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【新時代サッカー育成対談】幸野健一×守山真悟|新時代サッカー育成対談「勝利は本当に大事なのか?」|前編

UPDATE 2021/07/06

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掲載協力・WHITE BOARD SPORTS


■登壇者

・幸野健一|プレミアリーグU-11実行委員長/FC市川GUNNERS代表/サッカーコンサルタント
・守山真悟|関西地域委員兼大阪府実行委員長

■ファシリテーター

・北健一郎|サッカーライター/ホワイトボードスポーツ編集長


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関西ではプレミアリーグU-11の独自ルールに反発があった

──ケンさん(幸野さん)、まずは守山真悟さんがどんな方か教えてもらえますか。

幸野 関西のクラブチームと言えば迷彩柄のユニフォームで特徴ある「RIP ACE SOCCER CLUB(リップエースサッカークラブ)」率いているのが守山くんです。

──今日は守山さん、どんな話をしたいと思っているか意気込みをお願いします。

守山 まずはこのような対談の機会を与えていただいて本当にありがとうございます。私たちも今の価値観とかに囚われずに、成長して、進化していきたいです。今日の話が新しい気付きや新しい繋がりになれば良いなと思って私もワクワクしています。よろしくお願いします。

──ケンさんと守山さんはプレミアリーグU-11の実行委員という立場でもありますが、改めてプレミアリーグU-11とはどういったものなんでしょうか。

幸野 これまでは日本サッカー協会が主導してリーグ戦化を図っていき、3種や2種はリーグ戦化が進んでいきましたが4種は地域が主催する大会などがたくさんあって、なかなかリーグ戦化が進まなかった。今、U-12が日本サッカー協会主導の中でリーグ戦化を進めている中でそれより下の学年のリーグ戦化が、大阪の方は進んでいますが日本全体で見たときにはなかなか進んでいない。日本サッカー協会に頼らないでリーグ戦文化を浸透させようと僕らが私設のリーグとして小学5年生年代のU-11をリーグ戦化しようと5年前からスタートしたのがプレミアリーグU-11。今年はコロナの影響で少し減っているとは思いますが、今は33の都道府県で約7000人の選手が通常だと年間3000試合を行うまでの日本最大のリーグ戦になっています。

──なるほど。その中でプレミアリーグU-11はどんな仕掛けをしてどんな特徴があるのでしょう。

幸野 これまでのようにレギュラーばかりが試合に出てサブの選手が出られない環境は、トーナメントをたくさんやることでトーナメント至上主義になって、指導者も「勝つ」ことを一番のプライオリティにしてしまうから。そういうのを改善しようと、僕らのリーグ戦では3ピリオド制にして全員が最低1ピリオドに出なければいけないという設定することで試合に出られない子どもをなくしています。

──今「勝利至上主義」という言葉が出たように、今日のメインテーマは「勝利は本当に大事なのか?」と置いています。守山さん、関西でも勝利至上主義のような風潮なんでしょうか。

守山 「勝ちたい」、「勝利を目指す」というのは日本全国、世界を見てもプレーしている以上はあると思います。ただ、大阪というくくりで言うと、私の見解は文化的に「人と違うことがやりたい」とか「目立つことが好きだ」という商売人気質なところがあるんじゃないかと勝手に思っています。

──関西独特の気質があることでプレミアリーグU-11が東京から“輸入”されたときに反発はありませんでしたか?

守山 ありましたね(笑)。

幸野 めちゃくちゃありましたね。それこそ守山くんからも相談を受けましたし、3ピリオド制で全員を出すということに反発はありましたよね。

守山 競技は同じですけど、皆さん目的や方針が違うので、そこに少し噛み違いがあって幸野さんが今回言ったように「お前誰やねん」とか「お前のこと知らんぞ」とか、単純に言ったら「挨拶ないな」とかはあるんじゃないですかね。

──その中で守山さんはどのようにしてプレミアリーグU-11のチーム数を増やしたり、ルールの理解を深めさせていったのでしょう。

守山 幸野さんから熱い想いを聞かせていただいて、リーグ戦に対する思いとかサッカーの広め方を私はすごく共感して、最初に僕が声をかけていただいたので快く受けさせてもらいました。だけども、なかなかうまくいかないこともありましたけど、話ができる指導者の方々としっかりと向き合って話をした中で、無理に拡大をせずに理解していただいている方とやっています。

──ケンさんが関西にプレミアリーグU-11を広めるために守山さんに話を持ちかけたのなぜだったのでしょうか。

幸野 元々、守山くんと面識はなかったのですが、横浜の末本(亮太)くんが「関西と言えば守山くんだ。彼に任せれば絶対に間違いない」と言うので、「じゃあ任せる」というかたちで、末本くん経由で任せました。

──「関西と言えば守山くんだ」という話がありましたがリップエースというチームはいつ立ち上げられたんですか?

