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ヴェルディの鍵は「スピード感」。スタッフが挑戦する新たなクラブ運営

(左から)菊地優斗氏、佐川諒氏

※トークセッションの内容を一部抜粋してお届けします。

東京ヴェルディは、クラブ創立51年目のシーズンを前に、東京都渋谷区で「TOKYO VERDY BUSINESS TALK SESSION」を開催。2月21日(金)には「フロントスタッフのチャレンジ」をテーマに、パートナー営業部シニアディレクターの佐川諒氏と、ファンデベロップメント部の菊地優斗氏がトークを繰り広げました。

2019年にクラブ創立50周年を迎え、ロゴやエンブレムなどを変更し、大胆なリブランディングを図ったヴェルディ。中核を担うフロントスタッフは、どのようなチャレンジを行っているのでしょうか。

ステークホルダーと“本気”で向き合った取り組みを

ーまず、お二人がヴェルディに加わった経緯を教えてください。

佐川:大学の時にスポーツビジネスを勉強し、将来はJクラブで働きたいと思っていました。卒業後はスポーツベンチャーやリクルートなどで働きながら、Jクラブへの道を模索していて。「そろそろかな」と思っていたタイミングで、大学でスポーツビジネスを学んでいた時の友人から誘いをいただき、2017年7月にヴェルディへ入社しました。

菊地:私は新卒でDeNAに入社して、スポーツマーケティングの仕事をしていました。その後はアカツキに転職しましたが、少し経ったタイミングで、東京ヴェルディに出資する話を聞いたんです。小学校からずっとヴェルディサポーターだったので、「ぜひ出向させてほしい」と直談判して、今に至っています。

ー現在はどのような取り組みを行なっているのでしょうか?

佐川:スポンサーセールスを担当しています。私がJクラブの課題だと感じているのは、スポンサーが何を期待しているのかを考えること。「支援してください」とただお願いするのではなく、企業の課題を把握し、スポーツクラブだからこそできる提案をしていかないと。前職のリクルートは顧客と本気で向き合っている企業だったので、その経験も活かしながら仕事をしています。

もう一つは、ヴェルディカレッジという学生対象のビジネススクールの運営です。スポーツ業界のインターンシップは、学生への向き合い方がしっかりしていないと思っています。夢を持った若者が来ても、雑用みたいな仕事が多くて、彼ら彼女らの想いを踏みにじっているように感じていました。Jクラブで働く人間として、学生と本気で向き合う場を作っていきたいと思い、立ち上げに至りました。

菊地優斗氏、佐川諒氏

菊地:私はフリーマンのような存在として、今までやりたくてもできなかったことをやるのが仕事だと思っています。具体的にはファンデベロップメントという、toC領域を担当する部署で働いていて、今回のイベントもプロジェクトの立ち上げから携わっています。本来、このようなイベントを開幕前の忙しい時期にやるのは難しいですが、それでも実現可能にするということが役割の一つだと思っています。

ホームゲームでは「ヴェルディキッズパーク」というファミリー向けのエリアを作るなど、顧客満足度の向上を狙っています。また、試合中にチャント(応援歌)の歌詞をリボンビジョンに映し出すことで、初観戦の人でも参加しやすいような演出強化も行っています。

菊地優斗氏

ベンチャーのようなスピード感とチャレンジ精神

ースポンサーはホームゲームで「冠試合」を開催していますが、工夫されていることはありますか?

菊地:従来は冠試合の予算内で、スポンサーが作りたいノベルティを作っていただくという形でやっていました。今は「ファンが喜ぶものを作ることで、巡り巡ってスポンサーのブランド価値が上がる」という考え方で進めています。

例えばキッズユニフォームを作る場合、スポンサーは一人でも多くの方に配りたいと考えるはずです。ただ、配る人数を減らせば、一つのノベルティに掛けられる費用が上がるので、よりクオリティの高いものができます。キッズユニフォームでファミリー全体の満足度を高めることで、スポンサーの価値も上がる。そういった形でアプローチしています。

佐川:菊地さんが入ったことで、ターゲット層やスタジアムの演出やコンテンツがより明確になったと思います。以前は年に3回くらいタオルを配っていた時もありましたが、夏場に使えるメッシュキャップや、応援用のフラッグなど、ファンが楽しめるノベルティをスポンサーとともに考えて作るようになりました。スポンサー側からの提案だけでなく、こちら側からも提案をすることができています。

2019年からはスポンサーの協力のもと、ユニフォームのロゴの色を統一しています。ヴェルディはJ2なので、広告露出の価値だけで見ると、そこまで高くありません。ユニフォームを作ったとしても、デザイン性が伴っていなければ、スポンサーのイメージが悪くなってしまう可能性もあります。スポンサーのロゴの色を統一して、企業と一緒にユニフォームを作っていくという形ができれば、それ自体が話題になると考えていました。

東京ヴェルディ 2020シーズンユニフォーム

ーヴェルディにはベンチャー企業のような空気がありますよね。

菊地:まず、社員の平均年齢がかなり若いんですよね。人数がそこまで多くないので、なかなか新しいチャレンジができていなかったですが、チャレンジすることに対してはすごく後押ししてくれる環境です。

佐川:私は、2年半でシニアディレクターという立場になりました。結果を出せば、しっかり認めてくれる環境だと思います。昇級の面もそうですが、ヴェルディカレッジを立ち上げる時も、起案から承認までスムーズに決まって、スピード感がありました。組織全体としても成長スピードがとても速いですね。

ー中には、やむをえない事情で実現できないこともあるのでは?

菊地:来場者アンケートで最も多いのは、ケータリングカーが少ないというスタジアムグルメに対する不満です。FC東京さんは「青赤パーク」というスペースを設けて、いくつものケータリングカーを出店しています。ヴェルディは、ほんの数台。スタジアムの規定によって、スタジアムのテナントの売上げを守る目的で、観客数に応じてケータリングカーの出店数が決められているので、致し方ない部分はあります。

2020年2月からは「pring」というサービスを使って、参加型のファンコミュニティの運用を開始しました。ケータリングカーを増やせない理由など、ご要望に応えられない理由も今後はシェアしていこうと思っています。その上で皆さんからも、『こういった方法もあるのではないか』と別の角度での提案をいただけると嬉しいです。

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