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「いい意味で馬鹿になれるか」 永野竜太郎が世界一決定戦で掲げる標語

永野竜太郎は最後まで“馬鹿”を貫く(撮影:Yasuhiro JJ Tanabe)

<全米オープン 2日目◇16日◇ザ・ロサンゼルスCC ノースC(米カリフォルニア州)◇7421ヤード・パー70>

大会に出場する4人の日本勢がすべて予選ラウンドを通過。そのなかで最上位についたのが、5月22日に茨城県で行われた最終予選会を勝ち抜いて出場権を得た永野竜太郎だ。2日目に「67」と3つ伸ばしてトータル2アンダー・12位タイ。トップ10入りを望める位置で週末に入る。

「とりあえず1番で獲れれば、気持ち的に楽になれるとスタート前から思ってたら獲れた。ホッとした部分があった」と、スタートホールのパー5で2オンから狙い通りの“おはようバーディ”。これで肩の力を抜いた。続く2番でボギーが来たが、それも「想定内」と振り返る。その後、5つのバーディを積み重ねられた要因として、「いいのが入ってくれた」と28回で切り抜けたパッティングを挙げる。

14番では4メートル、16番では3メートルと、決まれば気持ちも乗ってくる距離のバーディパットがよく入った。「ロングパットもうまく2パットでしのいでいるし、リズムがいいのかな。全体的にタッチであたふたすることもない」。今季もドライビングディスタンスが302.35ヤードで9位と、日本では飛ばし屋としてならすが、米国では繊細なタッチがスコアメイクの肝になっているようだ。

国内ツアーで未勝利の35歳は、夢舞台でも浮足立つことはない。「もう無理は全然してないと思いますよ。ボギーは仕方ないや、ぐらいの気持ちでやってたので」。順位などの目標も「作ってないんですよ。今できるゴルフを全力でやって、どうなるかなので。とりあえずその日、その日全力を出し切るだけ」。日本人最上位にいることを告げられても、「(ホールアウト時の順位)14位は14位だからね」と切り返す。

掲げている標語は「いい意味で馬鹿になれるか」。ラフを恐れると、狭いフェアウェイを前に振り切れなくなる。“曲がったらどうしよう”や“絶対にフェアウェイキープを”なんてことは考えずに、とにかく決めたら打ち出すだけ。「こっちの選手を見ていてもそんな感じがするし、曲がったら仕方ないだろうぐらいのテンションでいかないと考えも小さくなる」。それが結果的に13ホール中9回のフェアウェイキープや、13回のパーオン数などスタッツをまとめることにもつながっている。

順位について聞かれたら「まだ2日あるから」とピシャリ。ビッグスコアを期待されても「爆発しないでしょう」と言ってニヤリ。こうやってプレッシャーになりそうな要素ものらりくらりとかわす。ただ、力を込めた話もある。「ゴリゴリのトッププレーヤーと(同組に)なりたい! そういう選手と回って刺激をもらいたいですよ」。3日目に2サムで回るのは未勝利のディラン・ウー(米国)だが、永野の上にはリッキー・ファウラー(米国)、ローリー・マキロイ(北アイルランド)、スコッティ・シェフラー(米国)といったビッグネームが揃っている。

「曲がってダメだったら、あがって練習すればいいやぐらいのテンションでいきたい」。ひりついた最終日を迎えるためにも、ムービングデーも何も恐れずクラブを振り続ける。そしてその語り口も「ドルを持って帰らないと。これで飛行機代くらいは稼げるでしょう、とりあえず。(国内の賞金ランクにも)加算されるからよかった~」など、最後までひょうひょうとしたものだった。

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