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ランニングシューズ『アンダーアーマー_UAホバー ソニック3(後編)』

独自のUAホバーフォームによって、着地衝撃を反発力に変え、無重力感覚を思わせる快適なはき心地をもたらしたアンダーアーマーの「UAホバー ソニック3」。このシューズにはもうひとつ、ランナーにとっては画期的な仕掛けが用意されている。

アンダーアーマーを取り扱う、株式会社ドームでランニングカテゴリーの商品企画・MD部長をつとめる藤井雅義さんは「上の画像の小さな青い部分ですが、ソールの中に約2cm四方で1.5gほどのセンサーチップが埋め込まれています。これが走行距離や走行時間、スプリットタイムなどのデータを計測してくれるのです」と教えてくれた。

よくランナーが走行中に目をやるランニングウォッチは、こうしたデータを計測して知らせてくれる。このセンサーチップは同じ役割を果たしてくれるのだ。このようなランニングデータは、ガチなランナーのためだけの数値というわけではない。初心者ランナーであっても、こうしたデータが、走るモチベーションの素になってくれるのである。

ではセンサーチップが計測したデータをどのようにして目にすることができるのか。まずはアンダーアーマーの独自アプリ「MapMyRun」をスマホにダウンロード。スマホをシューズの近くに置けば、ブルートゥースで同期して、計測されたランニングデータを見ることができるわけだ。藤井さんによれば、「ランニング中にスマホを携帯して、イヤホンなどをつけていれば、走りながら現状のランニングデータを聞き取ることもできます」という。

このセンサーチップはGPSには対応していないので、マップ上でランニングコースを再生することはできない。だが一方でシューズが地面に接地していた時間や、足が接地した角度(つまり前足部から着地するか、カカトから着地するか)などは、センサーチップがソールに埋め込まれているからこそ計測できるもので、ランニングウォッチや後付けのポッドでは正確に測ることはできない。

“エリート”市民ランナーであれば、こうしたデータを自分の走りの改善につなげることができるだろう。けれど初心者にはタイム以外は、それほど有益なデータにはならないのではとも思えるのだが…。すると藤井さんは自身のスマホにダウンロードされた「MapMyRun」を見せてくれながら、こう説明してくれた。

「初心者には「MapMyRun」のコーチング機能を利用してほしいですね。あらかじめ入力されたパーソナルな身体データやこれまでのランニングデータから、理想的な歩幅やピッチをアドバイスしてくれますし、さらに現状に即したエクササイズやストレッチまで教えてくれます」。つまり正しい走り方のヒントを伝えてくれるパーソナルトレーナーにもなってくれるわけだ。なかなか正しいフォーム、走り方を知る機会がなく、どう走ったらいいのかがわからない初心者にとっては心強い存在だ。

ちなみに埋め込まれたセンサーチップは、走り終わってからシャワーをゆっくり浴びた後で、スマホに同期させても問題なし。そしてセンサーチップ本体の充電は不要という設計となっている。ドーム社内でも多くのランナーがこのシューズを愛用しているが、センサーチップよりもソール本体の方が先に寿命を迎えるらしい。

デジタルの力でランナーをサポートするこうしたシューズは、スマートフォンならぬ、“スマートシューズ”と称されている。現在、市販のランニングシューズのカテゴリーで、スマートシューズと呼べるのは、この「UAホバー ソニック3」を含むアンダーアーマーの製品だけだという。ただ藤井さんの予想では、これからスマートシューズが増えていく可能性は高いらしい。

アンダーアーマーのシューズやアパレルは、積極的にイノベーションを取り入れることで、アスリートたちから支持を集めてきた。ランニングシューズにデジタルを巧みに融合させたのもこうした一環といえるだろう。デジタルガジェット好きやベテランランナーの中には、今から10年以上も前に、ナイキとアップルがコラボして、同じようなコンセプトのシューズを発表したことを覚えている人がいるかもしれない。だがその精度やクオリティにおいて、この「UAホバー ソニック3」と比べると、まったくの別モノだといっていい。まさにイノベーションの成せるワザだ。

「安全に楽しく、安心して走り続けられることこそランナーにとっての喜び。そして走り続けられるからこそ、タイムや成績につながります」。これは取材中に藤井さんが何回も口にしていた言葉だ。「UAホバー ソニック3」はランニングシューズが求め続けてきた本質的な機能性の向上に真正面から取り組み、同時にデジタルを応用して、側面からのランナーへの新たなサポートを実現した。

「あの噂の厚底シューズは3万円以上もします。でも「UAホバー ソニック3」は11,000円(税別)ですが、これだけの機能が搭載されているんですから」と藤井さんは控えめに語るが、コスパという視点だけでなく、このランニングシューズ、やはりただ者ではない。

>>アンダーアーマー『UAホバー ソニック3』【前編】はこちら

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