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「63」を叩き出しても無欲 岩井明愛が“2勝目”のためにやめたこと

大会コースレコードの「63」をマークした岩井明愛(撮影:鈴木祥)

<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 初日◇15日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6534ヤード・パー72>

岩井明愛の代名詞が、愛知でも飛び出した。12番パー5、残り270ヤードからの2打目にドライバーを選択すると直接グリーンを捉えて2オンに成功。「ラインが見えなかった」と6メートルのイーグルパットは決め切れなかったが、2パットでおさめて、この日6つ目のバーディを奪った。

勢いは最後まで止まらず、続く13番も奪って、折り返す直前の9番からは5連続バーディ。終盤にはさらに2つを上積みし、ボギーフリーの「63」をマークした。これは大会コースレコード記録に並ぶビッグスコア。後続に3打差をつけて単独首位のロケットスタートを切った。

6月「ニチレイレディス」の2日目に自己ベストとなる「62」に続く好スコア。「そのときのテンポに似ていた気がします」と、そのときのパッティングのフィーリングを取り戻したような感覚で、絶妙な距離をスコスコと決め続けた。「これだけ入ったら楽ですよね」と、笑顔をみせながら一日を振り返る。

4月の「KKT杯バンテリンレディス」で念願の初優勝を飾り、現在のメルセデス・ランキングは3位。上位争いの“常連”となり、毎試合で優勝争いを繰り広げているが、2勝目は遠い。3度のプレーオフを経験しているが、すべてで惜敗。それらを含めても、2位を5度経験している。

あと一歩というところで足踏みをしているような、気持ち的にも苦しい状態が続いているなか、ひとつやめたことがある。「2勝目を勝ちたいという気持ちは強かったけれど、それをやめてみようと思いました」。先週のメジャー大会「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」からマインドセットを変えて、勝利への“欲”を少し押し留めるようにした。

「考えると体も動かなくなるので、あえて考えないように。自分のゴルフに集中できるように意識を持っていきます」と、初優勝を飾ったときのように、まずは目の前の一打に集中することを決めた。きょうのように、初日に好発進を切っても“優勝”を意識しない。「まだ考えていないですね。たぶんこの先、考えないと思います」と、2勝目をつかみきるまで常に平常心を保つことを心掛ける。

とはいえ、欲を見せなくても、「自信はあります」と少しずつ近づいているという実感はある。最後まで無心を貫いたその先に、目指すものが見えてくるはずだ。(文・笠井あかり)

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