“代表歴”は18年。日本代表応援団団長が、コロナ禍のW杯に現地参戦する熱すぎるワケ
熱くなれて特別な体験ができる。応援ってすごくない?
──一リトアニア行きを断念した人の想いを背負っていくという気持ちもありますか?
あります。日本ではライブ放送もあるそうなので、会場に横断幕を張って、声を出せるかはわからないですが応援している姿を映してもらって、日本に残っているファン・サポーターとつながっているという空気を出したいですね。サッカーの試合をテレビで観ていると、アジア予選の過酷なアウェイで応援している人の姿を見て、すごく熱い気持ちになります。日本のサポーターが来ているぞ、という姿を現地で戦う選手に見せたいし、日本で見守る人にも伝えたいです。
──みんなの想いを現地に届けるということで「寄せ書き」を募りましたね。
いつもであれば、全国の試合会場や施設などで日の丸に応援メッセージを書いてもらって現地に持って行くのですが、今回はできませんでした。なのでWEBのツールを活用して寄せ書きを集め、選手たちに見てもらうことで少しでも力に変えてもらえたらうれしいと思っています。
フットサルW杯に臨む日本代表への応援作戦①。
寄せ書きサイトでメッセージを集めてみます。
頑張れの一言も、熱い長文もOK。
ログイン不要でサッと書けます!👍
小さい動きだけどやってみる。
皆さんにお願い。友達にも呼び掛けを!代表選手やスタッフに届くはず!
↓例 pic.twitter.com/zz9baSXZ4R— Taro Yamakawa🇯🇵futsal WC (@Taro_Yamakawa) September 1, 2021
──他にも「応援作戦」がありますよね。
白地の真ん中を赤く塗って日の丸をイメージしたマスクをたくさん持って行きます。現地に行く日本人は少ないと思うので、試合を観戦しているリトアニア人などに配っていって、「スタンドに日本のファンがいっぱいいる!」という空気感を作りたいと考えています。そのほか、応援Tシャツを製作しました。この売上金は、新しい横断幕など、応援団の活動資金に活用させていただきます。
──自分が行くだけではなく、いろいろな人を巻き込む発想がすごいですよね。
W杯のような大会では、会場の雰囲気がすごく大切だと思っています。僕たちは、その空気感で選手たちを後押しできると信じています。今は、コロナ禍の制限も加わり、応援の方法も限られてきますが、なんとか雰囲気を演出して、日本が勝つ流れをつくりたいですね。
──実際に、会場の空気が試合の流れを決めることがあります。
まさに、2012年大会の(グループステージ第2戦の)ポルトガル戦がそうだったと思います。1−5まで引き離されながら、前半残り2分で1点を返して折り返しました。負けたら敗退が決まるようなゲームだったので、このまま大人しくしていたら大会が終わってしまうと思ったらいてもたってもいられませんでした。アリーナ中の席をめぐって、「日本を応援してほしい!」と国籍も関係なく、誰彼構わず声をかけました。そうやって日本を応援するムードが高まっていき、選手もそれに応えるように巻き返して、5-5の引き分けに持ち込みました。あの興奮を思い出したら、すごく燃えてきました(笑)。
2012年大会、ポルトガルに勝利した選手たちは喜びをスタンドに詰めかけた全員と分かち合った
──だんだんW杯モードになってきましたね(笑)。
自分が試合をしているわけでもないのに、国を背負った戦いなのでアドレナリンがものすごく出ます。生きている感じがするというか(笑)。ポルトガル戦の後、勝てば決勝トーナメント(ラウンド16)進出が決まるというリビア戦を思い出すと、今でもゾクゾクします。後半、勝利が見えてきたころに、これまでの悔しさ、不甲斐なさを思い出しながら、「ついにラウンド16へ行くんだ」って、泣きながら「ニッポン」コールをしていました。あれは本当に特別な感覚です。そういう感情を何回も経験しているので、応援はやめられないですよね。
──では、今大会のブルーノ・ジャパンに期待することはなんでしょうか。
厳しいグループステージをなんとか勝ち抜いて、ベスト8、ベスト4を狙いたいですよね。ブルーノ監督をはじめ、選手たちのインタビュー記事などを読んでいても、「ここで結果を出して注目を集めて、日本フットサルを熱く盛り上げる」という想いは、すごく伝わってきます。僕たちが応援を始めたころからはあらゆることが変わりましたし、比べることはできません。ですが、選手は「日本代表の誇り」を引き継いでくれています。ブルーノ監督が築いたチームをすごく信頼していますし、やってくれるはずだという思いで、これから現地に向かいたいと思います。
──今大会を放送で見て多くの人にフットサルに興味をもってほしいですし、太郎さんのように海外まで応援に駆けつける人が増えてほしいですね。
そうですね。自分が夢中になっているところや楽しんでいるところ、勝って喜んでいるところを素直に伝えられたらいいなと思っています。本当に熱くなれて、いろいろなところに行けて友達ができるだけで、僕はすごく幸せです。それが伝わって「一緒に行きたいな」という人が出てきたらうれしいですよね。自分がそういうムードを出していたら、Fリーグやフットサル日本代表にもっとのめり込んで見てくれる人が増えるかもしれないなと思って、応援を続けています。
──すごく幸せとお話ししていましたが、太郎さんの応援は、すごく熱く、そして楽しそう。
サポーターは、すごく得だと思っています。選手は毎日トレーニングをしていますが、そもそもFリーガーになれる選手は一握りで、代表になれる選手はさらに一握り。そういう存在の人たちが、「仲間」とか「ファミリー」と言ってくれて、一緒に戦える。ある意味コスパがいいですよね(笑)。こんなに熱くなれて、特別な経験もできる場所って、すごくないですか? だから、誰かのための応援だけではなく、やっぱり自分のための活動でもあると思っています。
──自分が本気で楽しんでいるから、誰かの心に届く。
そうかもしれないですね。フットサルが自分事なので、日本フットサルが強くなれば自分がうれしい。だから勝ってほしいと思って応援する。そういう楽しみ方を、僕はしています。
──今日はありがとうございました!
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