スペシャルコンテンツ 永里優季 YUKI NAGASATO Vol.1「なぜ、永里優季は男子サッカーに挑戦するのか?」
今が肉体的にも技術的にもピーク
——永里選手は今年33歳でアスリートとしてはベテランの領域に入っていきますが、それでもなお自分に高いハードルを課していく理由は? 過去を振り返って身体能力的にも、技術的にも今が一番なんです。その感覚があるので自分の中ではこのステップというのはごく自然な流れでした。逆に25、26歳の頃にこの決断は出来ませんでしたね。例えば単純に走るスピードも今が一番速いんです。その能力が上がったのは、自分の中で一番大きなことですね。それがなければ男子の中では絶対にプレーできないと思っています。 ——技術的な進化はどんなところに感じていますか? まずはボールを止める、蹴るという技術の質と精度が圧倒的に上がっていること。それによって余裕が生まれるので、プレーの発想力、クリエイティビティも上がってきています。時間と空間の余裕を技術で生み出せるようになったので、今までできなかった領域のプレーができるようになりました。そこでのアイデア、判断の質、決断のスピード、すべてにおいてレベルアップしています。そこは身体能力とは関係ない部分なので、男子の中でも差が出ない領域ですよね。それに先ほど言った身体的能力も向上しているので、挑戦しようと決断できました。 ——ここまで練習や試合をする中でフィジカルコンタクトで課題に感じることはありました? ほぼないですね。そういう受け方をしないので。逆に自分が守備に回るときは激しくいきます。そこで吹っ飛ばしてしまうこともありますよ(笑)。 ——吹っ飛ばすほどですか(笑)。では今のところ男子の中での手応えというのは? 昨日(10月4日に取材)の練習試合に15分間出場しました。相手も同じ神奈川県2部のチームでした。このカテゴリー的にプレーに荒さがあるので、ワンタッチ、ツータッチと少ないタッチでボールを叩くというテーマで入りました。ボールには5回ぐらい触れて、一度も取られなかったですね。 ——その5回のタッチでどんなことを感じました? そこで感じたのは、間で受けるのは余裕だなと思いました。味方と相手の位置関係で、自分がパスを受けるタイミングを間違わなければ相手は飛び込めないし、タックルできない距離感で受けることができますね。 ——周りの人の反応は? 私が入った方が、リズムが生まれたと言ってくれました。というのも今のチームにはワンタッチで落とせるFWがいないんです。オフザボールの認知力がまだまだ低いので、そこは自分の良さを出していけるなと昨日の試合で感じましたね。 ——これからリーグ戦にも出場できると思いますが、そこへの手応えは掴めました? 少しずつ出場時間は伸びるかなという手応えはありました。私自身まだ怪我から復帰したばかりなので、少しずつプレー時間を伸ばしている段階でもあります。ただ、今レギュラーのFWが怪我をして長期離脱しているのでチャンスはあると思いますね。 ——自分の強みをチームの中で活かすイメージはありますか? 先ほど言ったワンタッチ、ツータッチでプレーするときに前方向にパスを出すということですね。あるいは後ろに出すとしても次の人が前方向に向かってプレーを選択できるようにすることで、チームにリズムが生まれるんです。そこを自分が担うことはできるかなと思います。 ——前線で自分が起点になれるイメージができたわけですね。 昨日の試合の感覚ではワンタッチだけでなく、自分でターンする余裕もあるなと思いました。昨日は全部叩いていましたけど、これからはもっと判断の幅を広げられますね。練習をフットサルコートでやっていて狭い中でのプレーだったので、ようやく実戦的な中でプレーできて、よりプレーの選択の幅は広いなと思いました。
Vol.2「永里優季が発信する新しいアスリートの生き方」
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Vol.3「サッカーをするだけがサッカー選手じゃない」
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■プロフィール
永里優季(ながさと・ゆうき) 1987年7月15日生まれ。神奈川県厚木市出身。なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)として2011年のFIFA女子ワールドカップ優勝、2012年のロンドンオリンピック銀メダル。2009年から海外に活躍の場を移し、ドイツ、イングランド、アメリカで活躍する。2009-2010年にはUEFA女子チャンピオンズリーグで優勝。2020年9月より神奈川県2部リーグのはやぶさイレブに期限付き移籍し、男子サッカーに挑戦する。 https://note.com/yukinagasato
■クレジット
取材・構成:Smart Sports News 編集部
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