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日本蹴球界で輝きを放ち続ける2人の背番号18!石川直宏×小野大輔対談

趣味とお酒の話

小野**:**なんか真面目な話になっちゃったな。直宏とは真面目じゃない話もするけど…大抵酔っ払った時だから覚えてない(笑)でも結構真面目な話題が多いよね。

石川**:**そうですね。小野くんといる時は…いろいろな話をしますよね。サッカーのことはもちろん、人間関係とか(笑)

年に1回はめっちゃ飲むけど、それ以外はどちらかが車だったりするから、ご飯食べる程度ですしね。

小野**:**その年1回の飲み会の写真、見せようか?(笑)年末にやったあの飲み会は俺、結構飲んだわ。

石川**:**そうでした?俺も飲んでましたっけ?高木はひどく酔っ払っていましたけどね。あれから考えると俺らは大人しいものですよ。

小野**:**俺らも飲むけど、そんなに崩れるほどではないからね。

石川**:**むしろ酔っ払いを介抱する方ですよ。一番俺らの周りで飲むのは…やっぱり高木?(笑)

小野**:**結局高木って誰なのかを話しておかないと分からないんじゃない?(笑)

石川**:**小学校の時からの僕の幼馴染で、マリノスのジュニアユースでも一緒でした。ユースには上がれなかったのですが、神奈川県内の高校に行き、選手権にも出場しています。その後は明治大学に進学して、ユニバーシアード代表候補にも入りました。卒業後はサッカーを引退して、サラリーマンをしています。

小野**:**たしか高木と俺は遊びでボールを蹴る時に初めて会ったのかな。本当にうまかったのを覚えてる。

お酒以外で何かやっている趣味とかある?

石川**:**サッカーに復帰するまでは絶対にしないと決めているのですが、サーフィンは好きです。でももう1年以上できていないです。サーフィンのことを考え始めるとやりたくてイライラしてくるかもしれないので、海には近づかないようにしてます(笑)

あとは子供と接する時間が長いですね。それこそディズニーランドに行ったりして。結婚する前までは自分の時間も多くて、いろいろやっていましたけど、今は特に趣味らしいものはないかもしれないです。

思い出の音楽と石川選手の故郷・横須賀の街

小野**:**俺は結構曲聴くけど、直宏はどんな音楽が好き?

石川**:**FC東京に移籍してきた当時、よく聞いていたのがBRAHMANというアーティストの曲で、結構アップテンポで、それに乗せて試合のイメージをしていたということで思い入れがあります。

音楽に関しては具体的な曲名は出てこないんですけど好き、ということが多いです。でも一通りは聴いてきたと思います。

小野**:**俺は数ある曲の中でZEEBRAさんの、やはり「Street Dreams」でしょうね。

海外の曲も音だけで聴くならいいけど、基本的に歌詞の意味を調べるのは面倒だから。でも車に乗っていて、外の人にも聴かせてやろうかい!って感じの音量で流す時は洋楽かな(笑)

俺はヒップホップが好きだけど、直宏は横須賀出身だし、レゲエとかそういうのも盛んだったんじゃない?

石川**:**たしかにそういうイメージはあるかもあるかもしれないですね。横須賀はディープな街ですよ(笑)

小野**:**一回興味があって、高木に横須賀でどこが面白いか案内してもらったことがあるよ。直宏もやっぱりスカジャンとか着てたの?

石川**:**当時は横須賀でスカジャン着ているのは怖い人が多くて、下手に着られなかったですよ(笑)今は気にせずオシャレで着ることができますけど。府中(小野選手の出身地)の方も怖い人いたんじゃないですか?

小野**:**府中も似たような感じだと思うよ。俺も中学の時、金茶に染めてたし。元々色が抜けやすかったのもあるけど、それで注意されて坊主にさせられたりとかしてたな。

石川直宏、小野大輔

石川**:**僕らの方だと高木がよく絡まれてましたね。サッカーがうまいとなると先輩達に目を付けられやすいんです。それで『あいつ、調子に乗ってるよな。…おい!今俺のこと、下手って言っただろ!』となるわけです(笑)他にも靴を隠されたりもしていました。

そんなこともありましたけど、もちろん横須賀にはたくさんお世話になった人もいますし、思い出深い街です。

小野**:**俺の周りでもそんなことあったわ! 靴の話が出たけど、俺も直宏もアティダスさんの道具やウェアを使わせてもらってるでしょ。どんなところがいいと思ってる?

