
ツエーゲン金沢が集めた3トンの食料品。地域の一員として、プロサッカークラブにできること。
地域の課題解決へ。三つのやりたいこと
—灰田さんが地域活動に取り組むようになったきっかけは?
実は、広島にいた時から、この仕事をやりたかったんです。「ツエーゲンをどうしたいか」ではなく、「ツエーゲンを使って、地元をより魅力のある街に」という考え方が合っているかもしれません。
もう一つの大きなきっかけは、私がツエーゲンに入社した2018年に『シャレン!』ができたこと。「もっと地域社会のためにJリーグを使おう」という議論はありましたが、『シャレン!』ができたのを機に「地域の課題ってなんだろう」と考えるようになりました。
—今後、解決したい課題にはどういったものがあるのでしょうか?
二つあります。
一つは、能登エリアのサッカー環境の構築です。奥能登のエリアは子どもが少なく、部活やチームがほとんどありません。本格的に上手くなりたければ、少し離れた珠洲市までいかなければいけない。
そんな環境では、才能ある子の可能性をふいにしてしまうかもしれませんし、ツエーゲンの試合を見に行きたいとも思いません。奥能登エリアの子どもたちが継続してサッカーに触れる環境を整えていきたいです。
二つ目は、『金沢市スポーツ推進計画』への協力です。金沢市は、令和8年度末までに”成人の週一度の運動実施率70%”を目標に掲げています。現在は、まだ目標に達していません。この取り組みに、地域のプロスポーツチームとしてお手伝いできないかなと。
やりたいことはたくさんあるのですが、そこまで手が回っていないのが現状です(笑)。
地域とクラブは「対等なパートナー」
—将来的にはどのような活動を考えていらっしゃいますか?
「Kids Smile Project」については、選手が自発的に取り組んでくれるようになってほしいと思います。今はこちらから促していますが、あくまでも選手たちの活動なので。
3回目の勉強会では、選手がアウトプットする機会をつくりました。複数のグループに分かれて、話を聞いて感じたことを共有します。また、グループの進行も選手に任せました。フロントスタッフも参加していますが、あくまでも困ったらサポートする形です。
—社会人の研修などでも採用される形ですね。どういった選手が中心になって進めているのでしょうか?
廣井、杉浦(恭平)、白井(裕人)、藤村(慶太)、彼らはフードバンク活動に当初から関わっているメンバーですね。あとは、地元出身の豊田、若手の三浦(基瑛)、波本(頼)も中心メンバーです。企画をする時は、彼らと事前に相談しています。グループワークの進行も担ってくれました。
—若手選手も中心になっているのですね。
ベテラン選手は、自分たちがいなくなった後のことも考えています。若い選手にも関わってほしいと、地元出身の2人に声をかけたようです。私からは何も言っていません。キャンプ中に、「今年はこのメンバーでやります」と連絡がありました。
—そうやって選手の間で輪が広がっていくと。
フロントスタッフと選手が直接関わる機会は、あまり多くありません。だからこそ、選手が「何かやりたい」と思ったときに相談できる環境をつくってあげることが重要です。水戸ホーリーホックさんの『Make Future Project』は常にクラブと選手が関わりを持ちながら進めていて、良い環境だなと思います。最近は、アルビレックス新潟さんも積極的に地域活動に取り組んでいる印象です。
—そのような勉強会に選手も参加しているのは驚きです。
数人が参加していました。選手が地域活動の優先順位をどう位置づけているのかは、私には分かりません。ただ、チーム内外で廣井が発言してくれたことで、興味を持ってくれた選手は確実にいます。
—やはり積極的に取り組みについて発信していくべきですよね。世間の目を気にして、取り組みを公にすることをためらうアスリートも少なくありません。
発信しないと認知されない一方で、自己満足と受け取られないように気をつけています。さじ加減を注意したうえで、クラブからの情報発信は必ずするようにしています。サポーターに取り組みを知ってもらい、アクションを起こしてほしいからです。
どのクラブにも共通して、「メディアになかなか取り上げてもらえない」という課題があります。だからこそ、選手の影響力はとても大きい。試合会場でサポーターに食品寄贈を呼びかけた『フードドライブ』でも、「選手がやっているから」という声をたくさん聞きました。
先日、第3回の勉強会のレポートをツイートした際にも、選手に拡散をお願いしました。6人ほどの選手が、引用リツイートをしてくれたのですが、第1回と比較してインプレッションが約7倍になったんです(笑)。すごくビックリしました。
しかし、選手は自身の影響力を実感する機会がありません。活動の結果をしっかり精査してフィードバックするのは、私たちの責任だと思っています。「皆さんのおかげで食品が3tも集まりました。思っている以上に影響力があるんですよ」と伝えるようにしています。
まずは知ることから。
とても有意義な時間になりました。— 須藤直輝 (@Sutoh_Naoki_26) March 17, 2022
このような活動は初めての経験でした。
サッカー選手として、1人の人間として
沢山の人の役に立ちたいと思います。ツエーゲン金沢では選手が食料品などを様々な施設に寄付をするフードバンクという活動をしています。1人でも多くの方に届いて欲しいと思います。
ご協力お願いします🙏🏻— 塚元 大 (@dai062337) March 18, 2022
—プロスポーツチームの社会的な存在意義はどういった部分にあると考えていらっしゃいますか?
私は「クラブは、街に元気を与える存在」だと考えています。理想は広島カープですね。カープが優勝した時に、広島の街がすごく盛り上がっていたんです。
カープが3連覇した時には、ちょうど豪雨・土砂災害がありました。当時、被災して仮設住宅で暮らしている高齢のご夫婦がインタビューに答えていました。「カープの連覇を見て、明日からまた頑張ろうという気持ちになりました」と涙ながらに話しているシーンが忘れられません。
—最後に、これからも取り組みを続けていくにあたって一言お願いします。
「支えてあげる、支えてもらうという上下関係ではなく、クラブは地域の一員である」。これはJリーグのホームタウン担当の研究会で講師の方がおっしゃっていた言葉です。対等なパートナーとして関係を構築することで、街はより魅力的になっていく。こうした姿勢を忘れずに取り組んでいきたいです。
HEROs AWARD 2022がいよいよエントリー開始!
HEROsでは、社会とつながり、社会の助けとなる活動を行なうアスリートや団体の取り組みに対して毎年1回表彰しています。スポーツやアスリートの力が社会課題解決の活性化に貢献していることを社会に周知することで活動を後押しし、社会貢献活動をより多くの人々が取り組むようになることを目指すプロジェクトです。2022年度のエントリー期間は5月9日(月)~7月31日(日)!
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