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セ・リーグ6球団から“新人王候補”を選ぶなら?中日は大卒スラッガー鵜飼、巨人は開幕一軍入りの剛腕・大勢に期待!<SLUGGER>

打撃に定評のある中日のドラフト2位・鵜飼。このほかにも今季のセ・リーグは期待のルーキーが勢ぞろいだ。写真:滝川敏之
 3月25日のプロ野球開幕に向け、オープン戦ではルーキーたちのアピールが続いている。ここでは、セ・リーグ6球団それぞれの新人王候補たちにスポットを当ててみよう。

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▼ヤクルト
内山壮真(捕手)

 昨季、20年ぶりの日本一に輝いたヤクルトでは高卒2年目の捕手・内山を挙げておきたい。キャンプ中の対外試合では5試合に出場し、2月20日ロッテ戦での3安打を含む15打数7安打(打率.467)の活躍で、高津臣吾監督からキャンプMVPに選ばれた。逆方向にも長打が打てる柔らかさを持ち、通算2133安打を記録した球団OB・宮本慎也氏から「バットヘッドの効かせ方が上手い」と絶賛されている。3月12日のソフトバンク戦では、東浜巨から2打席連続のタイムリーで3打点を挙げた。

 日本シリーズMVPにも輝いた中村悠平という大きな壁があり、レギュラー獲りは容易ではないが、打てる捕手の存在はチームにとって大きなアドバンテージになる。現実的に新人王は難しいとしても、飛躍のきっかけを作ってほしい。
 ▼阪神
桐敷拓馬(投手)

 昨季は佐藤輝明や中野拓夢、伊藤将司と話題のルーキーが盛りだくさんだった阪神では、今年も注目の新人が登場。ドラフト3位ルーキーの桐敷拓馬(新潟医療福祉大)がキャンプ中からアピールを続け、矢野輝弘監督を喜ばせている。

 がっしりした下半身からしっかり踏み出す安定感のあるフォームで、左打者の内角に強い真っすぐを投げ込めるのが強み。3月6日の楽天戦では、ガンケルの代役で急遽先発して4回無失点と堂々の甲子園デビューを飾った。

 13日の二軍教育リーグ中日戦では5回12安打7失点と炎上して一時は落ち込んだものの、翌日にはサバサバした様子で井上一樹ヘッドコーチからは切り替えの早さを称賛された。メンタル管理も新人離れしているだけに期待が持てそうだ。

▼巨人
大勢(投手)

 イチオシはリリーフとして開幕一軍入りが濃厚なドラフト1位ルーキーの大勢だ。3月6日の日本ハム戦では150キロ台後半を連発し、自己最速158キロをマーク。今川優馬には3球続けてスライダーを投じて三振に打ち取るなど圧巻の投球を見せ、球団OBの村田真一は「とんでもないルーキーが出てきた。今すぐ抑えもできる」と舌を巻いた。背番号15は1962年の城之内邦雄、そして11年の澤村拓一(現レッドソックス)と、これまでに2人の新人王がつけたゲンのいい番号でもある。

 大勢以外では、ドラフト2位の赤星優志がオープン戦で計6回1失点、20年ドラフト2位の山崎伊織も計3イニング無失点、4三振を奪うなど好投中。先発・ブルペンともにもう一段階の底上げが欲しい巨人投手陣にあって、ルーキーたちの活躍がV奪回の起爆剤となるかもしれない。
 ▼広島
中村健人(外野手)
末包昇大(外野手)

 昨年のドラフトでは3人も社会人の選手を指名するなど、即戦力志向が明確だった広島。1位の黒原拓未(関西学院大)も期待は大きいが、メジャー挑戦を決めた鈴木誠也の穴埋めが急務の状況だけに、即戦力外野手として期待される中村(3位/トヨタ自動車)と、末包(6位/大阪ガス)の2人に注目したい。

 末包はオープン戦初戦の2月26日巨人戦で、いきなり推定130メートルの“プロ初本塁打”をレフトスタンドに放り込んだ。主に4番で起用されたオープン戦では15打席連続無安打と壁に当たるも、3月9日の阪神戦では秋山拓巳から二塁打を放ち、打順を7番に下げた11日の日本ハム戦では2安打2打点を調子を取り戻した。中村もキャンプの紅白戦で一発を放つなど早くからアピールを続け、3月8日の阪神戦では、西勇輝らを相手に初のマルチ安打を記録。開幕一軍に向けて2人が激しくしのぎを削っている。

▼中日
鵜飼航丞(外野手)
高橋宏斗(投手)

 昨季は両リーグ最低の69本塁打と深刻な長打力不足に苦しんだチームを、ルーキーが救うかもしれない。救世主候補としてファンの期待を一身に集めているのが鵜飼航丞だ。

 キャンプ中の練習試合で130メートルの特大弾を披露したのを皮切りに、オープン戦でも快打を連発。3月3日のソフトバンク戦では、PayPayドームの左翼席中段まで軽々と運ぶ一発で「飛距離凄すぎ!」とファンを狂喜乱舞させたかと思えば、5日の同カードでは、バンテリンドームの右翼フェンスを直撃する二塁打”。確実性には難ありと言われているが、我慢強く使い続ければ大きく開花する可能性はあるはずだ。
  投手陣では、高卒2年目の高橋宏斗も注目されている。紅白戦では高橋周平を伸びのある直球で三振に仕留め、その映像を見た前田健太(ツインズ)からツイッターで「中日の背番号19のピッチャー良くないですか?」と絶賛された。3月3日にソフトバンク戦では、初回無死一、三塁のピンチで柳田悠岐のバットをへし折り、グラシアルを空振り三振に仕留めるなど、一流打者相手にも結果を出した。

 3月12日には二軍教育リーグ阪神戦に登板し、5回無失点で立浪和義監督から「(開幕ローテに)入ってくるんじゃないですか。次の登板でどうなるか分からないですけど」と前向きな発言も飛び出した。同じく高卒2年目で飛躍した宮城大弥(オリックス)、奥川恭伸(ヤクルト)の後に続くことができるか。

▼DeNA
知野直人(遊撃手)

 オープン戦では“神奈川のギータ”ことドラフト6位ルーキーの梶原昴希が打率3割越えと好調。ただ、外野陣はかなり競争が激しく、出場機会を確保できるかは未知数。むしろ、森敬斗の故障で戦列を離れた遊撃でレギュラーを目指す高卒4年目の知野にフォーカスしたい。

 知野の売りは何といっても打撃。昨季のプロ初安打は、横浜スタジアムの外野席上段に突き刺さる特大の一発。今年もキャンプからアピールを続けており、2月20日の対巨人練習試合で4打数4安打を放ったのを皮切りに、6打席連続安打も記録。オープン戦では3月11~12日に2試合連続マルチ安打と打撃での存在感は増す一方だ。課題とされる守備でも、3月8日の西武戦では絶妙な中継プレーで本塁打を狙った走者を刺すなど成長を見せている。攻守にわたる猛アピールで定位置をつかみたい。

構成●SLUGGER編集部

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