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WEリーグ初代チェア 岡島喜久子 KIKUKO OKAJIMA Vol.3「日本の女性をエンパワーメントする」

WEリーガーを少女たちのあこがれの職業に

──岡島さんがWEリーグで実現していきたいことはありますか?

一つは女性指導者を増やすことですね。日本は女性の指導者がとても少ないという現状があります。なでしこリーグの選手にも現役の間にC級ライセンスの取得を促していますが、非常に関心が低いと聞いています。そこを改善するために女性指導者が増えることの意義を啓発する必要があります。同時に、ライセンス取得のハードルの高さという問題もあるので、昨年からJFAで「A-proライセンス」というものを始めました。これは女性指導者を対象とした現行のS級に準ずるライセンスで、女性がWEリーグのプロクラブで監督ができることを目的としたものです。すでにWEリーグ初年度で女性監督が1人決まっています。

──昨年からJFAと共催で「女性リーダーシッププログラム」も始めましたよね。

これはサッカー界から女性の役員や経営者を育成・輩出することを目的としたプログラムです。今年から来年にかけて、リーグから少なくとも2人は女性のクラブ経営者を出したいと考えています。そのために財務諸表の読み方、予算の立て方、スポンサー営業の方法など、実践的なことを研修するプログラムもつくっていきたいと思っています。

──WEリーグには多くのサッカー少女にも足を運んでほしいという話がありました。最後に、彼女たちへの想いやメッセージはありますか?

毎年アメリカで「シービリーブスカップ」という国際大会が開催されていて、日本も参加しています。ハーフタイムには、大会名でもある「She Believesキャンペーン」をやっているのですが、「あなたが信じるものは何?」と聞かれると、アメリカの少女たちが「プロのサッカー選手になりたい!」とか、「アメリカ代表の選手になりたい!」と夢を語るんです。

──それは素晴らしいことですね。

そう、アメリカではサッカー選手が、少女たちのあこがれの職業なんです。スタジアムにはその少女たちが詰めかけ、黄色い歓声が飛び交っています。私は将来、日本のサッカー少女たちが「私の夢はWEリーガーになることです」と言ってもらえる未来にしたいと願っています。

Vol.1「私がWEリーグ初代チェアになるまで」

Vol.2「コロナ禍での新リーグ立ち上げ」

■プロフィール

岡島喜久子(おかじま・きくこ)
1958年5月5日、東京都生まれ。中学2年時に男子サッカー部に入部。その後、日本初の女子クラブであるFCジンナンに所属し、第2回AFC女子選手権に出場。79年、日本女子サッカー連盟設立時の初代理事に就任、83年には日本代表として広州女子国際大会に出場。早稲田大学卒業後の83年からケミカル銀行(現JPモルガン・チェース銀行)に入行し、89年の海外転勤を機に引退。91年からは拠点を米国へ移し外資系金融機関で働く。2020年7月、WEリーグ初代チェアに就任。

■クレジット

取材・構成:北健一郎
写真提供:WEリーグ

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