• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • プロゴルファー 大西葵 AOI OHNISHI Vol.2「まずは1勝、それしかありません」

プロゴルファー 大西葵 AOI OHNISHI Vol.2「まずは1勝、それしかありません」

鮮やかなウェアに身を包み、果敢なアプローチでグリーンを彩る大西葵プロ。ゴルフ一家に生まれ育ち、2014年にプロキャリアをスタートした。ただし彼女は、栄光が約束された道を歩いてきたわけではない。パターに苦しみ、6年目の2019年にようやく賞金シードを獲得。翌2020年はコロナ禍の難しいシーズンを賞金ランク58位で終え、12月に手首の手術に踏みきった。今年1月には、伊藤有志プロと結婚。プライベートでも転機を迎えた彼女にとって、プロ8年目のシーズンにかける想いは大きい。目標を「とにかく1勝」と定めている。そんな彼女は、どのようにゴルフと出会い、向き合い、研ぎ澄まし、さらに磨いていくのか──。「Smart Sports News」の独占インタビューを3回に分けてお届けする。

藤田プロとは性格が真逆だからこそ気が合う

──今年1月に、ご自身のSNSを通して結婚を報告されました。どんな反応がありましたか?

身近な人には伝えていましたが、知らない人からはすごく驚かれましたね(苦笑)。

──26歳でツアーの第一線を戦う現役プロ選手としては、珍しいそうですね。

ゴルフ選手が結婚する場合は30代の人も多いですが、社会では一般的ですし、私自身は30歳になる前にしたかったので、特に年齢を気にすることはありませんでした。

──ご家族とはやはりゴルフの話がメインなのでしょうか?

自然とゴルフの話になってしまいますよね。でも、試合のシビアな話はあまりしません。

 

──技術論などは話さないのでしょうか?

そうですね、少ないです。聞かれたら答える感じなので、あまり突き詰めた話はしません。

──ゴルフ仲間としては、藤田光里プロと仲が良いそうですね。

光里とは一番仲が良いですね。ツアー会場でたまたま同じ練習ラウンドになったのですが、性格も反対でしたし、最初は仲良くなれると思わなかったのですが……真逆だからこそ気が合うのかもしれません(笑)。

──大西さんはどのような性格ですか?

せっかちで、うるさい(笑)。

──では、藤田さんは?

マイペースで、おっとり(笑)。

──では、普段から大西さんがリードする感じですか?

たしかに、どこかに一緒に行こうというときの行き先はたいてい私が決めますね(笑)。コロナ禍はなかなか出掛けられなかったのですが、それ以前は、美味しいものを探してよく食べに行きました。光里とはこの先も良い関係を続けて、一緒に切磋琢磨していきたいです。

やれることをやって、焦らずにできたらいい

──SNSでは、昨年12月に手首の手術の報告もされていましたね。

手術するかどうかは本当に迷いました。やはりメスを入れるのが怖かったので……。

──手首を使うスポーツにとっては生命線ですからね。

そうですね。生命線ということでは、手首はもちろん、肘とか腰とか、全部大事ですけどね(笑)。

 

──ではどうして手術を決意したのでしょうか?

手術の2カ月前は、やりたくないと思っていました。痛み止めを打ってプレーしていたのですが、やはり痛みが出てしまいますし、なかなか練習できなくなってしまいました。私は、練習をしないと不安なタイプですし、練習できないなら試合に出る意味がないと思うようになったので、周囲にも相談して決めました。良くなると信じて、前向きになるしかないなって。

──アスリートは、ケガをして、手術をしてポジティブに感じることもあれば、フォームを崩してしまうこともありますし、ケガとの向き合い方も難しいですよね。

最初は、なかなか思うような回復をしない焦りを感じましたし、練習を始めてからも距離が落ちていたので不安はありました。まずは、フォームというよりは、振れることが一番というか。コーチも、(3月初旬の)開幕に間に合えばいいから、我慢して治していこうと話していたのですが、怖くて思い切り振れなかったりして、難しい時期を過ごしていました。

──練習を大事にしてきた分、練習できないつらさがあったのではないでしょうか。

 

それはありました。こんなにゴルフをできないこと自体が初めての経験でしたから。ただ、貴重な時間ではありましたし、小さい頃から続けていれば、いろいろなことがあるものですよね。前向きに考えることはできていたと思います。

──昨年から、コロナの影響など想定外のことが続いています。

そうですね。毎年、シーズン前には海外合宿をしていましたが、それも実施できませんでしたし、いつもより準備万端ではありません。そうしたなかで、今はやれることに取り組んで、結果ばかりを求めず、焦らずに進んでいけたらいいなと思っています。

──では、今後の目標は?

まずは1勝。それしかありません。

──プロになってからの想いでもありますよね。

そうですね。パットが崩れたときはこのまま無理かもしれないと思った時期もありましたが、今は可能性を感じています。今シーズンは、なんとしても初優勝したいと思います。

■プロフィール

大西葵(おおにし・あおい)
1994年7月13日、千葉県生まれ。
9歳から競技を始め、プロを目指してゴルフ部のある千葉学芸高校に進学。2014年のプロテストに合格した。プロ入り後はパットに苦しんだが、2019年にアームロックパターを取り入れて調子を上げると、4月の「KKT杯バンテリンレディス」では首位で最終日を迎えるなど奮闘。この試合は2度のトリプルボギーを含む大ブレーキで失速したものの、9月の「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」では、自身ツアー最高順位の2位タイをマークし、初の賞金シードを獲得した。兄は青木瀬令奈プロのコーチ兼キャディを務める大西翔太。2021年1月には、伊藤有志プロとの結婚を発表。転機を迎える今シーズンのツアー初優勝が期待される。

Twitter
https://twitter.com/aapoooiii

Instagram
https://www.instagram.com/aoi_ohnishi/

■クレジット

取材・構成:北健一郎、本田好伸
写真:浦正弘
取材協力:東我孫子カントリークラブ

関連記事