守山 2002年です。ちょうど、日韓W杯の年が大学を卒業する年で、その年に同級生の今村康太と「やろうか」ということで始めました。

──リップエースの過去の記事を読んだのですが、当時は守山さんも今村さんも金髪でロン毛だったそうですがこれは本当でしょうか(笑)。

守山 はい(笑)。

──金髪にロン毛で、迷彩のユニフォームでヒョウ柄のビブス……。街で会っても声をかけづらいなと思ってしまいます。

守山 迷彩のユニフォームは3、4年目からですね。ヒョウ柄のビブスは3年前にしました。

──表面的なことですが見た目の与えるインパクトは大きいと思います。あえて目立つことをしていて、先ほど守山さんが話していた関西気質な部分が反映されているような気がします。

守山 自分たちが人と違うというよりは、みんなが画一的なんじゃないかと思っています。私たちは至って好きなことをしているだけ。自分たちが好きな仲間と好きなサッカーをとことんやっている。強い好きがいろいろな興味を生んで、子どもでいう夢中な状態のまま今、大人になっているという感じですかね。

──なるほど。では、チームを立ち上げるにあたってのコンセプトは何かありましたか?

守山 立ち上げ時は好きの延長で、私たちはどちらかというと“サッカーコンプレックス”からのマイナスのパワーでのスタートでした。マイナスの「プロになれなかった」とか「サッカーで大成できなかった」とか、認めてもらえなかったというパワーが瞬発力に代わって、強いエネルギーになりました。だけどそれだけのパワーでは持続力が少なく、しばらくしたときに「うまくいかない。なんでやろ」となったときに自分たちがどうしたらいいかということでコンセプトを作ろうと工夫していきました。

──ケンさんの育成方針のルーツはヨーロッパ留学をしていた際に培われたものが大きいですか?

幸野 そうですね。


幸野健一(こうの・けんいち)
プレミアリーグU-11実行委員長/FC市川GUNNERS代表/サッカーコンサルタント

著書
パッション 新世界を生き抜く子どもの育て方

1961年9月25日、東京都生まれ。中央大学卒。サッカー・コンサルタント。7歳よりサッカーを始め、17歳のときに単身イングランドへ渡りプレミアリーグのチームの下部組織等でプレー。 以後、指導者として日本のサッカーが世界に追いつくために、世界43カ国の育成機関やスタジアムを回り、世界中に多くのサッカー関係者の人脈をもつ。現役プレーヤーとしても、50年にわたり年間50試合、通算2500試合以上プレーし続けている。育成を中心にサッカーに関わる課題解決をはかるサッカーコンサルタントとしても活動し、2015年に日本最大の私設リーグ「プレミアリーグU-11」を創設。現在は33都道府県で開催し、400チーム、7000人の小学校5年生選手が年間を通し てプレー。自身は実行委員長として、日本中にリーグ戦文化が根付く活動をライフワークとしている。また、2013年に自前の人工芝フルピッチのサッカー場を持つFC市川GUNNERSを設立し、代表を務めている。

守山真悟(もりやま・しんご)

プレミアリーグU-11関西地域委員兼大阪府実行委員長/RIP ACE SOCCER CLUB代表

1979年、滋賀県生まれ。草津東高校、桃山学院大学でサッカーを続け、大学4年時の2002年に、同期の今村康太と一緒に大阪府堺市でRIP ACE SOCCER CLUB(リップエースサッカークラブ)を創設。「サッカーがうまくなるとは、サッカーをすることである」という考えに基づく「戦術的ピリオダイゼーション」をいち早く実践し、オリジナルの動作理論と組み合わせた指導を続けている。迷彩柄ユニフォーム・豹柄ビブスを着用する見た目のインパクトを放ちながら、社会で通用する選手を育てるという自立型人間の育成を教育指針に掲げ、子どもたちの心を鍛えることを重視して活動している。

北健一郎(きた・けんいちろう)

WHITE BOARD編集長/Smart Sports News編集長/フットサル全力応援メディアSAL編集長/アベマFリーグLIVE編集長

1982年7月6日生まれ。北海道出身。2005年よりサッカー・フットサルを中心としたライター・編集者として幅広く活動する。 これまでに著者・構成として関わった書籍は50冊以上、累計発行部数は50万部を超える。 代表作は「なぜボランチはムダなパスを出すのか?」「サッカーはミスが9割」など。FIFAワールドカップは2010年、2014年、2018年と3大会連続取材中。 テレビ番組やラジオ番組などにコメンテーターとして出演するほか、イベントの司会・MCも数多くこなす。 2018年からはスポーツのWEBメディアやオンラインサービスを軸にしており、WHITE BOARD、Smart Sports News、フットサル全力応援メディアSAL、アベマFリーグLIVEで編集長・プロデューサーを務める。 2021年4月、株式会社ウニベルサーレを創業。通称「キタケン」。

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