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練習はロングパットだけ 谷原秀人“ベテラン力”で今季2勝目「また、まさかですね」

「また、まさかですね」とニヤリ。44歳・谷原秀人が鮮やかな逆転V(撮影:米山聡明)

<ANAオープン 最終日◇17日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>

44歳の谷原秀人が19度目の栄冠を勝ち取った。最終組で回った最終日は、ボギーなしで奪ったバーディが5つ。2位に1打差、4日間トータル18アンダーでの勝利だった。これで今季は「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」に続いて2勝目。ピンチが来てもスキを見せず、チャンスを逃さないゴルフはさすがのひと言に尽きた。

「また、まさかですね。そこまで勝てると思ってやっていなくて、詰まって勝てちゃった感じです」

「詰まって」とは前の組に追いつき、進行が詰まったことを言っているのだが、「詰まってくると段取り(を考える時間)がちゃんとできるんです。すると、プレッシャーもさほどかからない」と説明し、「多少の緊張感は持っているけど、ピンチをピンチと思っていないというか、ボギーでも仕方ないと思っているんです。ガツガツしていないという感じです」と続けた。

北海道の地は、2016年に「日本プロ選手権 日清カップヌードル杯」「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」と2週連続優勝を遂げた、相性のいい思い出の地。そこで20代の若手選手と追いつ追われつの勝負を繰り広げ、最後はベテランの貫録を見せた。

ツアーデビューが2002年。22年のキャリアだからこその余裕が、そこにはあった。台頭する20代の選手たちとの戦いについては、「若い選手が次々に出てきているからこそ、まだやれている。刺激があるんです。同世代ばかりだったら、続かないでしょう。若い選手にも尊敬できる部分はあるし、どう打っているんだろうなんて、見ていたりします」と話した。

今大会4日間のドライビングディスタンスが272.5ヤードで44位タイ、パーオン率は73.6%で29位タイながら、平均パット数は1.58回で1位。飛ばし屋が有利と言われる昨今、ショートゲームの技術がスコアをつくることを証明した4日間だった。

パッティングが好調なことについては、「実はパッティングの練習は5~10メートルのロングパットしかしないんです。タッチを合わせることしかやりません。神経質に1メートルを極めなくては、みたいにやっているとイップスになることもある。それは経験済みだし、やり過ぎはよくないんです。だから僕は3パットが少ないし、どれだけ距離が残っていようが、グリーンに乗せさえすれば勝負ができるんです」。ベテランならではの経験からたどり着いた考えを明かした。

終始穏やかな口調で話す谷原からは、ゆるぎない“ベテラン力”がみなぎっていた。自然体のゴルフの強さを再認識させられた優勝会見だった。今季は残り9試合。谷原の年間3勝目、あるかもしれない。(文・河合昌浩)

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