ランキングで日本勢最上位につけるエースの、米7勝目が待ち遠しい。

■鉄人がマッチプレーで2年連続2位

畑岡と同じく、わずかに優勝に手が届かなかったのが古江彩佳。トップ10に8度ランクインし、ポイントランキングでは日本勢最上位の10位に入った。「バンク・オブ・ホープ LPGAマッチプレー」では決勝戦でパジャレー・アナナルカルン(タイ)に敗れ、2年連続2位とした。それでも、2大会の通算成績は11勝1分2負という好成績で、マッチ通算11勝はツアー最多となった。今季のラウンド数は『90』でツアー全体4位という小さな鉄人が、その強さを見せつけた。

■ルーキーイヤーで最終日最終組のV争い

昨年のQシリーズを24位として、今年から米ルーキーとして戦った西村優菜だが、その初年度で奮闘を見せた。「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で最終日最終組入り。2打を追いかけたが届かず、3位に終わったが、米ツアー自己最高順位に食い込んだ。これで来季シード権だけではなく、出場人数が限られる最終戦にも当確。それ以降はプレッシャーから放たれたかのように「ビュイックLPGA上海」(8位)、最終戦(13位)など上位争いに加わり、華々しくルーキーイヤーを締めくくった。同じくルーキーだった勝みなみも来季シード権を手中に収めた。

■新たな世界NO.1が誕生 初優勝を含む今季4勝の大ブレーク

26歳のリリア・ヴ(米国)が大ブレークした。2月「ホンダLPGAタイランド」でツアー初優勝を遂げると、4月「シェブロン選手権」でメジャー初制覇。これだけにとどまらず、8月には「AIG女子オープン」(全英)を制し、11月「ザ・アニカ・ドリブンbyゲインブリッジatペリカン」でも優勝。初優勝を含む今季4勝を飾り、今年43位で始まった世界ランキングは急浮上し、初めて1位の座についた。

■西郷真央と吉田優利が米ツアー出場権獲得 一方、2次予選ではまさかの…

来季米ツアー出場権をかけた「Qシリーズ」(最終予選会)には、西郷真央、吉田優利、2次予選を通過した馬場咲希が出場。7日間108ホールの長丁場となったが、西郷が2位、吉田が7位で突破した。馬場は62位に終わり、下部エプソンツアーの出場権獲得に留まった。日本で唯一開催される米国女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」で優勝して米メンバー入りを決めた稲見萌寧を加えた3人が、24年をルーキーイヤーとして戦っていく。一方、10月に2次予選からQシリーズ進出を目指した原英莉花は、3日目終了後にスコア誤記の過少申告によりまさかの失格に終わった。

■タイガー超えの逸材がプロデビュー戦V 今季初優勝者はツアー歴代最多

プロデビュー戦で快挙達成だ。ジュニア時代から数々の賞を総なめにし、世界アマチュアランキング1位にも長く君臨したローズ・チャン(米国)が「ミズホ・アメリカズオープン」の開催前週にプロ転向。そして、初戦でいきなり優勝をかっさらった。プロ転向後初戦での初優勝は72年年ぶりとなる快挙。同じスタンフォード大学出身の先輩、タイガー・ウッズ(米国)を超える逸材との呼び声も高いが、そんな若き天才の偉業には男女ゴルフ界に名前を残すトッププレーヤーからも大きな賛辞が贈られた。

ほかにも、アレクサ・パノ(米国)、シャネッティ・ワナセン(タイ)、ユ・ヘラン(韓国)ら5人のルーキーが初勝利を挙げたが、これは1980年以降で最多。それに加えてヴ、ビュティエなど今季初優勝者は13人で、ツアー歴代最多記録となった。

■“劇場型”でトップ10入り

アリゾナの地で渋野日向子が躍動した。3月の「LPGAドライブオン選手権」。初日に126位と大きく出遅れたが、2日目に米ツアー自己ベストタイの「64」、3日目は「65」をマーク。一気にリーダーボードを駆け上がり、上位争いに加わった。3日目のバックナインは神プレー連発で全ホール『1』パット。「ぜんぶ1とか初めて」と本人も驚きを隠せない驚異的な数字を叩き出した。7位としてトップ10入りを遂げたが、結局これがシーズン唯一に。ランキング83位で来季フルシード権を逃した。

■年間女王が不振でシード外 稀代の飛ばし屋も“冷や汗”

昨年11月の最終戦で完全優勝を飾り、3度目の年間女王に輝いたリディア・コ(ニュージーランド)。賞金は当時史上最高の2億8000万円で、12月には結婚するなど公私ともに順風満帆だったが、今季は苦しい一年となった。勝利はなく、トップ10入りは2度のみ。ポイントランキングは100位に終わり、同80位までに与えられるシード権を逃した。とはいえ、来季は別カテゴリーでフル出場できる。

昨年ランキング7位だった飛ばし屋レクシー・トンプソン(米国)にとっても、我慢の一年だった。7月からは5試合連続の予選落ちを喫するなど、調子が一向に上がらなかった。それにもかかわらず「ソルハイムカップ」では選抜入りして批判も浴びたが、チームをけん引。そこから波に乗り、8位、5位、7位と3連続トップ10入り。なんとかランキング79位に滑り込み、来季シード権を獲得した。

■クアラルンプールの死闘 3時間半のプレーオフ

マレーシアでの「メイバンク選手権」で、歴史に残る激闘が繰り広げられた。アタヤ・ティティクル(タイ)とセリーヌ・ビュティエ(フランス)が首位タイでホールアウトし、優勝の行方はプレーオフへ。しかし、そこからが長かった。延長戦2ホール目の途中、雷雲接近により1時間半の中断を挟む。強行再開後も分けに分け続け、気づけば9ホール目に突入していた。最後はパーとしたティティクルに対し、ビュティエがバーディを奪って決着。3時間半にわたる灼熱の死闘だった。米国女子ツアーとしては12年「キングスミル選手権」以来、史上2番目の長さだった。ビュティエは地元フランスでのメジャー大会エビアン選手権を含むシーズン4勝目を飾った。

■確率は200万分の1? 笹生優花がアルバトロスを達成

LPGAドライブオン選手権の2日目にビッグプレーが飛び出した。笹生優花は2番パー5、ティショットをフェアウェイ左サイドに運ぶと、残り217ヤードの2打目をユーティリティで振り抜いた。これがピン手前に着弾すると、数バウンドしたのちに転がりカップイン。アルバトロスを達成した。20年「ショップライトLPGAクラシック」でリンジー・ウィーバー(米国)が達成して以来、46人目(48回目)の快挙となった。

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