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競泳2冠の女王ケイティ・レデッキーが“金メダル翌日”に日本の学生と交流。「プロセスを楽しむこと」。アスリートとして、教育者として彼女が伝えたいメッセージとは?

東京オリンピック(五輪)で女子800メートル自由形、1500メートル自由形の2冠を達成したケイティ・レデッキー選手が、世界が注目する「STEAM教育」の重要性について語った。

ロンドン五輪、リオデジャネイロ五輪で通算5つの金メダルを獲得するなどアメリカ史上最強の女子競泳選手と呼ばれるレデッキー選手。彼女はアスリートとしての一面のみならず次世代教育支援にも熱心で、自ら主催する教育プログラムを通して「STEAM教育」の大切さを伝えている。

世界で注目される「STEAM教育」とは?

STEAM教育とは、「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Art(芸術)」「Mathematics(数学)」における教育分野を総称する言葉だ。

近年アメリカで始まった教育モデルであり、既成の教育概念に縛られず、分野を越えて多角的に物事を考え行動する人材づくりに貢献する方法論として、世界中で注目されている。

レデッキー選手は五輪で圧倒的なパフォーマンスを出した翌日、グローバル企業「Panasonic」の全面支援のもと、スポーツ分野における教育の重要性を広める活動を実施。日本の中高生たちとオンラインのイベントを通して積極的な交流を図った。さらに彼女は、イベント終了後にSmartSportsNewsの独占インタビューを快諾。改めてSTEAM教育の重要性を語った。

プロセスを楽しむことの重要性

──アスリートでありながら教育にとても熱心なレデッキー選手ですが、なぜSTEAM教育に携わろうと考えたのでしょうか?

とてもいい質問ですね。そもそも『STEAM』のスキルセットが、今のいろいろな仕事において重要だと思っています。その上で、若い人たちにこの領域に関してパッションを持ってもらいたい。熱心になってもらうことが大事です。若い人たちのキャリア形成ということだけではなく、それ以上に、STEAMを通じた社会貢献ができるということがなによりも大切なことだと思います。

例えば、私の家族には医療に関わる看護師や医師、科学者などSTEAMの分野で活躍する人たちがいますが、STEAMのスキルセットは、まさにこうしたあらゆる分野に生かすことができると考えています。その点において、パナソニックはテクノロジーを用いて日々の生活を良くしようとされていますし、私は、パナソニックとの価値のあるパートナーシップを組ませていただくことで、若い人たちにこうしたSTEAMの教育分野への関心を高め、熱心になってもらえたらと思います。そのような取り組みを続けることが、社会的にも重要だと考えて活動しています。

──今後、日本での活動を広げていくことを考えていますか?

当初の予定では五輪後は日本に残り、実際に生徒の方たちとお会いする希望をしていました。しかし、パンデミック下において難しい状況でしたので、今回、バーチャルな空間でお会いすることになりました。イベントを開催できてとても嬉しく思っています。

今日、参加された方の中には、去年開催したイベントにも来てくださった方がいましたし、つながりを感じました。彼らがパッションを持ち、楽しそうに学んでいる姿を見られて嬉しいです。

──レデッキー選手が考えるこの新しい教育を広めることと、スポーツの真の価値ということは、根底には共通する部分があるのではないでしょうか?

(教育もスポーツも)プロセスの楽しみ方は共通することの一つです。結果だけではなく、プロセスを楽しむ。今日もその話をしましたし、日本の学生たちにも私の意図が伝わっていたら嬉しいですね。最終的な成果や結果だけではなく、そこに向かう過程を楽しむことが大事です。

──レデッキー選手の活動も大きなきっかけとなり、今後、日本でも世界でもSTEAM教育に興味を持つ若い人たちが増えてくると思います。そうした方たちへのメッセージをお願いします。

STEAM教育はもちろんですが、それに限らず、学生のみなさんには、何かに興味を持ち、パッションを持つことが大事です。そこに注力して、頑張ってもらいたいですね。

そしてなにより、自分自身が学生と出会うことに価値を感じています。それが今回のようにオンラインであっても、実際にお会いできるオフラインであっても、日本であっても、アメリカであっても、あるいは別の場所であっても、それが本当に素晴らしいことです。これからもたくさんの若い方々とお会いできることを楽しみにしていますし、今後パナソニックとの取り組みをさらに盛り上げていくことで、みなさんとお会いできる数多くの機会を作れたらと思います。

■クレジット
写真:パナソニック提供
取材・インタビュー:上野直彦
構成:Smart Sports News 編集部

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