俺は私服でもパッと着て出られるデザインだというところがいいな、と思う。機能もいいし。

石川**:**僕はもう小学生の頃からアディダスを履いていましたからね。昔はいろいろなスパイクを試してみましたが、その中でも一番よかったんです。契約も2001年からさせてもらっていて、これだけ長く僕を評価し、サポートして頂けているのはありがたいです。たしかU-20のワールドユースに選ばれた時に契約のお話をもらったのだと思います。そこからずっとですからね。

石川直宏小野大輔

互いに聞きたいこと、引退後のキャリアプラン

小野**:**結婚したとはいえ、直宏はモテるでしょ?

石川**:**いやいや…僕はとにかくみんなに楽しんでもらいたいので、飲みの席とかでも周囲全体に目が向いています。その点、小野くんの方がマメじゃないですか。僕の場合、女性が急に近寄ってくると逆に警戒してしまうので、ダメですね。

でも、結婚してからも常にカッコいい男でいたいとは思います。あとは自分が人間的に好きな人がまた好きだと思える人を連れてきて、いい繋がりの輪を少しずつ広げていきたいです。

小野**:**あとはやはりプロとして17年、選手を続けているというところは見逃せないよね。フットサル選手ではまだそんなに長くやっている人、日本にはいないから。モチベーションの保ち方とかは気になるかな。同じようにシーズンインしているようで、毎年怪我をしていたり、コンディションや調子の良し悪し、周りの選手の状況などで違いはあるじゃん?

石川**:**気づいたら17年経っていましたし、それがきっと理想なのかな、とも思います。一時期自分の体の変化や、チームにおける立場などを考えて、30歳を過ぎたあたりからモチベーションがガクっと落ちた時期がありました。ここからあと何年自分ができるのか、そう考えた時に「もうそろそろダメかもしれない…」と思ったことはあったんです。

でも怪我や自分が置かれている状況を乗り越えていく中で、少しずつ先が見えてきたんです。節目のタイミングでまた膝を怪我してしまったこととか、結婚して子供も産まれたりとか、そういう出来事を自分でうまくモチベーションに変えられたから、続けられているのだと思います。ずっと同じ高いモチベーションを保ち続けるのはなかなか難しくて、でもそれを受け入れつつやってきた結果、長くやれているのかな。そもそもモチベーションって自分で上げよう!というものでもないですから。

石川直宏

今年の5月12日で35歳になった石川選手

小野**:**よくモチベーションの上げ方とか聞かれるけど、別にそうやって上げられるわけでもないしね。でも車とか乗っていて、ふと自然に音楽を口ずさんだりしていると「お、なんか今日はいい感じかも」と思うことはあるかな。そういう日はプレーにすごく集中できたりする。逆に他のことを考えている時は歌ってないね。

石川**:**長くやっていると若い時みたいに試合前にものすごくテンションを上げていくこともないですからね。

ただ、きつい時期も当然あって、そんな時には「ここを頑張ってみたら、乗り越えた先にどんな景色が見えるのかな」と思ったり、先が見えない分、その向こうにいる自分に期待してみたりすることでやってこられました。

あとは移籍や引退で自分がいなくなったFC東京を他の角度から見た時に、その瞬間から勝ち始めて優勝しちゃったらどうしようとか(笑)

小野**:**それ、すげー分かる!

石川**:**もちろんそうなったとしても好きなクラブだから嬉しいとは思いますよ。でも自分がいなくなった瞬間から成績が良くなったら寂しいじゃないですか。だから自分がいるうちに常勝クラブにしたいという責任感や使命感はあります。もうFC東京に来てから15年も経っていますからね。FC東京ファンの人の中にも僕が元々マリノスにいたことを知らない人がいるくらいです。

小野**:**でもそれは直宏が移籍してからすぐに活躍して、FC東京サポーターから厚い信頼を勝ち取ったからだと思う。そもそもどういう経緯で移籍したの?

