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「自分にあてはめられた」 西村優菜のビハインドを跳ね返させた“ミンジーの教え”

“ミンジーの教え”で5バーディ奪取。西村優菜が3アンダーの好発進を決めた。(撮影:ALBA)

<JMイーグル・LA選手権 初日◇27日◇ウィルシャーCC(米カリフォルニア州)◇6447ヤード・パー71>

心からの笑顔を見せるラウンドが、ようやく訪れた。だが、それは必ずしも3アンダーというスコアだけがそうさせているわけではない。開幕前に「余裕はないけど、余裕のないゴルフをしたくないし楽しみたい」と試合への向き合い方を変えることを決めていた西村優菜が、それを実践し、結果につなげた。

「すごく淡々とプレーできました」。最終9番。ファーストパットをミスし、4メートルのパーパットが残った時も「新しいパットだと思って打てました」と、その心境はこれまでと大きく変わっていた。出場権が不透明で、さらに優先出場順位を上げるための第1回リシャッフルまで今週を含め残り2戦というなか、焦りを感じる日々を過ごしていたが、そこにようやく折り合いをつけることができた。

この心境の変化は、先週のメジャー大会「シェブロン選手権」最終日に一緒に回ったミンジー・リー(オーストラリア)の存在が大きいと明かす。その日ミンジーは5番までに3ボギーを叩く最悪のスタートを切ったが、そこから怒とうの6バーディで巻き返した。西村にとって、「さすがだなと。一喜一憂せず、淡々と戻せばいいと言ってるように思えた」と感銘を受けるに十分すぎる姿だった。「それもあって今週は違う気持ちで、と思えた」。米ツアー通算8勝、うち2021年の「エビアン選手権」、昨年の「全米女子オープン」とメジャー2勝を挙げる選手のマインドを見習った。

こうして迎えた初日だがスタートの10番、11番は連続ボギーを叩く幕開けに。「きょうもあまりいいフィーリングではないのかなと思った」と気持ちも沈みそうになったが、そこから5バーディで盛り返したのは、まさに先週のミンジーのゴルフそのものだ。「自分にあてはめられたかなと思います」と話す姿も、少し誇らしげに見える。

コンパクトな造りで、小さいグリーンが並ぶコースも、「メリハリがあるので、マネジメントに集中しないといけないホール、切り替えないといけないホールが多い。自分のプレーに集中できたかな。後半は風が出てグリーンも止まりづらくなったけど、そこにもうまく対処できました」と、持ち味のショットで効果的にチャンスへつけた。米国特有のポアナ芝のグリーンは、午後組ということもあってボコボコとボールも跳ねたが「いいストロークといい回転で打って、それで外れたら仕方ないと思ってやりました」と割り切り、5メートルの下りの難しいバーディパットを決めた8番など見せ場を作った。

「初めて初日が良かったのでうれしさはあります」。米国ツアー本格参戦後の初戦となった3月の「LPGAドライブオン選手権」では2アンダースタートを切っているが、そんなことも忘れてしまうくらい、直近3試合すべてで喫した3オーバー発進のダメージは大きかった。それだけに日本勢最上位の12位タイにつけても、気の緩みはない。「また新しい一日なので切り替えて。きょうの自分のメンタルコントロールは良かったので、あす以降も続けられたら」。“ミンジーの教え”を、2日目もしっかりと心に刻む。(文・間宮輝憲)

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