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【新時代サッカー育成対談】幸野健一×北原次郎×菅原和紀×佐々木洋文|「北海道が『育成大国』になるために」|後編

掲載協力・WHITE BOARD SPORTS


■登壇者

・幸野健一|プレミアリーグU-11実行委員長/FC市川GUNNERS代表/サッカーコンサルタント
・北原次郎|プレミアリーグU-11北海道実行委員長/北海道コンサドーレ札幌アカデミーダイレクター
・菅原和紀|Faminas(ファミナス)監督
・佐々木洋文|トロンコ旭川FC 代表

■ファシリテーター

・北健一郎|サッカーライター/ホワイトボードスポーツ編集長


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北海道がクリアすべきハード面の課題とは?

──ケンさんがzoomの背景にされている壁紙は自前で持っているサッカーのフルピッチの人工芝ですよね。

幸野 そうです。千葉県の市川市にある北市川フットボールフィールドという私たちがPFI(プライベイト・ファイナンス・イニシアティブ)という手法で自前のグラウンドを作って、ここを僕らのホームグラウンドとして使用しています。ここにはクラブハウスもあってJクラブ並みの施設を持って僕らは活動しています。雪はもう2年くらい降ってないです(笑)。

──北海道の場合こういった素晴らしいグラウンドがあっても冬の間は雪で埋まってしまう。次郎さん、北海道でこのような環境を作るにはどうすれがいいのでしょうか。

北原 環境はかなり大変だなと思います。大きく分けると札幌、旭川を中心とした都市部とそれ以外のところで状況が違うかなと。やはり人工芝のグラウンドが非常に増えてきているので人工芝だと札幌では3月末くらいで使えますし旭川でも4月から使えるようなところはあります。ただ、それ以外の地方に行くと天然芝のグラウンドがたくさんあるんですけど雪溶けから考えたらまだクローズしているところが多い。なので5月くらいから使うことになって10月くらいにクローズしてしまって、かなり狭い期間でしか使えないです。コンサドーレのトップチームは下にヒーターを入れてもらって12月の降雪期でも使えるようにはしていますけど他の地域よりも(グラウンドを)作るときにお金がかかります。

幸野 ヨーロッパのスウェーデンやノルウェー、フィンランドへ冬の時期にサッカーの視察へ行ったことがありますけどみんな雪を固めて普通に雪の上でみんなサッカーやっていますからね。トップリーグのプロの試合でも普通に雪の上でやっていますからね。「すごいな」というか、めちゃめちゃ雪が降っている中で普通に試合をしているからすごく頼もしいなと思いますし多分日本ならそこまでやらないと思います。

北原 雪はどのくらい降っているんですか?

幸野 完全に下が固まっている状態です。それと観客も大変だなと思うんですよ。でも観客もいっぱいいるんですよ。だから北海道の人もそうしろというわけじゃないですけど、考え方とか固定観念縛られている部分が何かあるのかなと思ったし、世界の寒冷地に行って思うことはいろいろあります。南極の氷の上でみんなサッカーやっていますからね(笑)。ああいうのを見ると「サッカーってこんなところでもやってるのか」という場所でもどこでもできるんだなと思います。

僕が聞いたのは、日本が一番人口がいるのに世界的に雪が深い。青森市とか長岡市は30万人とか10万人いる都市なのに雪が3mとか4mも積もるので世界的にも珍しいらしいです。そういう意味では雪のハンデはサッカーにおいては当然ある。一時期Jリーグ秋冬制になる案が浮上しましたけど「北海道を含めた降雪地帯を見放すのか」と議論になったじゃないですか。降雪地を救済することはできないですし「そのときだけアウェイで南に出ていろ」というのもめちゃくちゃハンデになるので結局(その案は)流れてしまったわけじゃないですか。

──そうですね。ちなみに佐々木さんは幸野さんのことはイベントの前から知っていたんですよね。

佐々木 僕はパッションを大事にしているんです。情熱的にコーチングするほうなので、幸野さんが「パッション」という書籍を出していたので読んでいました。まさかこんな出会い方ができるとは思っていませんでした。

幸野 ありがとうございます(笑)。

佐々木 すごく面白いです。「こういう考えが日本全国に広まったらどんなにみんな幸せだろうか」と思って読んでいました。

──それで刺さったのが「育成年代においてもハードを使わなければダメだ」という話だそうで、ハードはコンサドーレと違ってファミナスさんとトロンコさんはない。ハードに対してはどんな考えですか?

佐々木 この本の中に「ソフトよりもハードに投資しろ」という章がありまして、僕としてはこの不利な土地でどうやって環境を整えていくかということも考えていかないといけないのは間違いないのですがそこに簡単に着手することができないという中でソフトに対しての質をずっと求めてやっきたので、こういったものを読んで限りなくハードが重要だというところに共感しています。今現在僕らが常時使わせていただいているのは高校のクレイ(土)のコートをお借りしてトレーニングさせてもらっています。月3回は旭川市の人工芝の施設をタイ味イングが良ければ使えるのでそこを使わせてもらうというやり方でトレーニングしていて、1週間に1回は体育館でフットサルをプレーしているという練習環境です。なので「毎日人工芝で練習できたらどれだけ幸せなんだろう」というのは指導者として選手の気持ちを考えてもすごく思います。

──菅原さんのファミナスはどういう環境で活動していますか?

菅原 ファミナスは実業高校のめちゃくちゃきれいな人工芝のグラウンドで毎日練習させてもらっています。そういう面で旭川で恵まれているのはコンサドーレ東川とファミナスくらいですね。

──コンサドーレ東川もいい環境なんですか?

菅原 コンサドーレ東川も人工芝ですね。

北原 東川町の人工芝のグラウンドを使わさせていただいております。

──人工芝のグラウンドはそんなに希少なんですか?

菅原 希少です。

──では子どもたちは土のグラウンドでプレーしているんですね。

菅原 普通の少年団のチームは小学校の土グラウンドが普通です。あとはコンサドーレ東川以外の僕ら町クラブがどういった環境でやれるかというところ。ですが旭川の人工芝グラウンドは4種だけじゃなくいろいろなカテゴリーが使うので予約が埋まっていて使いたくても使えない状況なのであと1つ、2つあればいいなと思いますね。

──グラウンドを作ることに対しての課題はケンさんはどう思いますか?

幸野 本でその章を書いたときは北海道のことをイメージしていたわけではありませんでした(笑)。北海道の人たちまで同じようにグラウンドを作れと言うつもりはなく普遍的に書いたわけですが、僕らが本土で北市川フットボールフィールドのようなグラウンドを作っても(年間の)40%の時間も使えなかったらとてもペイできない。だから何か別の方法が必要だと思うし、そこをエンターテイメントに変える要素を北原さんがこのzoom中に僕へLINEしてきたのですが……。

──次郎さん、何を送ったんですか?

北原 ヨーロッパで大人のサッカーをやっているスタジアムの傍でお風呂に入っている写真ですね。

幸野 デンマークのホブロスタジアムで温泉に浸かりながらめちゃくちゃ雪が降っている中でサッカー観戦できるようになっているんです。ハンデをこのように変えてしまう発想はすごいなと思って。この中でも普通にトップリーグでは試合をしているんですよ。

──でも旭川の降雪量はこのレベルじゃないですよね。

北原 そうですね(笑)。

幸野 すみません(笑)。でもコンサドーレもスタジアムの横を全部温泉にしたらいいじゃないですか。

北原 そうですね。温泉の熱で雪を溶かせばいいですからね。

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