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プロゴルファー 大西葵 AOI OHNISHI Vol.1「ゴルフはメンタルが一番大事で、一番難しい」

鮮やかなウェアに身を包み、果敢なアプローチでグリーンを彩る大西葵プロ。ゴルフ一家に生まれ育ち、2014年にプロキャリアをスタートした。ただし彼女は、栄光が約束された道を歩いてきたわけではない。パターに苦しみ、6年目の2019年にようやく賞金シードを獲得。翌2020年はコロナ禍の難しいシーズンを賞金ランク58位で終え、12月に手首の手術に踏みきった。今年1月には、伊藤有志プロと結婚。プライベートでも転機を迎えた彼女にとって、プロ8年目のシーズンにかける想いは大きい。目標を「とにかく1勝」と定めている。そんな彼女は、どのようにゴルフと出会い、向き合い、研ぎ澄まし、さらに磨いていくのか──。「Smart Sports News」の独占インタビューを3回に分けてお届けする。

なぜパットが入らないかを考えても答えは出ない

──大西さんは、親や兄弟、旦那さんもみなさん競技をされているゴルフ一家ですね。

はい、家族みんなゴルフをしていますね(笑)。

──ゴルフを始めた頃の思い出はありますか?

小学校3年生から始めたのですが、その頃のことはあまり覚えていません。自分から続けたいと言って、そこから週1回のレッスンを受けるようになったそうです。

──選手へのあこがれがきっかけだったりするのでしょうか?

ジュニアの頃は、完全に宮里藍さんでした。洋服もクラブもすべて真似していました(笑)。その頃にはジュニアにも女の子がたくさんいましたし、自然と続けられる環境がありました。

──プロテストの合格は2014年、20歳のときです。いつからプロを意識したのでしょうか?

 

9歳でゴルフを始めてからずっと続けていたのですが、地元の千葉県我孫子市には、ゴルフ部のある高校がありませんでした。高校進学の際に、部活としてやるのであればプロを目指すし、そうでなければ進学しようと考え、最終的にゴルフを選びました。ゴルフ部がある千葉学芸高校は電車で2時間くらいかかるところですが、プロになるという決意をもって通うことにしました。

──ゴルフ部はどのような環境なのでしょうか?

授業がないときは毎日コースにも出られますし、自由に回れて、打球練習もできるので、すごく恵まれていたと思います。

 

──他にもプロを輩出しているのでしょうか?

有名なところでは、池田勇太プロですね。ゴルフの場合、たとえばサッカーや野球、テニスなどの部活とは少し違い、場所があればできるということでもありません。ゴルフ場には一般のメンバーさんもいますし、高校の部活で使用させてもらえるようなゴルフ場が多いわけではないですから、毎日コースに出られることはすごく珍しかったと思います。

──その環境で培ったものも大きかったわけですよね。

そうですね。高校時代はとにかく球数を打っていたのですが、それが大切だったと思います。

──数をこなしてフォームをつくるイメージですか?

どちらかというと、とにかく打って、まずはしっかりと振れるようになることが大事だと思います。ある程度キャリアを重ねてフォームが完成してきてから質に移る。そんなイメージです。

──プロの舞台でパットに苦戦して「アームロックパター」を取り入れたりもしたそうですね。

 

プロになってからは、うまくいったときも、そうではないときもありました。それこそパットを片手で打った時期もあります。アームロックは良いきっかけではあったのですが、ずっとやっているとそのフォームに慣れて、またうまくいかなくなるので、常に考えながらやっています。

──ゴルフはメンタルが左右する繊細なスポーツですよね。

まさに技術よりメンタルが一番大事なスポーツだと思います。

──どのようなメンタル状態が結果に結びつくものでしょうか?

いろいろ考えたときもありましたが、やはり考えすぎはダメですね。たとえばパットで1メートルの距離を外しても気にしてはいけないなと。打てば入るような距離なのに、なぜ入らないのかを考えても答えは出ないですから「仕方がない」と考えるのがいいと思っています。

──気にしないことを心がけるわけですね。

それが一番大事で、なおかつ一番難しいことだと思います。どのようなスポーツでも同じかもしれないですが、ゴルフでは、技術の向上だけでなく常に心と向き合うことが求められています。だからこそ、気力が充実することで自然と良い結果に結びついていくことがありますから、難しいことであっても、きちんと向き合い続けたいと思います。

■プロフィール

大西葵(おおにし・あおい)
1994年7月13日、千葉県生まれ。
9歳から競技を始め、プロを目指してゴルフ部のある千葉学芸高校に進学。2014年のプロテストに合格した。プロ入り後はパットに苦しんだが、2019年にアームロックパターを取り入れて調子を上げると、4月の「KKT杯バンテリンレディス」では首位で最終日を迎えるなど奮闘。この試合は2度のトリプルボギーを含む大ブレーキで失速したものの、9月の「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」では、自身ツアー最高順位の2位タイをマークし、初の賞金シードを獲得した。兄は青木瀬令奈プロのコーチ兼キャディを務める大西翔太。2021年1月には、伊藤有志プロとの結婚を発表。転機を迎える今シーズンのツアー初優勝が期待される。

Twitter
https://twitter.com/aapoooiii

Instagram
https://www.instagram.com/aoi_ohnishi/

■クレジット

取材・構成:北健一郎、本田好伸
写真:浦正弘
取材協力:東我孫子カントリークラブ

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