石川**:**僕は2002年にFC東京に移籍して、数日後のナビスコ杯でデビューしました。

当時のFC東京は怪我人が多く出ていて、そこを埋めてくれる即戦力を求めているという話だったのですが、本当かどうか分からないので、練習後の小平グランドに極秘で行って、原監督(原博実 現・Jリーグ副理事長、JFA常務理事)に自分のことをどう思っているか聞いてみたんです。

そしたら『今来たら、数日後のナビスコ杯で使う』と言われ、僕としても試合に飢えていたし、マリノスだと出られそうな雰囲気になかったので、移籍を決めました。

それで本当に数日後のナビスコ杯に出場し、実際ドリブル突破からアシストを決めることができました。僕なんかまだFC東京に来たばかりで、正直名前を知らない人もいたと思うのですが、試合後スタンドからみんなが拍手をしてくれて、このチームで活躍していきたいと思いました。

…正直FC東京のゴール裏は怖いと思っていたんですよ(笑)マリノスは結構女性のサポーターもいるのですが、FC東京は男性が多くて、選手が何かやるとすぐにいじるし。

まだ(川口)能活(現・J3 SC相模原)さんがマリノスにいたところにミスをした時もFC東京のサポーターにいじられていたことがありました。「ヨシカツ!トウキョウ!」とか言って(笑)

そのナビスコ杯での活躍以降は何となく自分の中で掴めたものがありましたね。

石川直宏

小野**:**当然長くチームにいると若い選手もどんどん入ってくるわけでしょ。見て最初から「この選手いい!」という人もいたりする?

石川**:**そういう選手もいるけど、それぞれの選手のどこが秀でているのかを徐々に見つけていくということの方が面白いと思っていますね。

ただ俺の見る目がないのか、いい選手だと思っていた人が伸び悩んだりすることが多いです(笑)各々事情があるから、仕方ないんですけど。逆に物足りないと思っていた選手が一気に伸びたりすることもありますし。

自分と同世代でやっていた人が引退して、セカンドキャリアでスカウトになって、選手を連れてくることもあるんですけど、やはりどういうところを見て選んでいるのかは気になります。

僕は現場にも興味はあるけど、同時にチーム寄りの、例えば経営とか、そちらにも興味があります。今は現場とフロント両方が分かる人が求められているような気がしていて。ずっとサッカーをやってきた中でできた、人との繋がりはすごく大切だと思っているから、それを活かして自分の力を発揮できる場所を見つけていきたいと思っています。

当然社会からしたら世間知らずな部分もたくさんあるので、それらを学ぶための期間も必要だとは思いますね。

指導者にも興味がないわけではなくて、実際B級ライセンスまでは取っています。地域密着のための活動もしたいですし、やりたいことはたくさんあります。

ただ、いろいろやってみる中で最終的にどの方向に進むのかを決める時間は少し欲しいですね。引退後についてはそのくらいまでしか考えていません。

小野**:**俺、フットサル辞めたらあんまりこの業界に関わりたくないかも。自分がいないピッチを外側から観ているなんて、嫌だよ。もう自分の手で試合をひっくり返すこともできないし。だから今のところは考えてないね。もしかしたらこれから変わっていくのかもしれないけど。

石川**:**僕の場合は長く同じチームにいることでFC東京に対しての基準みたいなものを作ってしまっているけど、小野くんの場合は海外にも行き、いろいろなチームでやってきているからこそ広い視野で物事を見られている部分もあると思いますよ。

石川直宏、小野大輔

互いのユニフォームを持って

今年に懸ける想い

小野**:**最後に今年の抱負を言って終わろう。

まずは6月12日の開幕戦。相手はシュライカー大阪なんだけど、強いし、同級生の木暮(賢一郎氏)が監督をやってる。…いつも試合前に挨拶しに行くんだけど、額に血管を浮き出させて、怖い顔をしてるからその度に笑いそうになっちゃうんだよね(笑)

俺は新しいチームに入ったから、他の選手のことを理解しつつ、自分のいいところを出していきたい。そしてプレーオフに進出して、優勝する。優勝するならチャンスは今季だと思っているよ。

石川**:**僕は6月中の復帰を目指しているんですよ。それがJ3の試合だとしたら、そこでしっかり結果を残して、トップチームに合流したいと思っています。

まずはとにかく怪我から復帰すること。個人の数字とかもあるけど、それよりもチームでタイトルを獲りたいです。シーズン序盤は貢献できなかったけど、復帰して、チームの力になった上で獲れればと思います。

その中でもやはり(獲りたいのは)リーグタイトルでしょうね。そうすればまた違った目標やモチベーションも出てくると思うので、その景色を見てみたいです。そして、東京でパレードをやりたいです!

チームから離れている期間が長くなればなるほど、ファンやサポーターの僕に対するイメージは美化されて、悪い方向よりもいい方向にどんどん膨らんでいくと思うんです。それでいつの間にか僕がすごい選手になっている、みたいな(笑)でもその期待は僕をいい形で導いてくれているので、それに近づいた状態を目指していき、万全のコンディションで復帰したいです!

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