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最後は熱い抱擁で後輩を祝福 金谷拓実は清々しき惜敗「あっぱれですね」

金谷拓実は“あっぱれ”なプレーを続けた後輩を自らの胸で受け止めた(撮影:米川昌俊)

<ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント 最終日◇11日◇麻生飯塚ゴルフ倶楽部(福岡県)◇6809ヤード・パー72>

「4日間で29アンダーも出して、自分のプレーはやり切った。中島(啓太)選手はきょうもいいプレーをしていました。最後のプレーオフもいいプレーをしていて、もうあっぱれですね」

3大会続けて最終日最終組を戦った後輩をたっぷりと祝福する、そんな言葉を送った。1994年の尾崎将司以来となる2週連続の完全優勝を狙った金谷拓実だったが、3日目終了時点でつけていた3打のリードを守れず。中島啓太との延長戦までもつれこみ、2ホール目に力尽きた。

自らも4つのバーディを奪い、ボギーはなし。「68」ときっちりスコアを伸ばした。ただ2週連続2位と惜敗が続き、プロ転向後初優勝がかかっていた2学年下の22歳の気迫はそれ以上だった。スタートホールからイーグルを奪うなど「65」。“あっぱれ”というよりほかない。「言うことは無いです。本当に中島選手がいいプレーをした。プレーオフの最後もナイスショットだったし素晴らしかったです」。繰り返すように、称賛の言葉を並べ続けた。

この日と同じく同組でプレーした3日目のラウンドを終えた時、かつてナショナルチームでともに戦ってきた中島は先輩・金谷との会話について「全く無いです。ゼロですね」と明かしていた。もちろんあいさつや、いいプレーに対して『ナイス!』という声はかけあうが、いわゆる世間話はなし。もちろん尊敬の念がベースにあるのは言うまでもないが、急にその“世界観”が崩れることはない。

そんな金谷だが、優勝が決まった瞬間は、ライバルに最大の敬意を表現するかのように中島と熱い抱擁を交わした。『どんな言葉をかけたか?』という質問に対しては、「それは2人だけの秘密ですよ」と答えるのみ。実質一騎打ちとなったが、最後までプレーで2人だけの世界を楽しんだ様子が伝わってくる。

次週の国内ツアー「ハナ銀行 インビテーショナル」(15~18日、千葉県・千葉夷隅GC)には出場せず、欧州に飛んで22日からドイツで行われる「BMWインターナショナルオープン」に挑む。「最後の方に逆転されて、17番でミスもあったり。正規の18番も本当はバーディチャンスにつけたかったけどもうやり切りました」。そんな清々しさを胸に海を渡り、次は世界と戦う。

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